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コミュニケーションは野暮でもいい。小さな失敗に慣れるススメ

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女性向けAV作品に数多く出演し、「エロメン」として人気を博すAV男優の一徹さん。

新著の『セックスのほんとう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、等身大の失敗エピソードを開示しつつ、「男らしさ」「女らしさ」から自由になってセックスを楽しむことを提案しています。

一方、ウートピではおなじみの桃山商事の清田隆之さんの新著『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』(晶文社)。こちらも私たちのジェンダー観をアップデートするための補助線となってくれる一冊です。

セックスについて、ジェンダーについて、失敗についてお互いの本を読んだ感想も含めて、じっくり語り合ってもらいました。

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しょぼいセックスから始めよう

——『セックスのほんとう』では、一徹さんもご自身の体験をかなり開示されてますよね。「童貞のまま死ねるか!」という動機でAV男優に応募したとか、中折れすることで有名で、現場では「一徹地獄」と呼ばれているとか……。

清田隆之さん(以下、清田):中折れ! あれびっくりしましたよ、「一徹地獄」。現場のスタッフさんがいっぱいいるなかで、一徹さんの“勃ち待ち”ってことですよね?

一徹さん(以下、一徹):そうです……。現場がちょっとピリピリしだして、女優さんが「大丈夫だよ」って気を遣ってくれればくれるほどみじめになる。

清田:現場での焦燥感が伝わってきて、思わず感情移入してしまいました。ついAV男優さん=性のスーパーマンみたいに思いがちですが、舞台裏の苦労を知り、なんだかちょっと親近感が(笑)。

——AVのプロだってそうなんだって思うと、気がラクになりますね。

一徹:そう、気をラクにしてセックスしてみませんか、しょぼいセックスを始めるところからやってみませんか、というのが僕の本で伝えたかったメッセージなんです。いま、セックスの教本みたいなものもたくさん出ていますし、「セックスはこうしなくちゃいけない」と思い込んでいるものがありすぎる。でも、本来はもっと間口を広げて、ハードルを下げてもいいものなんじゃないかと思うんです。

清田:2014年に書かれた『恋に効く SEXセラピー』のころと、状況は変わりましたか?

一徹:変わりましたね。あの本は、主に女性に向けて出版しましたが、裏テーマとして50、60代の、いわゆる力を持っている男性に「セックスはコミュニケーションです」というのを伝えたかった。

清田:なるほど。あれはガシガシ攻めるのがセックスだと思ってる人が多そうな世代に向けて、相手の反応を見たり、体を繊細に扱ったり、気持ちを素直に伝えるのが大事だよねって訴えた本でもあったわけですね。

一徹:まさにそうです。でも、当の本人たちには届かなかった。「俺はちゃんとやってるから大丈夫」「俺には関係ない」って。そこから5年経って、いまの若い人たちは「セックスはコミュニケーションということを理解している。だからこそ、「じゃあ何をすればいいんですか?」「何をしたらダメなんですか?」と過剰におびえてしまう状況にありませんか?

清田:たしかに、特に今の大学生くらいの男子からはその傾向を感じます。セックスはコミュニケーションだし、女性の体はモノじゃないという意識は持っているけど、それがゆえに、「どうやって合意をとればいいのかわからない」「怖くて相手に踏み込めない」という悩みを抱えてしまっている人も多い印象です。一徹さんの新刊は、男女ともに人権や平等の意識が高まっている状況にあって、相手との境界線を越えることに対しておびえを感じている若い人たちに向けたメッセージのように感じました。

一徹:そうなんです。だから僕は「しょぼくてもいい」と伝えたいんです。

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野暮さに耐える

——合意の話でいうと、一徹さんは本の中で、セックスに誘うなら「セックスしていいですか?」と、どストレートに伝えると書いてらっしゃいましたね。

一徹:ムードもクソもないし、野暮ですよね(笑)。

清田:でも、野暮さに耐えるというのは、これからはめちゃくちゃ重要になってくるメッセージだと思います。自分で明確な意思表示をして、相手がNOなら「わかりました」と性的な関係に進むことはあきらめる。性的合意に関しては、「YESならYES、NOならNO」と、行間やニュアンスを挟まないハッキリしたコミュニケーションが大事だと思います。たとえNOであっても、それはセックスに対するNOであって、今まで築いた知人や友人としての関係を全否定されたわけではないと、そこは切り離して考えていくしかないじゃないですか。

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清田:劇作家の平田オリザさんが『わかりあえないことから――コミュニケーション能力とは何か』という新書で書かれていたのですが、日本人はこれまで「一億総中流」という言葉があったように、均質的な価値観をバックボーンに持っている前提で「言わずもがな」のハイコンテクストなコミュニケーションをとってきた。でもこれからは、同じ日本人であっても価値観や背景はもはやばらばらなわけで、使っている言葉の定義だって一緒とは限らないので、いちいち説明して納得してもらって次に進むというローコンテクストなコミュニケーションが必要になってくるだろうと。そのときに必要なのは野暮さに耐えることだって言っていたんです。一徹さんの考えと共通していますよね。

一徹:なるほど!

——ちょっと話が戻るんですけど、性的合意をとるのって野暮ですかね? ムードや流れでセックスするより、YESという合意をとれた瞬間が一番テンション上がりませんか? あの瞬間のドキドキ感がいいというか。

一徹:えっ、そうなんですか? なんかすごい新鮮。

清田:「合意の瞬間が一番スリリング」というのは最高の感覚ですね。性的合意をめぐる議論では、ハッキリ聞くことはムードを阻害するものと見なされがちだったので。YESかNOか聞かず、「するの? しないの? どっちなの!?」という期待と不安を抱えたままコミュニケーションをするのって、たしかにドキドキする部分もあるかもしれませんが、基本的にはモヤモヤしますもんね。

一徹:いや、僕はあの「するの? しないの?」っていうときが一番好きなんですよ(笑)。えっ、あれよくないですか? 僕だけ?

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清田:僕はあれが超苦手で全然できない(笑)。社会人になりたてのころに女の人と飲みに行って、話が弾んで彼女が僕の家に来たことがあったんですね。「セックスあるかも!」という期待感はたしかにあったんですが、そういうアプローチがまったくできなくて、結局朝までおしゃべりしてたんです。すると、始発が出始めるころ、相手が「どういうつもりで家に誘ったの!?」と怒って帰ってしまった。

もしかしたら相手にもセックスしたい気持ちがあったのかもしれませんが、自分には高度すぎました。空気を読むとか、雰囲気を察してセックスのほうに導いてとか、全然できないので……。あのときはどうしたら良かったんですかね。

一徹:いいな、ムズムズするじゃないですか。僕は大好きなんですよ、そういうすれ違う感じが。他人ごとだから言えるのかもしれませんが(笑)。

清田:僕は「どういうこと!?」みたいな感じで混乱しまくりでしたよ!(笑)

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失敗からの敗者復活

清田:一徹さんの本を読んでいて随所に感じたのが、想像力を持つことが大事だというメッセージです。膣内に入れたらなじむまで時間がかかるのでしばらく動かさないとか、生きている体に対する想像力もそうですし、清潔感を保つというのもそうですよね。清潔感って、要は目の前の相手に自分が接近したときに不快感や恐怖心を与えないようにしようという、そういう想像力が土台になっていたりしますもんね。

一徹:想像力はもちろん大事ですが、実は僕らの場合、現場のリアルと直結した話でもあるんですよ。たとえばどんなにベテランの男優さんでも、女優さんから「口臭がNG」と言われれば仕事を失ってしまいます。実際に先輩の男優さんでそういう方がいました。

清田:なるほど……より生活とダイレクトにつながっているわけですね。男優さんの場合は仕事を失うと死活問題になりかねませんが、自分が相手に不快感や恐怖心を与えていないかに敏感になることって大事ですよね。

一徹:女優さんから、「痛たたたたた」とかもダイレクトに言われますしね(苦笑)。そこで一発アウトになってしまうとつらいんですが、失敗に対して「次から気をつけますので、もう一回打席に立たせていただけないですか」というふうになるといいですよね。

もちろん、被害者がいるような、失敗とは軽く言えない場合はそれなりの対処をとらないといけませんが、さっきのセックスの合意の件もそうですけど、結果が0か100かだけだと失敗が怖くて「じゃあ、やらない」という人が増えてしまう。

清田:そのためには、小さく「イヤだよ」と伝える手段がいっぱいあるといいですよね。一徹さんも書いてましたよね。セックス中、ちょっと痛いとかそういうときに、相手の体にタップすることで意思を伝えるという方法、あれはいいなと思いました。口に出すと角が立つかもしれないことを、非言語のコミュニケーションで伝えることができる。

——言葉にすると相手が傷ついて、それこそ「じゃあ、もうやらない」になってしまうかもしれません。でも、「ちょっとイヤ」をカジュアルに伝えることができれば、次につなげることができます。

清田:言葉でハッキリ意思表示することはもちろん大事ですが、信頼関係が築けている相手との間では、小さなNOを伝えるいろんなサインがあったりするといいですよね。たくさん方法が生まれて、もっと一般に広まるといいですね。

一徹:失敗しても、敗者復活できるようにしていきたいですよね。

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(構成:須田奈津妃、撮影:青木勇太、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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