疲れて家に帰ったとき、あたたかいお料理が待っていてくれたら、どんなに助かることでしょう。そこでいま、注目を集めているのが無水調理鍋「ホットクック」。出かける前にセットしておけば、帰宅時にはうまみや栄養分たっぷりのお料理ができあがっています。
家電を活用して自炊を増やすメリットを『ラクにおいしく無水調理! はじめての「ホットクック」レシピ』(世界文化社)を上梓した料理家・夏目陽子(なつめ・ようこ)さんと、担当編集者の石川奈都子(いしかわ・なつこ)さんに、伺いました。
自炊にまつわる働き女子の声
——自炊って、忙しい人にとって永遠の課題だと思います。したほうがいいとわかってはいても、手がかかって後回しになる。たとえば、こんなお悩みがよく聞かれます。
「独身だと心ゆくまで仕事をしてしまうから、帰宅すると22時。そこから、自分のためにつくる気には絶対なれない。帰り道にさくっと食べたり、コンビニごはんを買ったりして終わる」(30歳/広告代理店勤務)
「バタバタの時短勤務を終えて、子どもを迎えに行くだけで精一杯。帰り道にスーパーに寄ったり、帰ってから子どもをなだめつつ自炊するのがしんどい……。冷凍食品やレトルトばかり食べている気がする」(33歳・メーカー勤務)
「なんだかんだ購入するほうが楽。思い切って自炊を手放し、外食や中食だけで済ませていたら、10キロ太ってしまった……!」(35歳・メーカー勤務)
——いまは外食や中食(テイクアウト)、出前なども充実しているので、費用面が気にならないなら自炊にこだわる必要はない気がするけれど、実際どうなんでしょう。料理家さんから見て、外食と自炊に差はありますか?
夏目陽子さん(以下、夏目):外食と自炊では、やっぱり塩分濃度が全然違います。私もお総菜の企画開発に携わっていたことがあるけれど、“とにかく一口目がおいしい”お料理を出すのが中食なんです。対して、“一食分すべてを食べておいしい”のが自炊。だから、外食や中食ばかりでは、どうしても塩分や脂肪分が多くなりがちなんですよね。自炊のレシピを味が薄いと感じるかもしれないけれど、慣れれば大丈夫です。
——たしかに、外食や中食っておいしいですもんね……。夏目先生は、会社員時代にもずっとしっかり自炊されていたんですか?
夏目:いえいえ、会社員時代はそうもいきませんでした。帰宅が遅い日は、ビールとポテトチップスで夕食を済ませることもあったし(笑)。でもお料理したいタイプではあったから、あのときホットクックみたいに便利な家電があったらよかったのに、と思いますね。
——フリーランスの料理家になってからは、忙しくても自炊でしょうか。
夏目:そうですね。一日一回はキッチンに立とうと決めています。自炊したごはんをちゃんと食べるようになって、やっぱり身体の調子もいいですよ。いま38歳で、運動なんてまったくしないけれど、コレステロールも血糖値も理想的な数値だといわれました(笑)。
——それはすごい! しかも、プロポーションもいいですもんね。自炊の威力を感じます。
自炊は、時間と心に余裕があるときだけでいい
——おいしいものを食べると元気が出るから、手軽な自炊でおいしいものが食べられたら最高ですね。毎日ご自愛できる。
夏目:私は職業柄ちゃんとお料理する習慣がありますが、そうでなければ便利な家電をぜひ活用してほしいですね。毎日遅くまで会社に残っていたり、子どもが小さくてキッチンに立ちづらかったりする方を、家電が助けてくれます。自炊は、時間と心に余裕があるときだけすればいいんです。
——確かに……! バタバタ忙しくしていた日に、ホットクックをセットして子どもと公園に行き、帰ってきたら野菜たっぷりのスープができていたときは、すごく気持ちがやわらぎました。
夏目:忙しいときこそ、優しいものが食べたいですもんね。あとは、仕事や子育てなどでライフスタイルが変わった方にもおすすめです。料理教室の生徒さんが、お子さんを産んだあとにホットクックを買ったんですね。「それで陽子先生のレシピをつくってみたら、とってもおいしくてびっくり! ずっとストウブ派だったのに、ホットクックばかり使うようになりました」なんておっしゃっていました。あまり火を使ってほしくない高齢の両親にプレゼント、なんていうのもいいですね。
——ホットクックがどうして売れているのか、とても理解できます。既存の1.6L/2.4Lタイプに加えて、11月末には1~2人用の1Lタイプも登場しました。
石川:1Lタイプは蒸しトレイが付属していて、上段と下段で別の料理がつくれるんですよ。ストウブやル・クルーゼに比べればまだまだニッチな調理器具ですが、今回の書籍『ラクにおいしく無水調理! はじめての「ホットクック」レシピ』も、発売2週間で重版がかかり、早くも3刷が決まりました。とはいえ安い買い物ではないから、まずは使ってみるといいかもしれませんね。SHARPの体験会や家電レンタルサービスなどで試せるようです。
夏目:それはいいですね! 使い心地とか、キッチンの置き場所とか、やってみないとわからないこともあるし。
(取材・文:菅原さくら、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
- ホットクックを電子レンジのように使う!? 簡単そうな普通の料理こそ、味わい深く
- 話題のほったらかし家電「ホットクック」。レシピ本の著者に感想を聞いてみた
- 「とりあえず冷凍庫入れとくか」を卒業したい。プロが教える“仕込み術これだけは”
- 「お母さんみたいにやらなくちゃ」に縛られないで。仕込み術の料理研究家が伝えたいこと
- 「いつものお弁当を見せてください」働き女子と男子に聞いてみた
- オトナ女子の冷凍庫の中を覗いてみた 常備品No.1は意外なシーフード
情報元リンク: ウートピ
自炊を家電にまかせて時間と心に余裕を【ホットクック レシピ本著者に聞く】