10月末、オーダーメイドウェディング事業などを行うCRAZY(東京都墨田区)にて、CRAZY WEDDINGブランドマネージャーの山川咲さんと、キングコングの西野亮廣さんによる対談が行われました。テーマは「#結婚式に自由を」。
正解がひとつしかないように感じてしまう結婚式ですが、本当はもっと自由に楽しくできるのでは——?
日頃私たちが抱えている結婚式にまつわる「これって、どうなの?」について、会場の参加者も巻き込んで、山川さん、西野さんが本音で語り合いました。イベントの一部を編集してお届けします。
【第1回】結婚式に誘われても断り続けた理由
いい夫婦、結婚式って?
山川:ここからは西野さんに質問していきたいと思います。まず、いい夫婦ってなんだと思いますか?
西野:うーん。僕としては、「よそ見するな!」という関係は苦手ですね。愛は好きなんですけど、恋が嫌いなんですよ。何が違うかというと、自分目線か、他人目線か。恋は完全に自分目線で愛は相手目線だと思っています。
山川:この質問でなんかいい回答が出るとは。
西野:要するに、恋と愛って主役が自分か、主役が相手か。相手が主役でいるほうが僕は好きです。いい夫婦が何かというと……。僕は、男性が奥さんを主役にしているのを見ると、すごくいいなって思います。
山川:なるほど。2つ目の質問です。結婚式ってなんだろう?
西野:うーん。山川さんは、なんでやりたかったんですか? お姫様になりたかった願望が?
山川:その時はあったと思います。あとは今になって思うんですけど、あれだけお金と時間をかけて自分の好きなことをやりきる経験って他にないんじゃないかな。学校でも仕事でも、できないじゃないですか。それが私はすごいなと思っていて。ものすごくクリエイティブな体験というか。
西野:うん。そうか。普通、あんな経験ってないですよね。僕は芸人なので、ステージの上で見てもらうこともある。だから感覚がちょっと違うのかもしれないけど、普通に暮らしていたら、あんなに自分色に世界を作ることってないですね。
山川:そうそう。それまでは全部「するべきだからしている」っていう感覚があって。例えば、勉強するべきって言われるから勉強して、卒業したら仕事するべきって言われて仕事して。でも結婚式っていうのは、何をしたいですか、どんなドレスを着たいですか、どんな料理を食べたいですかって全部自分で選ぶんです。「べき」で生きてきた人は戸惑うと思うし、私としては人生が変わるパワーがあるなって思うんです。
西野:そっかぁ。それは特別な日だし、頑張りますよね。ちょっとお金をかけてでも。なるほどね。
山川:ちなみにクレイジーにはどんな印象がありますか?
西野:楽しいイメージです。(新郎新婦・ゲストが)みんなうれしそうにニヤッとしているような。ああいうのがいいですよね。あれぐらいカジュアルだとありがたいですね。
山川:西野さん、かしこまっているのが苦手そうですよね。
西野:そう。スーツ着ておとなしく座っているのが無理ですね。(クレイジーの)ゲストを緊張させないとか、あのノリがいいですよね。結婚式に行くのがライブに行くノリになるので。それなら結婚式に行きたいと思います。
こんな結婚式はイヤだ!
山川:3問目、これが今回の本題なんですけど。楽しすぎて本題に入るまでにたくさん話しちゃった(笑)。こんな結婚式に不自由さを感じていないか? ちょっと会場にも聞いてみましょう。何かありますか?
参加者Aさん:(ご祝儀や支度などの)予算ですね。3万円を包むのが当たり前っていうのも…。私、去年5回行ったんですけど。同じドレス着ていくのも何だしっていうのもあって。その「当たり前」ってなんだろうと思いました。
西野:そっかぁ。だいたい同じ年ぐらいの人の結婚ラッシュで。なるほど。予算問題ありますよね。結構高いですよね。
山川:世界と比べると、日本は高い。ですね、結婚式で不自由を感じること、事前にちょっとまとめておきました。
【結婚式で不自由を感じること】
ご祝儀
呼ばなくてはいけない人
高級フレンチコース
ドレス
司会・入場
円卓・高砂
ケーキカット
お酒を飲むまでの時間
ノンアルコールの人は烏龍茶
西野:ああーこれは面倒臭いな。なるほど。
山川:私としては呼ばなくてもいい人たちを呼んでいるから、つまらないものになっていそうだなと思うんですよね。
西野:会社の上司とか?
山川:はい。あとは、親がすごい人だと、親御さんのお知り合いとか。
西野:ああー。そっか、それがあるんだな。根深いですね。高級フレンチコース。みんなそんな高級フレンチコース食べたいです?
山川:昔はそれが特別で、結婚式に行くとあれが食べられるっていうのはみんなの憧れだったんだと思うんですよね。ただ、今はちょっと(フレンチでなくても)大丈夫ですよね。
西野:食べたいものを食べられたらいいですよね。バイキングにしてくれないかな。
山川:美味しいやつでね。
西野:ドレスは何が不自由なんですか? 着たいものなんじゃないですか?
山川:10年前とかだとお姫様願望ってあったと思うんですけど…。今ってお姫様になりたくない願望もあると感じるんですよね。目立ちたくない、みたいな。
西野:そうなんですね。司会も最悪ですね。定型文でトーンも似てるし、あんまり体温も感じないじゃないですか。
山川:コピペな不思議キャラですよね。
西野:円卓というのは、席?
山川:席ですね。
西野:決められているし、動けないからこのメンバーで喋らなきゃいけない、みたいなことですね。そう考えると不自由だらけですね!
山川:座れと言われていたかと思うと、ケーキカットでは立たなきゃいけなかったりしてね。
西野:なんか軍隊っぽいですね。そして乾杯までの長いあいさつが……。
山川:私最長55分待ったことがあります。来賓のかたが酔っていて、話が終わらないっていう。
結婚式に参加するゲストは受け身にしかなれないの?
西野:うっわーツラいなー。そう考えると、この一覧を見ると、ゲストが受信一方で、「この時立ち上がれ、この時待て」って。それで提供してくれるものが面白かったらいいけど……。面白くないものに、ご祝儀払って。むちゃくちゃやな! もう少しこっちに選択させてほしいですよね。
山川:今これだけいろんなことが自由になっているのに、結婚式をよく見てみると違和感だらけですよね。
西野:これだけスマホで発信することに慣れているこの時代に。受信するだけって辛いですよね。詳細は言えないんですけど、僕以前、世界一のパフォーマーと飲んだんですよ。で、目の前でパフォーマンスしてくれたんですけど、20分で寝てしまって。すごいパフォーマンスなんですよ。ただ、黙って見るだけ、アクションを起こせないっていうのは今っぽくないですよね。
山川:これが明らかになりにくいのは、大事な人の結婚式に参加しているからなんですよね。ゲストは「つまんなかったよ」なんて言えない。
西野:結婚式のダメ出しなんかできないですよね。これから結婚式を考えている人は、こういうところが実は不自由だって思う人がいるって、覚えておいてほしいですね。最近結婚式行った人、何が不自由でした?
自由から生まれてきた祝福の気持ち
参加者Bさん:他の人のスピーチにツッコミを入れられないっていうのが。「新郎はこんな人で…」「いや、ちゃうやろ!」みたいな。
西野・山川:ツッコミ入れたいんだ!(笑)。
西野:そう考えると、僕が久しぶりに参加した、サロンメンバーの結婚式は最高でしたね。新郎新婦の近くに行きたかったら行ったらいいし、食べるのも、飲むのも、トイレに行くのも自由。それだけ自由にさせてくれると、どうなるか。最後は自然にみんなで一丸となっておめでとうという感じになるんですよ。やっぱり新郎新婦が主役だねって。
山川:自由から生まれてくるんですね。
西野:結婚式で自分の好きなようにできるって、花嫁さんからするとすごく嬉しいことかもしれないけど。とはいえ、結婚式初めてですよね。要するに、初ライブ。
山川:結構高いお金とっちゃってね。
西野:ライブのノウハウがよくわかっていないまま、場を仕切らないといけないって、それは結構ツラいかもしれないですね。初ライブってスベるんで。基本。
山川:本当に新郎新婦が一生懸命準備してスベったら、みんな拾いに行くと思うんです。愛あるツッコミで。でも、会場の仕切りに乗っかって、スベっているかどうかわからないみたいな空気を出スト、みんなもどう突っ込んだらいいかわからないんじゃないかと。
西野:確かに、それだわ。それでいうともっと手作り感があるほうがいいですね。
山川:完璧なのにつまらない、より「手作りで失敗」している方が。
西野:「バカヤロウ」って笑って突っ込めるようなね。「本当にいいの用意したよ!来てね!」ってきて、ズルってスベったら、「バカヤロウ!(笑)」ってみんなで言ってね。楽しい空間になりますもんね。
山川:誰かが作ってつまらないというのが一番なんか寂しい気がしますね。
”結婚式”に対する解像度を上げてみると、私たちは誰かが決めた結婚式をいつの間にか“当たり前”だと思い込んでいるかもしれないことに気づきます。次回は、「結婚式をもっと自由にするための山川さんの提案と新ブランドIWAI」について語り合うシーンをピックアップします。
*次回は11月24日(土)公開予定です。お楽しみに!
(構成:ウートピ編集部 安次富陽子 写真提供:CRAZY/Ayato Ozawa
instagram :@ayatoozawa)
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情報元リンク: ウートピ
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