絵本作家、イラストレーターとして活躍中のヨシタケシンスケさん。発売したばかりの新作は、大人のためのイラストエッセイ『欲が出ました』(新潮社)です。このエッセイのもとになっているのは、ヨシタケさんが普段から持ち歩き、思ったことをかきとめるスケッチ帳。このスケッチ帳から絵本のアイデアが生まれることも多いんだとか。そんな大切なスケッチ帳から、選りすぐりのイラストをエッセイで解説した今作。今回は、その第二章「親子そろって、欲が出ました」の一部を特別に公開します。
おなかがバカーッてなってしんでもいいから
これはうちの子じゃなくて、お店に行ったら、どっかの子がお母さんに、ジュースを頼みたいんだと、一生懸命せがんでいる。
で、お母さんが、さっき飲んだでしょ、そんな飲んだらおなか破けちゃうよ、と怒ったら。
おなかがバカーッてなって、しんでもいいから、バナナジュースのみたいの! って。
すごい力説してて、わかるなあって。この「今さえよければ」感。面白い。人んちの子だから飲ませたいけど、自分の子が言ったら絶対飲ませない、という話でもあるんですけどね。
これはきな
下の子のズボンが汚れて、はき替えさせてって嫁に言われて、僕がズボンを選んで。
「これはきな」って持ってったら、「え? それはお母さんがそう言ったの?」。
全然信用されてないんですよね。保護者としての価値が低い。
でも、向こうにしたら、どうせそれをはいたところで、「え、それなの」ってお母さんが言ってきたら、もう一回はき替えなきゃいけないから、面倒くさいわけです。
それ誰セレクトなんだ、お母さんが言うならはく。お父さんが言ってるんだったら、まだはかなくていいんじゃね、ってこと。
この決定権のなさ。でも、実際に間違ったもの持ってくるじゃんとか、思われてる。夏なのに、それ長袖だろみたいなことで、しょっちゅう怒られてるの見てるんで。こちらとしても、「ちょっと上司に確認してまいります」って感じですね。
フーセンをふくらませて
フーセンをふくらませてくれ、と次男が部屋に入ってくる。しあわせですな。
このときは気持ちに余裕があったんですよ。仕事部屋にいきなりガチャッと入ってくるから何かと思ったら、ふくらませてくれって、フーセンを差し出されて。五歳くらいの頃かな。自分じゃふくらませられないから、代わりにやってあげられる時期です。
まだ父親を必要とする。これが自分でふくらませられるようになると、もうお父さん要らなくなるんで。
こうやって頼るあてにされているっていうのが、要は本当に親にとっては幸せなときなんだろうなあって
丸洗いできます
子どものいいところ。丸洗いできるんです、どんなに汚れても。
よごれてもよごれても丸洗いできます! って。
頭なんかもね。別にドライヤーなんか使わなくてもすぐ乾く。服もどろどろになってもほとんど落ちる。
育児の本当に一番つらい時期って、いったい、いつ終わるんだろうって苦しいけど、基本、丸洗いできるっ
てことで、毎日リセットできるんだよって、いい話です。
丸洗い可。
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続きは絶賛発売中の『欲が出ました』でお楽しみください。
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情報元リンク: ウートピ
育児で辛い時期もあるけれど…子どもは丸洗いできるんです【ヨシタケシンスケ】