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イソノショックに思うコト。年下夫は女のリスク?【河崎環】

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もう元号が変わったのに、私たちをとりまく環境は何かと騒がしい——。それは、私たちが常に今を生きていて「これまで」と「これから」の間で葛藤を繰り返しているからなのかもしれません。

その葛藤や分岐点とどう向き合うべきか。エッセイストの河崎環さんに考察していただく連載「5分でわかる女子的社会論・私たちは、変わろうとしている」。

最終回は、6月13日に新刊発売予定のご自身の著書『オタク中年女子のすすめ #40女よ大志を抱け』(プレジデント社)を通じて、“イソノショック ”について考察していただきました。

日曜の朝に

ネットが「イソノ、イソノ」と騒いでいるので、日本を代表する某アニメの海洋家族に何かあったのかと思ったら、タレントの磯野貴理子さんが24歳年下の夫と離婚したと報道されているのでした。

理由は、年下夫が「やっぱり自分の子どもがほしい」と願ったこと。その瞬間から大人の女性たちはこれを「イソノショック」と名付け、それぞれに思いを馳せはじめたのです。

オンナが自分の知らない世代に期待したこと

社会経験も恋愛経験もこなして成熟したパワーウーマンが、現代的なラブライフのお相手に年下の男性を選んだ。…(中略)…なぜって、年下男子とは既に経済力も社会性も手に入れて自由に生きていける女たちにとって面倒くさくない、かつ充分にオンナノコ気分を提供してくれる恋愛対象だからなのだ。

比較的新しい時代の感覚で男女関係を進めてくれるから、まず七面倒くさい男尊女卑にイラっとすることも、再調教の必要もない。食事を奢られる代償として「キミよりも社会をわかっているオレが教えてあげるよ」的な、ドヤ顔の俺節を聞かされることもない。万が一にも今どき壁ドンとか頭ポンポンとか食らって「こういうのが好きなんでしょう?(俺は分かってるよ)」なんてホラーな言葉を耳元で囁かれ、「どこ情報だよ……」と寒さに凍えたりしなくていい。

年上女をあえて好んでくる年下男性は、そもそも年上女性を対象にしている時点で男女や年齢で上下をつけたがる世間の力学にNOと感じている人たち。だから人間関係の多様性も理解していてセンスが良く、つき合う過程のあらゆる場面で女性側が謎の固定力学に悩まされるリスクをヘッジできるとも言える。

——「オタク中年女子のすすめ #40女よ大志を抱け」(プレジデント/河崎環)

この引用部分の前で、私はそのコラムの根幹となるエピソード「ストライクゾーン半世紀」の女を紹介し、他にもかつて「クーガー女」「ピューマ女」と呼ばれた、年下男を駿足で捕まえるハリウッドの肉食女優たちについて論じました。「ストライクゾーン半世紀女」は、シングルマザーとして27歳上の男性の子を産み育て、子育てが落ち着くと22歳年下の若い男子と付き合い始めたという猛者。「27年差+22年差」で合計ほぼ半世紀よ、と笑う彼女の話は、一度聞けば忘れられないインパクトでした。彼女たちが年下男を求める動機って一体何なのだろう——そんなことを考えながら上記のコラムを書いたのでした。

年上の男性が歳の離れた女性をパートナーに選ぶのはわりあい大きな疑問なく世間に受け入れられる一方で、逆になると「マニアw」なんて好奇の目で見られていたのは平成中期、ゼロ年代までのこと。

この10年ほど、ニュースで交際や破局が報道されるような芸能人やハリウッド女優などの特殊な人々だけでなく、いまや日本の一般的なビジネスウーマンである私の周りのアラフォーからアラフィフ女性の間でも、年下の男性をパートナーに選ぶ傾向は顕著になってきた潮流があります。

自分で生きていけるだけの稼ぎがある、あるいは自分で生きていくことを引き受けた働く女が、年下の男性、場合によっては10や20も年下の「男子」に目を向け結婚する。その背景には、古い固定観念をナチュラルに繰り出し、女性をそこに当てはめようとする世間から脱出したいという女性側の思いがあるのではないでしょうか。

自分の知らない世代のカルチャーやマインドとならばそういった価値観上の「脱出」が可能なのではないか、との期待。自立できる女にとって、年下男子とは「性別や年齢で上下をつけたがる世間の力学にNOと感じている人たち」同士の現実的な選択なのです。しかしながら、往々にして人生の計画には修正がつきものです。

貴理子さんはなぜ淡々と報告したのか

冒頭で触れた磯野貴理子さんの再婚生活は、夫の「自分の子どもが欲しい」との言葉で幕を閉じました。貴理子さんは2012年に再婚。年齢差24歳という関係には当初様々な憶測や意見が湧いたものの、それから7年の月日が経ち、先日の離婚発表には晴天の霹靂のようなショックが走りました。

貴理子さんは現在55歳。31歳の夫の言葉を聞いて「あっ、そうかそうか。そらそうだと思って。『何か勝手言って、俺』って(向こうに言われて)『勝手じゃないよ。自然なことだよ。当たり前じゃないの』って……」。

共演者の松居直美さんは、貴理子さんの言葉に号泣していました。

「そらそうだと思って」。貴理子さんは再婚当時48歳、既に自分の子どもを持つ可能性がないとお互いわかっている年齢での再婚だったはずでしょうに、結婚7年目に「やっぱり自分の子どもが」と伝えられる無情さったらない。でもそれを受け入れた貴理子さんが毅然とした態度で語る言葉を、大人の女たちは自分に子どもがあろうともなかろうとも、自分ごとのように噛み締めたはずです。

自分には絶対に手に入らないと、お互いわかっているもの。それを、一度は約束したはずの相手が自分以外の誰かへと求めていくのを穏やかに許し、手を振って見送る。それは成熟ゆえの寛容であり、相手をきちんと愛してきたゆえの尊重なのでしょう。

相手が年上でも年下でも…

「脱出」を「期待」した。でも、その期待には応えてもらえなかった。このイソノショックに対して、ネットでは「やっぱり年下の夫はリスク」という空気が生まれたのは確かです。でも、年下男なるものを一括りにしてリスク論で語ってしまうのは、人間の感情の機微や、人生の彩りといったものを置き去りにしているかもしれません。55歳、2度目の離婚。さまざまな恋愛を経てきた大人の女だからこそ、貴理子さんはひとつの愛のかたちとして、24歳年下の夫を黙って見送ることができたのではないでしょうか。

だから貴理子さんの話を聞いた女たちは、泣いたのです。これは「出産」だけの話ではない。自分が人生の中で既に諦めたものを愛する相手が欲しがって去っていくのをどう見送るかの、愛や生き方の話です。

相手を尊重する。頭では理解していても、行動に移すのはいくつになっても難しいものです。貴理子さんの離婚を見て「やっぱり産めないおばさんよりも産める若い女だよね〜」と嗤うひと、元夫に「裏切りだ」と憤るひと、反応はさまざまでしょう。ですが、貴理子さんの決断の中に大人の女性としての美学を感じるのもまた、自分次第だと言えそうです。

本日の参考文献
『オタク中年女子のすすめ #40女よ大志を抱け』(プレジデント社/河崎環)

(河崎 環)

情報元リンク: ウートピ
イソノショックに思うコト。年下夫は女のリスク?【河崎環】

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