新型コロナウイルスの影響で、外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の推奨など私たちの暮らしは一変しつつあります。感染リスクを恐れて対面式の交流がしづらくなっている昨今、コミュニケーションの舞台は次第にインターネット上へ。送別会・入社式・朝礼などを“オンライン”で行う企業が現れたとか。
そこでウートピでは、この状況を逆手に取って創意工夫する人々にフォーカス! 「オンライン○○した人に聞いてみた。仕事編」と題し、ビジネスの場に芽吹いた新たなコミュニケーションの潮流を紹介します。
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「テレカンはブレスト向き」オンライン送別会で気づいたこと
インターネットメディアを中心に、コンテンツの企画・編集・原稿執筆・運営などを手がける有限会社ノオトの代表取締役を務める宮脇淳さん。3月末に退職した社員(以下:松尾さん)の送別会を、オンラインで行ったエピソードを明かしてくれました。
最初は“リアル”な場での送別会を予定していたそう。しかし、東京都知事が「オーバーシュート重大局面」のパネルを掲げた会見(3月25日)を目の当たりにした松尾さんから「感染リスクを考えて辞退したい」と申し出があり、店をキャンセルすることに。代替日を考えていたところ、別の社員から「有料版を契約したZoomを使って、オンライン送別会をしてみては?」という提案が。宮脇さんはすぐに受け入れます。
当日21時30分、オンライン送別会に集まったのは全社員14人、宮脇さんと松尾さんだけは横並びで同席しながらの中継で参加。宮脇さんいわく、「シェフの扮装で料理する人がいたり、ベッドに寝転んで参加する人がいたり……自宅で自由気ままに過ごす、社員のリラックスした姿がおもしろかったですね」。宮脇さんは、同席していた松尾さんにプレゼントと寄せ書きを贈呈。送別会らしいムードも演出できたとか。
新型コロナウイルス騒動が起こってから、何度かオンラインミーティングを経験した宮脇さんは「相手の話をよりじっくり聞くようになった」と言います。特にテレカン(テレカンファレンス:遠隔会議)との相性がよさそうと感じたのは、ブレスト(参加者による自由なディスカッション・アイディア出し)。「対面時では座る位置や角度によって相手との距離が変わりますが、オンラインでは全員が同じモニタの向こうにいる。思った以上にフラットな環境で議論できる気がして」「みんなが在宅になると、顔を合わせたときの何気ない雑談が減ります。ですので、オンラインで気軽に世間話をしながら、企画の“種”を探す場を設けたらおもしろいかもしれません」──。
先輩一同の笑顔&手振りで歓迎ムードが醸成されたオンライン入社式
4月1日に約40人の新卒・キャリア入社社員を迎え入れたグループウェア開発メーカーのサイボウズ株式会社。人事本部の小野加寿也さん・高木一史さんは、本番の6日前(3月26日)に入社式を「Zoom」で行うと決めました。新型コロナウイルスが猛威を振るう前からZoomを導入し、オンラインミーティングに慣れていたことから環境面に強い不安はなかったものの、お二人は「リアルに会えないことで、新入社員に我々の歓迎がどのように伝わるか気がかりでした」と当時を振り返ります。
ところが、その不安は杞憂に終わりました。蓋を開けてみると、忙しい業務の合間を縫って250人以上の先輩社員が自主的に参加。いずれもパソコンやスマートフォン上で中継を視聴し、デバイス内蔵のカメラに笑顔を映しながら手を振るなどして新入社員を歓迎したのです──。中にはチャット機能で「ようこそ!」と呼びかけ、「88888」と“拍手”を表現する先輩の姿も。そんな中、社長の青野慶久さんはスピーチで「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念に言及し、門出を祝うムードに拍車をかけます。
「雰囲気をよくしようと自ら動いてくれる社員のおかげで、予想以上に盛り上がりましたね」とは、人事本部の小野さん・高木さんの談。これを裏付けるように、新入社員の日報には「私たちの入社を祝うために集まってくださり、本当に嬉しかった」というコメントが数多く寄せられたそう。先輩社員からも「新入社員の表情と名前がよく確認でき、身近に感じた」「普段なかなか話すことのない部署や他オフィスの社員と同時につながれたので一体感があった」と好意的な声があがったといいます。
リモートワークや副(複)業解禁など、もともと多様で柔軟な働き方を推進しているサイボウズ。今後しばらくは新人研修もオンラインで実施するそうです。
オンライン朝礼・トレーニングで運動不足を解消
化粧品や美容健康食品のECブランド「fracora(フラコラ)」を展開する協和は、新型コロナウイルスの影響で、原則として在宅勤務に。そこで東京・西新宿のオフィスで9時30分から行われている全社員向けの朝礼を、3月9日からオンラインに切り替える環境を整えました。現在では社員約60人がZoomでのオンライン朝礼に参加しています。
お客様に美と健康を提供するならまずは自分達からと、「健康経営」をモットーに掲げる協和の1日のスタートは、ちょっとユニーク、毎週月曜日は社是唱和やスピーチなどが実施され、そのほかにも毎朝、スロトレ(筋トレ)・フェイトレ(顔のエクササイズ)・マインドフルネスが30分ほどかけて行われています。スロトレの試みが評価され、2015年から5年連続で都から「東京都スポーツ推進企業」に認定されました。
オンラインになってもこの取り組みは健在。「朝礼の司会は交代制で、Zoomでの運営や動画配信に慣れていない社員が戸惑うことはありますが、システム担当者と連携して乗り越えています」と話すのは、協和の広報・PR業務に携わる上間秀美さん。初めてオンライン朝礼に参加する社員からは不安の声があがったものの次第に慣れ、現在ではスムーズに運営できています。また、「毎朝の各種トレーニングが運動不足解消や気分転換になってよい」といった前向きな反応が寄せられています。
加えて、上間さんは「店舗を持たない通販事業がメインの弊社は、テレワークとの親和性が高いと感じています」とコメント。現在は一日平均8,000歩を目指す「fitbitチャレンジ」を再スタートさせようと、ウォーキングや筋トレといった運動メニューも午後にライブ配信しています。音頭を取るのは、協和の社員で2000年のシドニーオリンピックに競歩で出場した柳澤哲さん。ライブ配信されたウォーキングイベントでは「腕を大きく振って!」「お尻も脚だと思って歩きましょう!」と具体的でわかりやすいアドバイスが飛んでいました。
後編ではプライベート編を紹介!
逆境から生まれる、ビジネス現場におけるコミュニケーションの新たな機運。こうしたオンラインでの交流が、さまざまシーンに派生。次回は「プライベート編」をお届けします。結婚式・『鬼滅の刃』クイズ選手権・『テラスハウス』実況鑑賞など、閉塞感を吹き飛ばす試みとは? 4月24日の公開をお楽しみに。
(取材・文:岡山朋代、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
送別会、入社式、朝礼…オンライン○○した人に聞いてみた【職場編】