これまで、お菓子やおかずのタンパク質、ごはんやパン、麺類の炭水化物について、食べすぎないように適量を知る「手ばかり法」をご紹介してきました。「手ばかり法」とは、1食、あるいは1日に食べるとよい食材の量を、自分の両手のひらで、ひと目で理解できる簡単な計量法です。
「お菓子は1日にどれぐらい食べていいの? 糖尿病専門医が教える『手ばかり法』」
「肉や魚は1日にどれぐらい食べていい? 糖尿病専門医が教える『手ばかり法』」
「ごはん、パン、麺類は1日にどれぐらい食べていい? 糖尿病専門医が教える『手ばかり法』」
今回は野菜の手ばかり法について、これまでに引き続き、糖尿病専門医で臨床内科専門医、ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)の福田正博院長に詳しく聞いてみました。
自分の手のひらに乗る量が食べるべき目安となる
はじめに福田医師は、「手ばかり法」について、次のように説明をします。
「以前の記事でも説明をしたように、『手ばかり法』は、糖尿病やメタボリック・シンドローム、肥満などの治療でも用いられています。
手のひらに乗る量を目安にして、自分が1食のうちに食べるべき食材の量を測ります。人によって手のひらの大きさは異なります。ですから、自分の手のひらに乗る量が適切な食事の量であり、それ以上は食べすぎだとイメージしてください」
野菜は1日に約350グラム、1食120グラム食べる
次に福田医師は、野菜を1日に食べる量の目安について、こう説明を続けます。
「食事のうち、野菜は副菜として食べることが多いでしょう。ビタミンやミネラル、食物繊維はおもに野菜から摂取されます。厚生労働省の「健康日本(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための野菜の目標値として、『1日350g以上食べましょう』と掲げられています。1食あたりなら、120グラムが目安になります。
ただ、1日に350グラム、1食で120グラムといってもいったいどのぐらいの量になるのか、把握できないことが多いでしょう。野菜は種類も多く、調理法によっても摂取カロリーが大きく異なります。そこで、野菜の種類や調理法別に手ばかり法を紹介しますので、数字にこだわらずとも、手のひらに乗る分量を目安にして食べましょう」
さっそく福田医師に、「1日や1食で食べたい野菜の手ばかり法」で、目安となる量を教えてもらいました。
(1)緑黄色野菜
トマト、ブロッコリー、ホウレンソウ、にんじん、小松菜、ピーマン、ニラなどの緑黄色野菜は、両方の手のひらに乗る量を1杯分、食べましょう。次に紹介する(2)の緑黄色野菜以外(淡色野菜)と合わせて、1:2の割合で合わせて「両手のひらに乗る量の3杯分」が1日に食べる量の目安になります。
(2)緑黄色野菜以外(淡色野菜など)
タマネギ、なす、きゅうり、ごぼう、セロリ、れんこん、もやし、大根、グリンピース、とうもろこし、白菜などの緑黄色野菜以外の野菜は、両方の手のひらに乗る量を2杯分、食べましょう。
(3)生野菜
サラダなどで生野菜を食べたい場合は、1食では、両方の手のひらに乗る量を1杯分、食べましょう。約120グラムにあたります
(4)加熱した野菜
1食では、片方の手のひらに乗る量を1杯分、食べましょう。約120グラムにあたります。
(5)糖質の多い野菜
ジャガイモやサツマイモなどのイモ類やかぼちゃには、糖質が多く含まれるので、1日3食合わせて、こぶし1つ分までの量としましょう。
(6)キノコ類・海藻類
キノコ類、海藻類を合わせて、1日で両方の手のひらに乗る量を1杯分、食べましょう。野菜には分類されませんが、これらは食物繊維が豊富なので、野菜と合わせて、いため物やあえ物などに調理をして積極的にとるとよいでしょう。
さらに福田医師は、1食分のカロリーについて、こうアドバイスをします。
「野菜はこれだけ食べるのは多いと思われるかもしれませんが、逆に考えて、たくさん食べても太ることはないことを意識しましょう。ただし、野菜だけ食べていては、エネルギーも栄養も不足します。
1食で摂取するカロリーのバランスは、主食の炭水化物が50%、主菜のタンパク質で25%、残りを脂質でとるのがよいでしょう。1食全体で600キロカロリーを食べるとして、主食は約300キロカロリー、主菜は約200キロカロリー、副菜の野菜は1食・120グラムで約30kcalとし、残りのカロリーを乳製品や果物でとるとビタミン類も補給できます。これを1日に3回食べると栄養のバランスが整い、食べすぎることがなく、太りにくい健康的な体づくりができるでしょう」
冒頭でもお伝えしましたが、これまでの記事で、主食(炭水化物)、主菜(おもにタンパク質)の1日に食べる適量を手ばかり法にて紹介していますので、合わせて参考にしてください。
野菜は、いくら食べても太りにくいこと、また、主食や主菜と合わせてバランスのよい分量を食べて栄養のバランスを整えようということです。1日に3回、食材の量と全体の割合を考えた食事を続けたいものです。
(取材・文 藤原 椋/ ユンブル)
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野菜は1日にどれだけ食べるとよい? 糖尿病専門医が教える「手ばかり法」とは