「いくら目鼻立ちが美しい女性でも、健康でなければすぐ枯れてしまう花と同じ」——そうインナービューティーの重要性を説くのは、韓方医のキム・ソヒョン先生。
3代続けて韓方医を家業とする医師でありながら、大学時代にはミス・コリアに選出された華やかなプロフィールの持ち主でもあります。
健康的で艶やかな肌と髪が印象的なキム先生ですが、見た目の美しさにとらわれて無理なダイエットを試した過去も。そんな自身の体験や20年以上におよぶ臨床経験の積み重ねから、体を温めて活性化させる「温活」という方法でインナービューティーにアプローチしています。体を温めることの効能や、忙しくても手軽に始められる温活方法などについて聞きました。
韓方医学:古代中国の医学をもとに、韓国の風土や気候、韓国人の体質に合わせて発展してきた伝統医学。韓国では「西洋医学」と「韓方医学」が存在し、症状にあわせていずれかの治療法を選択(あるいは併用)するのが一般的です。
日本人や韓国人に多い“冷え”体質
——韓国・ソウル市江南(カンナム)にある先生の韓方クリニックには、日本からも患者さんが多く訪れているそうですね。日本人女性に特有の問題点はありますか?
キム・ソヒョン先生(以下、キム):不思議なのですが、同じ東アジア圏でも、日本人は、中国人より韓国人と体質が近く、「陰」と「陽」で体質を分けるなら、「陰」体質の方が非常に多いです。
「陰」体質の女性の特徴としては、「冷え症」だということと、ストレスが胃と腸に現れることです。冷え症というのは、「手が冷たい」「足が冷たい」で放っておくと後々大変なことになります。女性ホルモンのエストロゲンは、平均的に35歳で分泌がピークを迎えますが、冷え症によってエストロゲンが不足し、30代、40代とまだ若いうちから更年期のような症状に悩まされている女性がたくさんいます。
そういう方たちに共通している特徴は、「疲れやすい」「肌が疲れてる」「毛髪に弾力性がない」ということ。クリニックの患者さんからよく「先生は何のシャンプーを使ってるの?」「化粧品は何を?」と聞かれるのですが、問題は化粧品やシャンプーではありません。結局、インナービューティーを実現することが、“天然のメイク”になるのです。
会陰を温め、めぐりを良くして“冷え”解消
——先月、日本で『おしり温活美人』(ポプラ社)という本を発売されました。体、特に子宮まわりを温める重要性を説いていらっしゃいますね。
キム:「温活」というのは、体温を上昇させることが目的ではなく、まんべんなく体を温かくすること。“ヒーティングスイッチ”を入れて活性化させることです。
タイトルでは「おしり」と表現していますが、体全体のヒーティングスイッチという意味で、大切なのは「会陰」というツボです。これは女性の場合、膣と肛門の真ん中にあります。韓医学でいうと「陰の気が集まる場所」で、危篤の人のここに針をさすと目覚めるくらい強力なツボ。このスイッチを押すことで体の循環が良くなり、冷えが改善されます。
一番理想的な体の状態は「頭寒足熱」(頭が冷えて足元が温かい)なのですが、患者さんには逆になっている方が多いですね。そういう方は体の上部が熱く、胃がムカムカしたり、脱毛したり、赤ら顔になるといった症状が発生する反面、お腹を触ると冷たかったり、経血がドロドロだったり、足がむくんだりしてしまう。その場合は「冷え負債」、すなわち「冷積」があると疑ったほうがいい。全身のめぐりが悪くなっているんです。
——本書では、その「おしりスイッチ」を温めるための温活方法が多数紹介されています。代表的なものが会陰部分の外側に敷いて下半身を温める「玄米カイロ」ですが、そのほかにも、忙しい女性でも気軽に始めやすいものがあれば教えて下さい。
キム:本書でも簡単に触れているのですが、温活のツボを押したり、会陰の部分にアロマオイルを塗って女性ホルモンを活性化させるのもいいですね。
あと、手軽に実践できるのは飲み物です。例えば、1日1杯のコーヒーを、自分の体に合う温活用のお茶に変えるだけで1週間で体調が代わる方がいます。クリニックでも独自でブレンドした韓方薬茶を販売していますが、本にもレシピをいくつか紹介しています。
【玄米カイロ】
玄米 100〜150グラム
靴下 半足
(1)玄米をフライパンで焦げない程度に軽く煎り、乾燥させる。
(2)靴下に煎った玄米を入れる。
(3)靴下の口を糸で縫い(長めの靴下なら縛ってもOK)、霧吹きで軽く2〜3回水を吹きかける。
(4)(3)を丸ごとラップに包み、電子レンジにかける。(500wで1分〜1分半)
(5)やけどしない温度か確かめ、イスの上に玄米カイロを置き、会陰に当たるように座る。
*繰り返し何度も使えます。
【冷え症と肌トラブルにおすすめ:シナモン茶】
水1リットルに乾燥シナモン15グラムを入れ、弱火で30分以上煮詰める。
【慢性疲労、憂うつ感を和らげる:生姜茶】
水1リットルに皮ごと粗く切った生姜15グラムを入れて、弱火で30分以上煮詰める。
(『おしり温活美人』より抜粋)
※次回は2月28日(木)公開です。
(取材・文:新田理恵、写真:矢野智美)
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情報元リンク: ウートピ
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