風邪をひいたときや寒暖差アレルギーと呼ばれる症状で、鼻がつまる、鼻水が止まらないなどでとてもつらいことがあります。少しでも軽減するセルフケア法はないものでしょうか。
そこで、臨床内科専門医で女性外来がある正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に、ご自身で実践されている方法について尋ねてみました。
寒暖差が原因で透明でサラサラの鼻水が出る
はじめに正木医師は、秋冬に起こりやすいという寒暖差アレルギーによる鼻づまり、鼻水、くしゃみについて、風邪との違いも含めてこう説明をします。
「秋冬は朝晩はかなり冷えて昼間との気温の差が大きくなります。風邪や花粉症、通年性のアレルギー性鼻炎でない場合の原因は、寒暖差による自律神経のバランスの乱れで鼻粘膜に異常が現れるなどが考えられます。
通称『寒暖差アレルギー』で、医学的には『血管運動性鼻炎』と言います。アレルギーと言っても、花粉症やダニアレルギーのように特定のアレルゲンに反応する病気ではありません。朝起きたとき、夜の冷え込み、水で顔を洗ったとき、屋外に出たときなど、急に鼻づまりや鼻水、くしゃみがひどくなって苦しくなる症状を言います。
風邪との違いは、くしゃみを連発することと、いつも透明でサラサラの鼻水が出ることです。風邪の場合の鼻水は、最初は透明でサラサラですが、2・3日すると白っぽい、また黄色っぽくネバネバと変化します」
マスクやマフラー、ホットタオルで鼻や首を温める
薬を服用する以外に、自分で症状を緩和する方法について正木医師は、次のアドバイスをします。
「まずはマスクをする、マフラーを巻く、ホットタオルで鼻の付け根あたりや首を温めることです。
マスクはつけている間は鼻やのどの周囲が自分の息で温まり、保湿も持続ができます。また、自律神経のバランスを整えるために、栄養のバランスが整った食事と充実した睡眠、リラックスすることを意識して実践してください」
鼻の症状や風邪の場合にアロマ・ティートリー
さらに正木医師は、ご自身でケアされているという「アロマの香りやツボによる刺激も試すとよい」と、その理由をこう話します。
「マスクなどはその場限りで有用ですが、体の内に働きかける手軽なケア法として、香りの作用でリラックスして自律神経のバランスを整えると考えられるアロマオイルの活用、また、鼻の周囲の働きを促すようにツボケアもよく行っています」
ではその方法を、正木医師に具体的に伝授してもらいましょう。
(1)アロマ・ティートリーを活用
ティートリー(ティーツリー)は、ウッディ系の清涼感のある香りでフトモモ科の植物から抽出されたアロマオイルです。アロマオイルの中でも抗菌作用が優れているとされ、石けんや洗濯洗剤に配合されることもあります。
私は、鼻づまりや鼻水、のどの痛み、風邪のときにはとくによく用いています。ティッシュペーパーやハンカチ、コットンなどに2~3適たらして枕元に置いて寝る、マスクに1適たらして使う、バスタブに数滴たらす、スプレーボトルを作って(無水エタノール5mlに10滴ほど混ぜ、さらに精製水50mlを加えて混ぜる。分量は比率に応じて変える)、部屋の空間やファブリック、洋服やマスクに吹きかけるなどしています。
頭・眉・鼻にあるツボ3つ
(2)ツボ・上星(じょうせい)を刺激する
「上星」は額の髪の生え際の中央から少し上にあるツボで、鼻づまりを緩和するツボとして知られています。頭重感、頭痛、いびきなどの緩和にも働きかけると言われます。
<ツボ「上星」の位置>
顔の中心線上で、額の髪の生え際の中央から頭頂部に向かっておや指の幅1本分ほど上がったところ。イタ気持ちいいところを探しましょう。
<刺激法>
押しやすいほうの手のひとさし指で、ひと押し5~10秒ほどの刺激を3~5回くり返します。
(3)ツボ・攅竹(さんちく)を刺激する
「攅」は集まる、「竹」は竹の葉の意味で、攅竹は眉毛の形を表現しているとされます。眉の内側の端にあるツボで、鼻づまり、鼻水、目の疲れ、涙目、目がはれぼったい、めまい、頭痛の緩和に作用すると考えられています。
<ツボ「攅竹」の位置>
眉毛の鼻側の端、下から手のひとさし指やおや指で押してグリグリとした感覚や、イタ気持ちいい感覚を覚えるところ。左右にあります。
<刺激法>
左右のツボを同時に、ひとさし指、またはおや指やなか指を使い、気持ちよいと感じる強さでひと押し5~10秒ほどの刺激を3~5回くり返します。
(4)ツボ・迎香(げいこう)を刺激する
「迎香」は文字の通り、「香」りを「迎」えるという意味があり、鼻に関する多くの症状を緩和する特効ツボとして知られています。鼻づまり、鼻水、においがわかりづらいとき、鼻血、顔のけいれんのケアに作用するとされます。
<ツボ「迎香」の位置>
鼻の両脇、小鼻が開いている根元のすぐ横。左右にあります。
<刺激法>
左右のツボを同時に、両方の手のひとさし指でやや強めにひと押し、5~10秒ほどを、3~5回くり返し刺激しましょう。
最後に正木医師は、
「鼻づまりや鼻水の症状が10日以上続く、仕事や日常生活に支障をきたす場合は、何らかの病気の場合があります。内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう」とアドバイスを加えます。
さっそくティートリーでスプレーボトルを作り、部屋の空間やカーテン、マスクやマフラーにひと吹きなど多くのシーンで常用しています。鼻づまりや鼻水を緩和するツボはおもに顔にあり、わかりやすくいつでも押しやすいというメリットもあります。便利で有用そうなセルフケア法、合わせて覚えておきたものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
鼻づまり、鼻水のケアに…臨床内科専門医が実践するアロマ&ツボ3つ