健康診断で「運動をしましょう」と言われたけれど、何をしていいか分からない。
「筋トレ」ってムキムキになりそうで怖い……。
通勤で毎日一駅分、歩いているから運動はしているほうだと思う。
そんなふうに思っている女性は少なくないのでは?
フィジカルトレーナーの第一人者である中野ジェームズ修一さんは「女性には筋力不足の人が多く、不調の原因にもなっている。効率よく脂肪燃焼ができないので、なかなか肥満が解消されない」と警鐘を鳴らします。
昨年に発売された『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)は累計発行部数10万8000部を突破。7月に『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(同)を上梓し、朝の情報番組「あさチャン!」(TBS系)などメディアで引っ張りだこの中野先生に、効果的な運動の仕方や運動にまつわる疑問について伺いました。
やっぱりジムに行ったほうがいいの?
——前回は、ダイエットをするにも、自分の健康を維持するためにも、まずは筋トレが大事というお話でした。筋トレをするにはやっぱりジムに行ったほうがよいのでしょうか?
中野ジェームズ修一さん(以下、中野):筋トレのポイントは、「日常生活よりも高い負荷を与えなければ筋肉は成長しない」(過負荷の原則)、「負荷を少しずつ上げなければ筋肉は増えない」(漸進性の原則)、「継続しなければ運動の成果が得られない」(継続性の原則)の3つです。
ジムにあるマシンは効率的に安全に強い負荷を加えることができるので、これまであまり運動をやってこなかったという人は、最初はジムに行ったほうがいいと思います。
もちろん、家でも自分の体重を使って腕立て伏せやスクワットなどもできますが、どの部分に体重を乗せるかなど、そのバランスが非常に難しい。ジムの器具は使い方さえ教えてもらえば自分でできますが、自体重のプログラムほど専門家の力を借りないと正しく鍛えることができないんです。
——本には家でできる筋トレが載っていますが、本の通りにやればよいのでしょうか?
中野:本に載せたのは、シンプルで素人がやっても安全でケガなどのリスクが起きづらいメニューをピックアップしているので、大丈夫です。動画でも見られるので、ぜひ動画を見ながら実践してみてください。
部分痩せは不可能
——いざダイエットを始めようとすると「まずはおなかや二の腕から何とかしたい」と思ってしまうのですが、おなかや二の腕に効果的な筋トレってありますか?
中野:部分痩せですね。部分痩せは原理的に不可能です。
——どういうことですか?
中野:脂肪の燃焼というのは、体全体に蓄えられている体脂肪が分解されて脂肪酸となり、血液の中に入って、エネルギーを必要としている筋肉の元に運ばれます。そして脂肪酸が、水と二酸化炭素に分解されるときにエネルギーが出るという仕組みです。全身の体脂肪から使われるのですが、どの部分から使われるのかというのは個人差があるんです。
——もしかして、人によって太りやすい部分が違うというのも……。
中野:太るときも同じ仕組みです。脂肪がつきやすい部分も落ちやすい部分も個人差ですね。顔から太っていく人もいるし、顔は太らないのにおなか回りだけつく人もいる。下半身だけつく人もいるし、二の腕につく人もいるのは、個人差です。
——それは「しょうがない」ってことですか?
中野:しょうがないです。顔もみんな違うように、体形も脂肪のつき方もその人の個性なんです。だから、二の腕の筋トレだけやったから、二の腕の脂肪が燃えるということはないです。ただ、その部位に筋肉がついているほうが、ついてないところに比べて若干脂肪が落ちやすいということは、言われています。
ランニングの「正しい走り方」は?
——手っ取り早く痩せようとするのではなく、まずは筋トレということですね。筋肉量が増えたら、有酸素運動も合わせると脂肪が燃えやすくなるということですが、前に知人から「あなたは走り方のフォームが悪いからランニングしても意味ない」と言われたことが引っ掛かっています。正しい走り方はあるのでしょうか?
中野:トップのランナーになるのでなければ、走り方はそんなに突き詰めなくていいです。というのも、走ることって、人間が唯一、誰でもできる技術なんです。ポンって海に投げられて、泳げない人はいっぱいいますけど、ポンって背中を押されて走れない人って世の中にいない。障害やケガさえなければ、みんなできる。ランニングはある意味、技術習得が必要ない唯一のスポーツと言えるかもしれません。
——確かにそうですね。
中野:たとえフォームが悪くてもずっと走り続けていると、だんだん自分の中で走りやすいフォームがだんだん分かってきます。例えば、最初は力をいれてこいでいた自転車も慣れてくると力を抜いてこげるようになりますよね。それと同じで、ずっと走っていればだんだん自分が楽に走れるフォームを習得できるので、そこはあまり心配しないでまずは始めてみるのがいいと思います。
毎日やらなくても、ご自分ができる範囲でいいのでまずは始めてみる。ただ、筋トレと一緒で月1回のイベントとしてやるのではなく、習慣として継続してやるのがポイントです。
(取材・文:ウートピ編集部、写真:矢野智美)
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情報元リンク: ウートピ
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