そろそろ“ちゃんと”しなきゃと思うお金のコト。けれど、老後に必要なのは何千万円と言われてもピンとこない。そもそもそこまで貯めるのに何年かかるのかわからないし、自分のキャリアも安定とは言えない——。そもそも、お給料は趣味や美味しいものを食べるため、自分の暮らしを快適にするために「使いたい!」と思う人も少なくないのでは?
2019年3月に発売された『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)の著者のひとり、ファイナンシャルプランナーの篠田尚子(しのだ・しょうこ)さんは「使う人ほど貯められる」と話します。ウートピではその理由や、これからお金のことについて考えたいという人に向けてのアドバイスを全6回にわたって紹介します。
第5回は、「iDeCo」と「NISA」について聞きました。
メリットばかりで怪しく見えてくる「iDeCo」
——いよいよお金を増やすための実践方法ですが、篠田さんがもっともおすすめだという資産運用方法を教えてください。
篠田尚子さん(以下、篠田):「iDeCo」と「NISA」です。この2つはお金の知識のない初心者でも利用しやすい、国の制度です。掛金もiDeCoは5千円以上、NISAは楽天証券なら100円から始められます。両方とも節税メリットがあります。
——節税効果というのは具体的にはどういうことですか?
篠田:通常の株や投資信託の場合、利益から約20%の税金が引かれます。たとえば10万円の利益が出たら約2万円の税金が引かれ、手元に残る利益は約8万円。また、銀行に預けていれば、微々たる額とはいえ利息がつきますが、その利息からも税金が引かれています。
しかし、iDeCoやNISAの場合、運用で増えたお金に税金はかかりません。つまり、10万円の利益が出たら、丸々10万円が手元に残ります。iDeCoにはさらにメリットがあって、掛金が全額所得控除になるので、所得税や住民税が安くなり、節税効果がアップします。
——聞けば聞くほどやらなきゃ損と感じてきましたが、iDeCoとNISAを同時に始めるのは難しいという人にはどちらがおすすめですか?
篠田:より節税効果の高いiDeCoです。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことですが、確定拠出年金には「企業型確定拠出年金」もあり、最近では退職金の代わりに確定拠出年金を導入している会社も増えています。企業型に加入している場合、iDeCoには加入できなかったり、掛金に上限があったりするので確認してみてください。
iDeCoは、元本確保型商品(定期預金や保険)と投資信託の両方が選べるのも魅力のひとつです。ポイント運用でもお話しましたが、資産運用に不安を覚える人もいるかもしれません。そんな方は、全部を投資信託にせず、銀行と同じ感覚で定期預金として積立てることもできます。しかも、銀行とは異なり利息に税金はかかりません。
——メリットばかりというのも、何か裏があるのではと思ってしまうのですが(笑)。
篠田: iDeCoでデメリットと感じることがあるとすれば、60歳まで引き出せないという点です。企業型もそうですが、確定拠出年金は国民年金や厚生年金など公的年金に上乗せして加入できる私的年金。年金として受け取るため、個人的な事情で早く受け取りたいというわけにはいきません。
——厚生年金や国民年金が、すぐに受け取れないのと同じことですね。
篠田:その通りです。実は私は2社目に就職した会社が早い段階で企業型の確定拠出年金を導入していたので、かれこれ15年近く確定拠出年金を続けています。企業型に加入した当初は「本当に増えるのかなぁ?」と、やや疑心暗鬼でしたが、今は資産が増えているのを実感しているので、確定拠出年金は自信をもってご紹介しています。
また、iDeCoは働く環境が変わりやすい女性にとくにおすすめしたい制度でもあります。結婚、出産、子育てなど、一時的に会社を離れたり、フリーランスを選択したりするような状況になっても、変わらずに年金資金を積立てることができ、さらに増やすことができるからです。
肝心な運用をまるっと任せる投資信託
——NISAについても教えてください。
篠田:最初にお話しましたが、投資信託や株は利益に対して約20%の税金がかかるけど、それが非課税になるのがNISAです。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があります。異なる点は非課税期間、年間上限額、対象商品です。資産運用の初心者で運用に回せるお金が少ない人はつみたてNISAから始めてみましょう。対象商品は投資信託しか選べませんが、まるっとプロにお任せできるのが投資信託なので、これも初心者にとっては利点になると思いますよ。
——基本的な質問ですが、そもそも投資信託とは何ですか?
篠田:劇団雌猫のみなさんからも質問があり、回答している箇所があるので本書から引用してご説明しますね。
篠田:投資信託とは、肝心の運用をプロにまるっとお任せできる金融商品です。運用のプロであるファンドマネジャーが投資家から広く資金を集め、複数の企業や国に投資を行い、その成果を最終的に投資家に還元する仕組みです。
劇団雌猫:プロがやってくれるなら安心……? でも、手数料分は損するのかな?
篠田:手数料はあくまでプロにお任せするためのコストですから、必ずしも手数料=損とはいえません。私たちがレストランに行って食事をするとき、食材の材料費だけを払うわけではありませんよね。シェフの料理の腕に付加価値があると思うから、または、自分で作るのが面倒だから、お金を払って食事をしますよね。投資信託も同じです。払ったコスト以上においしければ、つまり、お金が増えればいいということです。
『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)より
——なるほど。
篠田:趣味の一環として株式投資や資産運用を極めたいというのなら話は別ですが、とにかく忙しくて時間がないという人は、一定の手数料を負担しても、プロに任せて効率的に資産運用をするほうが賢明だと言えます。私自身も、自分の資産運用は全て投資信託で行っていますし。
——あまり考えすぎなくても大丈夫ということですね。
篠田:はい。『一生楽しく浪費するためのお金の話』では、投資信託で大きな失敗をしないためのコツももっと紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Point
おすすめの資産運用方法は「iDeCo」と「NISA」
どちらか一つなら「iDeCo」から始めるのがおすすめ
※次回は6月18日(火)公開予定です
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情報元リンク: ウートピ
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