結婚前にちゃんと話し合ったつもりでも、いざ生活が始まると意外と「こんなはずじゃなかった……」は起こってしまうもの。
そのような“まさか”の事態にも揺るがない自分でいるために、これから結婚を考えている人たちに選択肢のひとつとして知ってほしいのが“婚前契約”です。一部のセレブリティが莫大な慰謝料を手にするため……というイメージがある人も多いと思いますが、実際に交わした人に聞いてみると「よりよいパートナーシップのため」という一面もあるようです。
今回は、10月27日23時放送のAbemaTV『Wの悲喜劇 〜日本一過激なオンナのニュース〜』で「急増中!契約結婚するオンナたち」にリアル経験者として出演する、ミュージシャンのSILVAさんに「婚前契約書を交わしたきっかけ」について話を聞きました。
最初に話し合いができないなら、その後はもっとできない
——夫婦、家族というと、結婚してから作っていくイメージがあって、結婚前から生活についてルールを決めるって意外と盲点でした。
SILVAさん(以下、SILVA):最初に話し合えないと、あとは下降していくのみですよ。離婚のふた文字が頭をよぎるようになると、話し合いすらままならないこともありますから。真剣な話ほど、愛情がピークのときにすることを勧めます。
——下降……。SILVAさんは、再婚だそうですが、今回婚前契約を交わそうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
SILVA:2008年から3年間、ニューヨークで過ごしたのがきっかけになりました。そこで、シビル・ユニオン(ドメスティック・パートナーシップ)といって、法的に承認されたパートナーシップ関係でいる何組かのカップルと知り合いになったんです。関係のカタチはさまざまで、元F1ドライバーのジャン・アレジさんと女優の後藤久美子さんのようなスタイルの同棲カップルや、友達以上恋人未満というカップルもいました。
関係が長く続くかは別として、始まり方も終わり方もとてもいいカップルが多かったんですよ。特にフランス圏の友人カップルは、私が交わしたものと比べると、100倍くらい厚みがある契約書を作成していたんですけど、付き合い方、寄り添い方が素敵なんですよ。契約書の有無で、こんなにも信頼度が変わり、ムダな会話もなくなるんだなと感じたので、再婚するときはパートナーシップ契約を交わそうと決めました。
——今は、入籍して法律婚の状態なんですよね?
SILVA:はい。パートナーシップ契約に……と思ってはいたのですが、日本はまだ法律婚を選ぶほうが何かと都合がよくて。例えば、社会的なイメージもそうですし、保険や、扶養家族などの制度面も、私にとっては法律婚のほうがメリットを多く感じられました。だけど、ニューヨークで知ったパートナーシップ契約はしたくて、何かできないかと探していたら、それに相当するのが“婚前契約”でした。
離婚で心に残ったわだかまり
——現在の夫である、パートナーさんは、“婚前契約”には賛成でしたか?
SILVA:いえ。最初は抵抗を感じていましたね。でも、結婚の話が出たときに、「婚前契約書を交わしたい。それをしておけば、ムダな別れ方、揉めるような別れ方をせずに済むはずだから」と付き合っているうちに切々と説明して。1年半かけて同意を得てこの形になりました。
——1年半……。そこまでこだわったのは、離婚した時にめちゃめちゃ揉めたからですか?
SILVA:いえ。そんなに揉めたわけではないのですが、言葉にできないわだかまりが残ったんですよね。お金の部分でも、家、車、貯金、積立……。最初はなんとなくの感覚で、2人でシェアしていると思っていたのに、別れた途端に多少なりとも奪い合いになって。
——自分の方が多く出したから多くもらう権利がある、とかですよね。
SILVA:そう。そういう目に見えないことや、“気持ち”の清算をどうするかというときに、どちらかが妥協するしかないんですよね。
婚前契約は気持ちが盛り上がっている時に
——でも、盛り上がっている時に切り出すと「どうして今、楽しい時なのに、別れや終わり方の話なんてするの?」と言われてしまいそうです。
SILVA:それは逆です。30代も半ばに近づいてきて、恋愛経験が多少あるとすれば、自分が好きになるタイプとか、終わり方って予測できると思うんですよ。
——そうですね。
SILVA:だから、自分の男性観みたいなものを一度書面に落とし込んでみて、冷静に見てみる。すると、だいたいいつも似た傾向の終わり方をするので、ここはきっちりしておいたほうがいいなって、盛り上がっているときでもそういう話ができるんですよ。もしそこで、盛り下がるような相手だったら、それは結婚相手じゃないと思えばいい。
——見切るのが早い……。
SILVA:真剣な話し合いがしたいと言っているのに聞く耳を持たないような人なら、自分のパートナーとしてはふさわしくないと判断した方がいいと思います。
気持ちが盛り上がっていて、関係が良好であっても、話し合いってすんなりうまくはいきません。夫と私の場合は、あまり前例がないので、小さなことでも説明をして、話し合って。それで、1年半かかったわけですから。
——長期戦になることも心得よ、ですね。
SILVA:はい。でも、そのうちに「こんなのもあるよ」「これはちょっと自分たちには当てはまらないよね」「自分たちだったらここはこうしようか」と夫の態度も変化して、自分で項目を盛り込むようになりました。
現実的な女性と、ロマンチストでいたい男性。もちろん、男女の考え方が逆だとしても、いかにピーク時に盛り下がらないようにこのネタを理解してもらうか、共有できるかというのは簡単なことではないかもしれません。でもピーク時にそれができなければ価値観の違う2人が何十年も一緒に連れそえるかといったらやっぱり無理だと思うんですよね。
<<SILVAさん家の婚前契約書の一部を特別公開>>
第1章 夫婦のあり方
第1条(総則)
甲と乙とは,婚姻するにあたり,本日互いに第2条以下の条項を全て理解し,同意したうえで,真摯にその履行に務めるものとする。
第2条(夫婦間の愛情・信頼)
甲と乙は,結婚生活を送るにあたり,互いに,信頼し,愛し,思いやり,支えあい,尊重することとする。
第3条(役割の決定)
甲と乙は,家庭にかかわる事項,仕事に関する事項を独断で決定することなく,互いに報告と相談をし,互いに納得のいくまでその都度協議し,相互の合意のもと決定するものとする。
第4条(夫婦の会話)
甲と乙は,いかなるときも,誠心誠意向き合い,互いの意見を述べ,互いの意見を尊重し,互いの話に傾聴しながら話し合いをするものとする。
第5条(目標・努力)
1 甲と乙は,家族を大切にし,家族が円満に生活できるための最大限の努力を惜しまないものとする。
2 甲と乙は,互いに,各自の仕事が最善に遂行できるよう,協力し,努力を惜しまないものとする。
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#56「急増中!契約結婚するオンナたち」
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(取材・文:ウートピ編集部 安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
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