『W悲喜劇』の「私ヒモ男養成ギプスです」回に出演した作家の森美樹さん。10年前に付き合っていた男性に“2万円”を貢いだという、ちょっと特殊な貢ぎ経験の持ち主です。彼との出会いや貢ぐときの心理について語ってきたインタビュー、第3回は貢ぐ相手との関係性や、ヒモと専業主夫の違いについて森先生が思うことを伺いました。
私は便利なモノになっていると思った
——ヒモ男を養うということは、お金によって生殺与奪をにぎるとまでは言いませんが、相手よりも優位に立てるような印象はあります。森先生は恋人と付き合っていた当時、相手を自分の所有物のように感じたことはありましたか。
森美樹さん(以下、森):いえ、全くないですね。相手が自分の所有物だと思ったことはないけど、相手にとって自分が「便利なモノ」になってしまっている、という感覚はありました。私の家とか、ゲームとかキッチンとかパソコンとか、そういうものを勝手に使っていたんだけど、私もその一部だったというか。
——都合のいい存在になっていたんですね。
森:そうですね。ただ、たとえば人づてに聞いた話なんですけど、ご主人が体調を崩して大黒柱にならざるを得なくなった奥様がいるんですね。どうやらその奥さんが「私が働いてあげているんだから」というような態度らしいんです。そういうのって、主従関係のようなものが生まれてしまうのかな、と感じてしまいました。
ヒモと専業主夫の違いって?
——それっていわゆる、亭主関白のような感じですよね。
森:そうでしょうね。その人は稼ぎたくて稼いでいるわけではない、という不満もあるとは思うのですが。結局、力関係というのはその人の自尊心とか、関係性によって生まれてきてしまうのだと思います。
——たとえば、森さんはすでにご結婚されていますが、これからの人生でまたヒモを養うような可能性ってあると思いますか。
森:養う可能性はほぼゼロだと思います。前の彼だって二万円が限界だったわけだし……でも、必要に応じて私の方が余計に出すということには抵抗がないですね。持ちつ持たれつというか。時代も変わってきているし、女性の方が稼ぐケースだっていくらでもある。自分がそれでいいと納得できているのなら、問題がないと思います。
——確かにそうですね。
森:今回の番組に出演したときもその話題になったのですが、専業主夫とヒモの違いってなんだろう、って思うんです。それは正直、自分の中での線引きでしかないのかもしれない。だから、たとえ世間がヒモだと言おうが、自分の中でしっかり定義づけられていればいいのかな、と。
——お互いにできることを、役割分担して補うということですよね。時代の流れで性別による役割の境界線が曖昧になりつつある今、ヒモ男という存在の定義も難しくなっているような。
森:私は、自分にできないことをしてくれて、お互いに尊敬しあえる関係だったらいいのかな、と思います。たとえば、何もしないで家に転がり込まれたら、それはちょっと嫌かもしれない。女性だって家事とか子育てが苦手な人っていると思うので、そこを担ってくれる相手であれば別に稼ぎ頭が男性である必要ってないですよね。
——どうしてもお金を稼いでる方が「食わせてやってる」みたいな態度になりがちなところはありますが、一緒に暮らすパートナーとしての役割はお金だけではないですもんね。
森:そうですね。ちなみに当時、おそらく私の性格上だとは思うのですが、相手を軽んじるような気持ちになったことはなくて、どちらかというと親のような気持ちでしたね。それもちょっと複雑ですが。どこか義務感のようなところがあった。これもきっと自尊心の欠如だろうし、正直SNSとかを見ていると、同じように自信のなさそうな女性をよく目の当たりにします。むしろ、昔よりも増えているように感じる。
——SNSによって可視化されたのか、それとも最近の傾向なのか。
森:それはわからないけれども、そういう女性の自尊心のなさには興味がありますね。過去の私のケースでいえば、自信をなくすような相手と付き合ってしまっていたということだと思うのですが。もしあのとき今の旦那と出会っていなかったら、どうなっていたのかな。きっと盲目のままでいたかもしれない。
——旦那さんと出会ったとき、特にどこに心が惹かれて目が覚めたんですか。
森:些細なことですけど、悪口を言わないところですね。彼はとにかく母親や前妻の悪口ばかり言っていたのですが、私が彼の愚痴を言っても、夫は決して相手を悪く言うことがなかった。常に中立の立場で話を聞いてくれていた。それが信頼へとつながりました。
——冷静な方だったんですね。
森:そうですね。だから私は幸運だったと思います。
——そういう出会いがない場合は、貢ぐループから抜け出す術はないのでしょうか。
森:あとは、貯金がゼロになるまでは気がつかないかも、と思います。まあ、誰かに借りたり、キャッシングして貢ぎ続ける人もいるのですが……でもやっぱり、ある程度痛い目を見ないと人って気づかないんじゃないでしょうか。
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#79「私“ヒモ男養成”ギプスです」
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今夜、10月5日は21時より最新話「子役とママのシンデレラ物語」が放送されます!
(取材・文:園田菜々、撮影:青木勇太、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
貢ぐ私は彼の「所有物」のようだった