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人を信じるってキレイゴト? チーム外のメンバーとの仕事で覚えておきたいこと

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近年、業務効率の向上やより専門的なスキルを求めて、他社やフリーランスの人と一緒に仕事をするケースが増えています。業界を問わず人材不足に悩まされる企業が多い今、外部との協力を経営戦略に組み込んでいるケースは少なくありません。

しかしその一方で、「望むようなアウトプットが出ない」「頼むより自分でやったほうがよかった……」と悩む声もよく聞かれるもの。

そんな中、外注をうまく活用しているのが、ソーシャルメディアサービス事業の運営などを行う株式会社ガイアックスです。同社で7つの事業を率いる本部長、管大輔さんは「私たちは、『社内の人材がこの分野のスキルを磨いても、事業の成長につながらない』と判断した仕事は、基本的にすべて外注します」と話します。

実際に、ある部署では、全メンバーに月5万円以上の外注費(クラウドソーシングにおいて)を使うよう義務づけるなど、積極的に仕事を外に出すよう取り組んでいるそうです。この戦略を採用して以降、部署の売り上げは2年で約400%もアップ。その成功のポイントはどこにあるのか……管さんに話を聞きました。

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いい仕事にまず必要な「対等な関係づくり」

——社内やチーム内でも人に頼むことに苦手意識があり、それが社外となるとより敷居が高く感じてしまいます。ガイアックスで外注がうまく回っているのには何かコツがあるのでしょうか?

管大輔さん(以下、管):まず外注先との関係づくりを大切にしていることが、理由のひとつだと思います。社内外を問わず、誰かと一緒に仕事をして成果を残すためには、いい人間関係を築くことが欠かせません。特に外注においては「対等な関係」を強く意識すべきです。

発注、受注という契約の形式上、どうしても“委託企業>外注先”という力関係になりがちです。しかし、委託企業が支払った金額の対価として外注先はサービスやプロダクトを提供しますから、本来なら双方は対等、フラットな関係のはずなんです。

——フラットな関係を築くために、具体的にはどんなことを実践していますか?

管:私は仕事をお願いする社外の方のことを、“下請け”ではなく、“パートナー”と呼んでいます。自分が相手の立場だったらと考えると、“下請け”として仕事はしたくないですから。モチベーションを高くもって働ければ、自ずとアウトプットの質は高くなるでしょうし、自分(自社)が相手にとって常に優先されるクライアントになれるはずです。

——優先されるクライアントになる?

管:はい。単発ではなくて継続して付き合うほうが意思疎通もしやすいですし、優秀なパートナーは仕事の誘いも多いです。だからこそ選んでもらえるようになった方がいい。

ただ、私は決して条件などで相手を釣ったり、下手に出たりするのがいいと言っているわけではありません。アウトプットのクオリティーが低かったら、しっかりフィードバックします。相手はプロなので、成果に対する評価は変な遠慮をせずにきちんと伝える。それでこそ真に対等な関係ですからね。

外注先とのコミュニケーションは“長期的な視点”で考える

——外注先のアウトプットに満足できなくても、フィードバックの手間を考えると、自分で手を動かしたほうが早いと感じることはありませんか?

管:そういうとき、私は長期的な視点で考えるようにしています。面倒に感じるフィードバックも、1年先の状況を考えると、今時間をかけて行っておくべきと思えることもあるでしょう。基本的には、フィードバックにいつまでも同じ手間がかかり続けるわけではないはず。最初は手間でも、求めるクオリティーやアウトプットのイメージを丁寧に説明して理解してもらえれば、1年後はやりとりがラクになる。そこを見越して、未来のための投資と思えば、価値を見出せるのではないでしょうか。

——フィードバックが相手に響かないときは、どうしたらいいのでしょうか?

管:確かに、きちんとコミュニケーションがとれて、かつ成長意欲がある相手でないと、いくらフィードバックしようが響かないこともありますよね。そこはしっかり見極めないと、こちらがただただ消耗してしまうので要注意です。

私は、「フィードバックしたくなる人柄」はその人のスキルのひとつだと考えています。「もうこの人にはフィードバックしたくないな、意味がないな」と感じたら、無理に関係を継続する必要はありません。逆に「この人となら、一緒にいいものをつくっていきたい」と思えるパートナーなら、たとえアウトプットのレベルが期待値を少し下回っても、丁寧にフィードバックする意味があると思っています。

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クオリティーを高めるカギは“信頼”

——外注先のアウトプットをよくするために、フィードバック以外でできることはありますか?

管:これは外注先に限った話ではありませんが、私が誰かに仕事を任せるときは、相手を信頼することを大切にしています。きちんと期待すること、つまりいい意味でプレッシャーをかけることで、パフォーマンスやアウトプットの質が向上すると考えているからです。こちらが信じれば、相手は応えてくれる……“性善説”に立った考え方ですね。これをリスクと捉える方もいると思いますが、私はむしろリスクヘッジのために必要な考え方だと思っています。

——性善説に立った考え方?

管:例えば、外注先から提出されたアウトプットが期待したような内容でなかったとしましょう。私はこの場合、決して意図的な失敗ではないと考えます。相手が常識をもった大人なら、いいものをつくりたい、クライアントに貢献したいという思いで仕事に取り組んだ上で、失敗しているはずなんです。

そんな場面で、結果だけを見て、根性論で責めるとどうなるでしょうか。反論が出てきて、こちらもヒートアップという図が浮かんできませんか? なので、まずは相手の思いを汲み取り、冷静に結果の分析と次回への反省点の洗い出しを行うと建設的ですよね。

——相手を信じることで見えてくることがあるんですね。

管:そう思います。“この人ならできる”という前提で相手と接すれば、もし成果が出なかったとき、“本来ならできるはずなのに、どうして結果が出なかったのか”と理由を考えるようになるんです。

これは社内のあるメンバーの例なのですが、パフォーマンスが低い状態が長く続いていたんですね。何か理由があるはずだと思い面談したところ、仕事以外のところでトラブルを抱えて疲弊していたことがわかったんです。適切なサポートを行うことで、元のペースを取り戻すことができました。そのメンバーの能力を信じていなかったら、きっと気づかなかったでしょう。「いい人」だと思われたいとか、「いい人ぶっている」と思われたくないという視点ではなく、全面的に信頼することを一つの戦略だと捉えて試してみてほしいですね。

(構成:中島香菜、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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