眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸。睡眠の質が低下すると、
日中に眠気を催すばかりでなく、高血圧、脳卒中、糖尿病にもなりやすくなる。
「閉塞性睡眠時無呼吸」の主な原因は肥満。のどの周りに脂肪がつくと、
気道が狭くなり、眠っているときにふさがりやすい。
「中枢性睡眠時無呼吸」は心不全など別の病気のために呼吸中枢の指令が
うまく伝わらずに呼吸が止まるもの。
2つのタイプの特徴と治療法を詳しく解説いたします。
Contents
睡眠時無呼吸についてチェックリスト
まずはこちらの、睡眠時無呼吸症候群チェックリスト で
自分がこの症状になりそうなのか、なっているのかの確認を
お願いします。
□家族や友人から、「いびきが大きい」と指摘されたことがある
□最近かなり体重が増えた。または、肥満ぎみである
□あごが小さい、あごが引っ込んでいる
□鼻がつまりやすい、鼻に病気がある
□気がつくと口で呼吸している
□高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある
□毎晩のようにアルコールを飲むことが多い
□喫煙者である
□夜寝ているのに、日中に眠気がある
□会議室や仕事中に、気付いたら眠り込んでしまったことがある
『図解 睡眠時無呼吸症候群を治す! 最新治療と正しい知識』白濱龍太郎著(日東書院)より引用
喉や気道が塞がってしまうタイプ 閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)
上気道に空気が通る十分なスペースがなくなり呼吸が止まってしまうタイプです。
SAS患者さんのほとんど、9割程度がこの閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)に該当します。
上気道のスペースが狭くなる要因としては、首・喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大のほか、
舌根(舌の付け根)、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(口腔上壁後方の軟らかい部分)
などによる喉・上気道の狭窄が挙げられます。
これには、骨格とその中におさまる解剖学的な組織の量が関係します。
元々大きい骨格であれば多少太ったとしても、つまり組織の量が増えても、
上気道を狭める可能性はそう高くはありません。
しかし、例えば元々小さい骨格の場合はどうなるでしょう?
上気道のスペースが圧迫されて狭くなり、元から上気道のスペースが
少ない場合にはさらに閉塞しやすい状況になるわけです。
中枢性睡眠時無呼吸とは?
脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常です。
睡眠時無呼吸症候群の中でもこのタイプは数%程度です。
肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経には異常がないのに、
呼吸指令が出ないことにより無呼吸が生じます。
OSAと違い、気道は開存したままです。OSAの場合は気道が狭くなって呼吸が
しにくくなるため一生懸命呼吸しようと努力しますが、
CSAの場合は呼吸しようという努力がみられません。
CSAに陥るメカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した方の場合には
30-40%の割合で中枢型の無呼吸がみられるとされています。
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きょうの健康 今さら聞けない!あなたの睡眠総点検「2つの睡眠時無呼吸」
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睡眠時無呼吸症候群の治療・対処法について(動画あり)
CPAP(シーパップ)
睡眠時無呼吸症候群の治療の第一選択は、「CPAP」と呼ばれる「経鼻的持続陽圧呼吸療法」です。この治療法は、マスクを鼻や口に取り付け、CPAP装置からマスクを介して気道へ空気を送り込む方法です。眠っている間に圧力をかけながら空気が送り込まれるので、気道が塞がらずに確保されます。
マスクの種類や装着方法によっては、締め付けによる鼻やのどの痛み、かぶれ、目の乾燥と言った症状が生じることもありますが、その他の副作用はほとんどなく、有効な治療法として注目されています。出張にも持ち運びできるコンパクトなサイズの機器も登場しています。
マウスピース
比較的重症度が軽度で、いびきの音が大きく、断続的である場合は、睡眠時に口の中に「スリープスプリント」と呼ばれる「マウスピース(口腔内装置)」をはめ込む治療法があります。眠っている間に下あごが少し前に出るように固定することで、気道を確保します。
そのメリットは、比較的安価で、負担が少なく長期間使用できること、そして小型なので旅行や出張などに手軽に持ち運べること。いびきだけでなく歯ぎしりの悪習慣も改善されるケースもあります。
ただし、虫歯や歯周病、顎関節症などがある場合は、使用できない場合もあります。専門の歯科医にマウスピースを使用可能と判断してもらった上で、歯並びやあごの形に合わせて特別に作ってもらう必要があります。保険適用外のタイプもあるので、金額面と併せて歯科医としっかり相談しましょう。
外科的手術
睡眠時無呼吸症候群のリスクが手術のリスクを上回るなどの場合は、手術によって治療を行うこともあります。たとえば、扁桃腺が肥大して気道をふさいでいる場合は原因の扁桃を切除する、骨格的に上気道が非常に狭い場合は上気道を拡大するなどがあります。無呼吸を起こしている原因が明らかで、その箇所が特定できる場合に適用になるケースがあります。
しかし、外科的な手術は成人の睡眠時無呼吸症候群の治療においては非常に限定的です。子どもの場合は咽頭扁桃(アデノイド)肥大が原因のケースが多く、そのときは手術が第一選択となります。