最近、三浦春馬が気になる。
映画やドラマ出演だけでなく、歌に踊りにMCもこなす。爽やかだったり、妖艶だったり、さまざまな表情で見るものをわくわくさせる。表現者としてギアが上がった印象だ。
そんな三浦さんが最新主演映画『アイネクライネナハトムジーク』(今泉力哉監督)で演じているのは、スポットライトとは無縁の、どこにでもいそうな会社員。名字は「佐藤」。下の名前は出てこない。街頭アンケートに答えてくれた女性・紗季(多部未華子さん)との関係を軸に、出会いから10年の時を超えてつながっていくさまざまな人間模様が描かれる。
そこに「カッコいい三浦春馬」はいない。いるのは、ごくごく普通の会社員。でも、「普通の人」って何だろう? 三浦さんに、「普通の会社員」役へのアプローチや、キャリアを開くきっかけをくれた出会いなどについて聞いた。
キャリアを大きく左右したNYの出会い
——映画『アイネクライネナハトムジーク』のテーマの1つは「出会い」でした。これまでのキャリアで、「この出会いが大きかった」と思うものはありますか?
三浦春馬さん(以下、三浦):なかなか優劣はつけられないんですけど、例えば最近でいうと、2013年に『キンキーブーツ』という舞台に出会って、さらにその作品に関わっているNY在住の日本人プロデューサー、川名康浩さんに出会ったことでしょうか。
NYでの観劇後、川名さんにお会いして、『キンキーブーツ』が出来たプロセスをうかがいながら、「日本に持っていくときは、こういうサクセスが待っていればいいな」という夢を語っていただいた。あの出会いがなかったら、僕は『キンキーブーツ』には出ていなかっただろうし、ミュージカルで練習した歌唱についても取り組むことはなかっただろうから主題歌を担当することもしてないだろうし。
川名さんとの出会いが、今、僕が経験していることの土壌を与えてくれたのだなと思うと、すごく感慨深いですね。これから活躍していくことで、恩返ししていきたいと思っています。
——俳優という職業は、アーティストである一方で、人気商売でもありますよね。周囲の空気を読んだりしますか?
三浦:協調性は欠かさずに、あまり棘がないように、スムーズに現場をまとめるには技術が要ると思います。柔らかさを持つ一方、締めるところは締めるということは、逃げずにやってはいきたいですね。
——グループでいると、まとめ役になるタイプですか?
三浦:僕は自由奔放にやるタイプなので、あくまで「仕事に関しては」ということです。でも最近は、もちろん折れることも大切なんですけど、納得するまで引けなくなりました。芝居に関してだけなんですけど、納得しないまま「こっちの方向性で」と言われても、「前に話していたことと違いますよね」となるから、「おっしゃる方向に近づけはしますけど、すごく気持ちが悪いです」と主張します。
納得できないことは主張する
——以前は、納得しなくても進めていた?
三浦:そうですね。「こっちでいい」と言われたら、そのとおり監督の指示通りにやるタイプで、それをうまく演じるということが技術の1つであり、役者だと思っていたんです。だけど、やっぱり自分も生き物だし、考えてきたことは自分の中にあるので、納得しないまま言葉を発してるだけだと、ほんと気持ち悪い芝居になる。そうやって自分の役どころで悔しい思いをしたことがあるし、その時に多く学んで、主張はちゃんとしたいと思うようになりました。
——三浦さんなりの「お仕事ルール」は何かありますか?
三浦:「声を出す」ということでしょうか。撮影現場で「スタンバイ中」「直し中」など助監督が言った言葉に対して、レスポンスする。自分もその撮影の一員だという自覚も持てるし、あとは、声が出ていないより、出ている現場のほうが志気が上がる感じがする。
自分に与えられた仕事、つまり、しっかり芝居をするということはもちろんなんですけど、違ったところで、期待されている以上の仕事を、いろいろやってみる。
例えば、こうやって作品のプロモーションをするときも、拒まずにいろいろやってみる。作品が世に出るためのサポートを、少しでも多く、いい形でできたらいいなと思っています。求められる仕事をこなすのは当たり前だけど、その他にも何かを現場に残していける人でありたいですね。
(聞き手:新田理恵、撮影:伊藤菜々子)
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情報元リンク: ウートピ
「期待されている以上をいろいろやってみる」三浦春馬の仕事ルール