合鍵で勝手に自宅に上がり込んで六花亭のバターサンドを盗み食いする、市役所に行ったかと思えばマイナンバーを7の連番にするよう要求する……。
大阪在住の主婦・ばたこさんとあまりにも強烈な義母「くそばばあ」との泥仕合の日々をユーモアたっぷりにつづった『お義母さん、ちょっと黙ってください―くそばばあと私の泥仕合な日々―』(新潮社)が10月に発売され、情報番組で取り上げられるなど話題を呼んでいます。
夫やパートナーは選べても義実家の家族や親戚は選べない……年末年始などの帰省シーズンのたびに義実家との付き合いに悩んでいる人も少なくないのでは?
厄介な人や義実家との付き合い方についてばたこさんに伺いました。前後編。
ツイッターを始める前は“悲劇のヒロイン”になっていた
——ばたこさんが義実家撲滅アカウントでツイートしていたつぶやきを元に書籍化した『お義母さん、ちょっと黙ってください』では、ばたこさんとくそば……いや、お義母さんとの出会いやご自身の家族についてもつづられていてツイッターとは違った読み応えがありました。ツイッターを始めて変化はありましたか?
ばたこさん(以下、ばたこ):結構変わりましたね。ツイッターを始める前は、“悲劇のヒロイン”じゃないですけど、「こんな変な姑(しゅうとめ)がいて、私は不幸なんや……」と思ってたんです。でも、こうして自分の気持ちを言語化したら、共感してくれる人がたくさんいて。「みんな、そうなんだ。自分だけじゃないんだ」と思うと、心強くなりました。
また、最初はツイッターで義母だけじゃなく、芸能人の不倫の悪口などもわめき散らしていたんです。でも、自分の中で、「あんまりスッキリしないな……」と思っていて。それで悪口の最後に、「義母をハルカスから打ち上げました。」みたいなオチの一言を付けたら、本当に打ち上げたような気持ちになってスッキリしたんです。本当に怒ってるとき以外は、そうやって最後に笑える文を入れるように意識しています。
——一冊の本になってみていかがですか?
ばたこ:今回、一冊の本になったことで、初めて自分を認めることができました。自分の中では、義母に対する悪口をいっぱい書いたつもりだったんですけど、こうやって本になって読んでみたら、「そんなに心底恨んでるわけじゃないのかな」って思いました。
旦那に対しても、言葉にして書くことで昇華できたことが多くて……。許せないこともいっぱいあったんですけど、みんなに笑ってもらって元を取ったというか。「そんなに悪いことばっかりじゃないな」と思えるようになりました。
義母とは距離感の問題
——情報番組で取り上げられるなど反響を呼んでいますが、周りの反響も含めていかがですか?
ばたこ:ツイッターで仲良くしている「義実家撲滅アカウント」の方たちも読んでくださったみたいでいろいろ感想をいただけてうれしかったです。テレビで紹介されたときは、私のことを知らなかった人たちからも反響があって「お義母さんの良いところにも、目を向けてみたら?」という声も結構ありましたね。
——そうなのですね、それについてはいかがでしょうか?
ばたこ:うーん……義母の良いところを一生懸命考えてみて、かろうじて何個か出せたんですけど、やっぱり距離感の問題なのかなと思いました。例えば、義母とパートで一緒やとか、そのくらいやったら仲良くできると思うんですけど……。
——朝の7:30にいきなり家に来られたら距離感も何もないですよね……。
ばたこ:そうなんですよね……。週に何回も会ってると、ちょっとうっとうしくなったり、どうしても我慢できないところがあったりして。朝とか忙しい時間に一方的に話しかけられると、「こっちにも都合が……」と思ってしまいます。
——そりゃそうですよね。
ツイッターにも登場! “旦那”の反応は?
——ばたこさんのツイートには夫も頻繁に登場しますが、夫はツイッターや本は読まれたのですか?
ばたこ:「読まないで!」って言ってるので、読んでないです(笑)。でも、「愚痴をわめき散らすだけで、お金になっていいな~」って言ってましたね。旦那は、ポジティブに受け止めてるようです。
——おお! 寛大ですね。
ばたこ:それと、「本に書くことで、俺やオカンへの不満が発散されるなら、こっちに怒りが向かなくなるから楽だ」とも言っていました。「そういえばツイッターを始める前は、昔のことを何度も蒸し返して怒られてたけど、最近は怒る回数が減ったよね」って。
——ツイートには「旦那への愚痴」もたくさん登場します。本でも「ツイッターで『なぜ結婚したんですか?』と聞かれることが多くある。」と書かれていましたが、夫との離婚は考えていないのでしょうか?
ばたこ:義実家は自転車で10分の距離にあるのですが、私の実家も家が近いんです。3つの家で一つの家族と思っているので「義母と離れたい」という私の気持ちだけを優先したら、私の実家とも平等に離れないといけない。そう考えると、ツイッターや本で愚痴を言う程度で発散できてるので、あまり離婚は考えていませんね。
距離を取りたい相手とは“不利益”をチラつかせる
——義理の実家や親戚は、自分で選ぶことができませんよね。そうは言っても、まったく関わらないわけにもいかない。ばたこさんが義実家との距離の取り方で実践されていることはありますか?
ばたこ:うーん。実は、私もずっと探してて……。でも、最近のコロナ禍で、初めてちょっと距離が取れたかなと思っています。私は電車に乗って都会のほうに通勤してるんですけど、義母は「あんたはコロナやから」ってすぐ言ってきて前より頻繁に会おうとはしなくなりました。
やっぱり、どんな人でも自分が不利益を被るかもしれない相手とは距離を取るんだなと思いました。何を言っても距離を取ってくれない人には、不利益をチラつかせるしかないのかなと。「私はあなたと会いたくない」と言うよりも、距離を取らざるを得ない状況をチラつかせたり、周りの環境のせいにしたりするのも、距離を取るひとつの手かなと思います。
※後編は1月2日公開です。
(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
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情報元リンク: ウートピ
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