いつかはやってくる「閉経」。日本人女性の平均的な閉経年齢は約50歳だと言われています。「30代半ばの自分にとってはまだ先」と思う人が多いでしょう。
ところが、イラストレーターのたかはしみきさんが、40歳以下で自然に閉経を迎える「“早発閉経”になりかけ」と告げられたのは39歳の時でした。
このたび自身の経験を描いたコミックエッセイ『わたし、39歳で「閉経」っていわれました』(主婦と生活社)を上梓したたかはしさんに3回に渡ってお話を聞きました。
閉経はほとんどの女性が当事者になること
——たかはしさんといえば、これまで自身の妊娠・出産・育児を描いたコミックエッセイなどを出版されてきました。今回の本では、体操や食事、入浴などの実践法が多く紹介されています。これには何か理由があったのですか?
たかはしみきさん(以下、たかはし):担当編集者さんから「何かやりたいテーマはありますか?」と聞かれた時、「“早発閉経になりかけ”を伝えられたときの私が欲しかった情報を伝える内容にしたい」と伝えました。
というのも、私、怖かったんですよね。不妊治療がうまくいかず、そんな中で閉経が近づいていることがわかりました。ネットを調べても知りたい情報が見つからない。私と同じような人はいるのか、その人たちはどんな経緯をたどったのかという具体的な情報がほとんどなかったんです。その状態がものすごく不安でした。
——それで基本的な知識と、その後の「対処法」を盛り込んだ本にしようと?
たかはし:はい。閉経は多くの女性たちがいつかは当事者になることです。妊活中の人や更年期に悩んでいる人だけではなく、20〜30代の若い女性や子どもを持つ気がない人にも読んでもらって、「卵巣機能が弱くなってきたら、その後はどうすべきなのか?」というところまで、具体的に伝えられる本にしたいな、と。そのためには、すべて私の体験談にならないほうがいいな、と思って、実践的なメソッドを盛り込んだ構成にしました。
——「閉経」という言葉のインパクトはすごいですよね。
たかはし:そうですね。出版後に書かれた新聞の書評欄でも、中村うさぎさんがエッセイに閉経について書こうとしたら出版社から止められたという例をあげて、「よくぞタブーに切り込んでくれた」という趣旨のことが書かれていました。私としては、「え? 閉経ってそんなにタブーなの!?」という感じで、逆に驚いたんですけど(笑)。
今すぐできるかかとの「上げ下げ運動」
——この本を読み終えて思ったのは、「10代の頃にお母さんが言っていた“女の子は下半身を冷やしちゃだめよ”といったアドバイスを理論的に解説してくれているんだ!」ということでした。当時はその意味がよくわからなかったけれど、それをしっかりとしたエビデンスに基づいて学んでいるような気がしたんです。
たかはし:本当にその通りで、「血行をよくしましょう」「運動は必要」ということってよく言われているけれど、「じゃあ、なんで必要なの?」というのは、実は、みんなイマイチよくわかっていないと思うんです。
この本に書いた卵巣を元気にする方法は、早発閉経の専門医から言われた「とにかく卵巣周りの血流をよくすることが大切」というアドバイスにもとづいて私自身が実践してきたものばかりです。
こうした生活改善によって、私は血流がよくなり冷え性が改善し、血中ホルモン値もよくなって、閉経に向かうスピードを遅らせられていると実感しています。
——たかはしさんが実践してきた健康法で、ウートピの読者がすぐに取り入れられそうなものはありますか?
たかはし:「かかとの上げ下げ運動」は、すごく簡単なのでオススメです。足を肩幅にひらいてゆっくりかかとを上げ下げするだけなのですが、ふくらはぎにきくんです。
ふくらはぎの筋肉は第2の心臓とも言われていて、下半身に流れた血液を、重力に逆らって上へ押し上げる役割をしているんですよ。だから下半身の冷え対策にいいみたいです。
器具もいらないしどこででもできるから、ちょっと冷えてきたかな?と思ったときにも「ながら」でできますし、何をやっても続かなかった私がずっと続けられているんですよ。
こんな当たり前のことでいいの?
——実際に本を出版してみて、読者からの反応はいかがでしたか?
たかはし:ありがたいことに、30代後半から40代の人たちからすごく反響をいただいています。なかには「こんな当たり前のことを今更?」というような感想もあります。
この本に書いたことって、姿勢を良くする、きちんと睡眠をとる、身体にいい食事をとる、呼吸を意識する、という基本的なことばかりなんですよね。だから、中にはきょとんとしてしまう人もいるのかもしれません。でも、それが卵巣にとって大事なことなんだとわかってもらえたら、と思っています。
——毎日仕事に家庭に忙しいし、基本的なことが意外と難しいんですよね。
たかはし:そうですよね。規則正しい生活には交感神経と副交感神経のバランスを整えるという役割もあります。今になってすごく思うのは、やっぱり何かを改善したいと思ったら、健康的な生活がベースになるということ。医療者による専門的な助言は、そうした生活をした上で得ることが大事なんだと思います。
早発閉経は命に関わる疾患ではないけれど、女性にとって産む/産まないを左右しますし、卵巣が元気であればあるほど、節目や曲がり角にも怯まずにいられるはず。晩婚化や高齢出産など、多様な生き方が増えた今の時代だからこそ、この疾患や、女性の身体の変化について知ってもらうことは意味のあることなのではないでしょうか。
(取材・文:武末明子、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
39歳で”閉経になりかけ”といわれて…「情報がないことが怖かった」