第1回の記事、「梅雨どきのめまいや頭痛、胃重は「湿邪」…「気象病」との違いを専門医に聞く」では、梅雨どきのけんたい感、疲労感、頭痛、胃痛、耳痛、関節痛、めまい、吐き気、憂うつ感などの多様な不調は、東洋医学では「湿邪」ととらえるということ、またその症状のセルフチェックや自分ですぐにできるケア法を紹介しました。
今回は、湿邪かどうかを、体のある部位を使って確認する方法について、ひき続き、漢方専門医・臨床内科専門医・消化器内視鏡専門医の吉田裕彦医師に教えてもらいましょう。
【第1回】梅雨どきのめまいや頭痛、胃重は「湿邪」…「気象病」との違い
【第2回】実は冷え対策がポイント…梅雨の「湿邪」の不調ケア
「舌」を見て不調の具合を診断する
「湿邪」とは、体に水分が溜まって不調が多発している状態ということでしたが、今回、吉田医師は、その度合いが強いか弱いかなどを確認する方法について、次のように説明をします。
「体調は日々刻々と変わります。不調が続くときはとくに、今日はどうか、いまはどんな状態かと、自分の状態を見つめましょう。そのための方法のひとつとして、東洋医学では、『舌』、『おなか』、『脈』の状態に注視します。
中でも『湿邪』の場合は、舌にその不調の度合いが見つけやすくなります。診察では、『舌診(ぜっしん)』と呼び、舌の形、色合い、潤い、苔の色や厚さなどを見て体調や不調の度合い、また体質なども診断します」
東洋医学では、『舌は内臓の鏡』と言われると耳にします。
「そうです。舌の状態は全身の様子を見極める重要な要素として、古くから診断に用いています。風邪など何かの病気で発熱しているときは、舌がいつもより、赤くいちご状になっています」と吉田医師。
舌の色、大きさ、苔、歯の痕で湿邪を確認する
舌の状態のどこをどう見るのかについて吉田医師は、
「鏡を前にして、あっかんべえをして舌を出してください。次に舌の表面を見て、3つのポイントを確認しましょう。
これらを見抜くためにも、日ごろから、朝の洗顔時の同じ時間帯に、また、朝昼晩の歯磨き時などに舌の状態をチェックしておくとよいでしょう」と話し、次の方法を伝授します
(1)舌に苔のような汚れがたくさん付着していないか
舌につく汚れを「舌苔(ぜったい)」と呼ぶことはよく知られていますが、これは、舌の表皮や口の中ではがれおちた粘膜、細菌、唾液の成分、食べかすなどが集まったものです。健康なときはサラサラした唾液が出てその殺菌作用などで舌はあまり汚れず、舌の本体の淡い紅色をしています。
しかし「湿邪」で、とくに胃腸の状態が悪いときは、舌の表面に白っぽく分厚い苔がたまっている、あるいは、黄色く粘り気がある苔のように見えるでしょう。
(2)舌がいつもよりぼてっと大きくなっていないか
体内で水の循環が悪くなると、舌がふくらみます。いつもより舌が「むくんでいる」状態です。顔や足にむくみを感じるときは、舌も確認してみてください。
(3)舌の周囲にギザギザと歯の形がついていないか
舌の形状を見てください。周囲に、ギザギザとした形が残っていないでしょうか。これを「歯痕舌(しこんぜつ)」と呼びます。(2)で確認したように、舌がふくらんでいるときは、口の中で常に歯が舌にあたるため、舌の周囲に歯の痕(あと)がつくようになります。
いかがでしたでしょうか。ここで吉田医師は、舌の変化が見てとれたときについて、こうアドバイスを加えます。
「もしも、体調が悪いときに舌の状態がいつもと明らかに違う色をしている、また、舌苔の様子が異様だなどと感じたら、病気のサインの可能性があります。思いあたる病気を見直して、早めに医療機関を受診しましょう」
舌の具合でいまの湿邪の状態を探る方法、だれでもすぐに確認することができそうです。日々の体調管理に活用してみてはどうでしょうか。
次回は、「湿邪」の対策となる漢方薬を具体的に紹介します。
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情報元リンク: ウートピ
梅雨どきの不調「湿邪」は舌をチェック…漢方専門医が教える【第3回】