鏡に映る自分の髪を久しぶりによく見ると、ガサガサ、ボサボサでスタイルもかなり変……。外出自粛中にヘアケアに無頓着になって放っておいたツケがもろに出ています。そこで、なんとか自分でツヤ髪にする方法について、美容師で美髪のためのケアを追求する三谷遥さんに前後編でお尋ねしています。
前編の「美容院に行けずボサボサに……伸び放題でダメージヘアになる理由」では、放っておくとなぜ髪が汚くなっていくのかについてレクチャーしてもらいました。今回は、おうちでのヘアケアのコツについて聞いてみましょう。
アミノ酸系シャンプー、保湿、冷風、ストレス改善を
前編で毛髪の要素は、芯のメデュラ、大半を占めるコルテックス、表面を覆うキューティクルで成り立っていること、またキューティクルが美しく整っているときはコルテックスのタンパク質や水分を守っていることを教えてもらいました。
三谷さんは、「毛髪の構造を理解したうえで、キューティクルを美しく保つ方法を考えましょう。2週間ほどセルフケアを丁寧に続けると、ツヤを取り戻すことができるでしょう」と話し、おうちヘアケアのコツを次のように挙げます。
(1)ブラッシング——朝・洗髪前後・寝る前に丁寧に
「自宅にいる時間が長いとブラッシングの回数が減る」というお客さんは多いのですが、髪のツヤを出す基本は、ダメージケアに加えて、日々のブラッシングです。ただし、髪を引っ張ったり、適当にしたりするとキューティクルがはがれて余計にダメージを受けるので、常にそっと、頭皮に刺激が強く伝わらない程度に鏡を見ながら行ってください。
外出しない日でも、起床時には鏡で髪の状態を見ながら、髪全体を目安として50~100回のブラッシングをしましょう。
また、シャンプーの前にはまず毛先をといてから、生え際から毛先に向かって髪全体を丁寧にといていきます。すると、髪のからまりをほどく、髪に付いているゴミをとる、頭皮の汚れを浮かせることができて、シャンプー時の髪へのダメージを抑えることができます。
そして寝る前にも髪を50~100回ほどブラッシングしましょう。寝ている間のダメージを抑え、翌日のツヤのありように影響します。歯磨きと同時に行うなど、習慣にすると忘れないでしょう。
(2)シャンプー——アミノ酸系シャンプーを使う
シャンプーは洗浄成分である界面活性剤の種類によって、高級アルコール系シャンプー、アミノ酸系シャンプー、石けん系シャンプーなどがあります。中でもアミノ酸系シャンプーは、ほかの種類に比べて低刺激で、枝毛や切れ毛、乾燥などの髪のダメージを抑えます。敏感肌や乾燥肌の人にも向くため、頭皮への刺激も抑えることができます。
(3)予洗いとすすぎ——シャンプー前後の湯洗浄を丁寧に
髪に付着した汚れを取り除くために、シャンプーをする前にお湯ですすぐ予洗いを丁寧に行います。またシャンプー後のすすぎも洗い残しがないように十分にしましょう。約38度のぬるめのお湯をシャワーで頭皮全体にかけて5分ほどかけてそっと手ぐしをしながらすすぎます。髪全体に水分をふくませることで、摩擦によるダメージを軽減できます。
(4)シャンプー時——ゴシゴシとこすらない
キューティクルをはがしやすいタイミングは、(1)のブラッシング時とシャンプー時です。意識をして、毛髪をこすりあわさないようにしましょう。
(5)保湿——アウトバストリートメント、室内を加湿
肌と同様に、髪も常に保湿をしましょう。お風呂から上がったら、髪質に合った「洗い流さないトリートメント」や「ヘアオイル」を手に取って指先やヘアコームで髪につけましょう。また、髪が乾燥して、静電気が発生するとキューティクルが傷み、はがれやすくなります。静電気を起こさないために、室内の湿度を50~60パーセントに保ちましょう。
(6)ドライヤー時——タオルドライ後に温風と冷風を使い分ける
ドライヤーによるダメージを抑えるために、洗髪後はまず、タオルドライを行いましょう。毛先をタオルではさみ、こすらずに、手のひらでぽんぽんとたたきます。その後、頭にタオルを巻いて1~2分ほど、タオルの上から頭を手で押さえ、タオルに水分を吸収させます。
次に、(5)で説明したアウトバストリートメントをつけてから、ドライヤーの温風で髪を乾かします。このとき、7~8割ほど乾いたら、その後は冷風に切り替えて仕上げます。冷風で仕上げることによって、キューティクルが閉じて髪の乾燥を防ぎ、ツヤが出できます。
(6)頭皮ケア——マッサージをする
前編でお話ししたように、生活習慣が乱れる、ストレスがあると、頭皮の血流が滞って髪の状態が悪くなります。そのようなときや炎症があると、頭皮は赤みを帯びてきます。また、黄色みがある場合は頭皮の毛穴に皮脂や汚れが詰まっているサインです。
いずれも毛髪に栄養が行き渡らくなって、ダメージとなります。起床時、シャンプー時、寝る前には両方の手のひらや指の腹で頭皮のマッサージをそっとそれぞれ2・3分ほどかけて行い、血流を促しましょう。
※こちらの記事も参考にしてください。「美髪の秘訣は頭皮マッサージ! 美髪プロが教えるセルフケア法」
(7)生活習慣——食事、睡眠、ストレスに注意
脂質が多い食事、無理なダイエットなど栄養のバランスが悪い食事、睡眠不足、ストレスフルな時間が続くと、髪に栄養が行き渡らなくなります。健康な髪を保つためにはこれらの生活習慣を見直しましょう。
「ケアすることがたくさんあるように思われるかもしれませんが、どれもちょっとした心がけひとつですぐにできることばかりです。いくつか試みやすいことだけでも実行してみてください。成果が目に見えて現れるでしょう」と三谷さん。
美容院から遠ざかっている期間はとくに、丁寧なブラッシングやすすぎ、冷風の使いかた、保湿などを実践して髪の健康をキープする……ちょっとしたコツを心得て継続したいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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