日本テレビの解説委員・キャスターで、現在は夕方の報道番組『news every.』(月~金曜午後3時50分~)に出演中の小西美穂さんの新刊『報道キャスターが現場で学んだ42の仕事術』(光文社)が12月9日に発売されました。
同書は日刊ゲンダイの連載「キャスター小⻄美穂 仕事のルール50」をもとに、「withコロナの視点」を加えて再構成。
著名人など1700人超のインタビュー実績を持つ小西さんが42の仕事術を提言しているほか、コロナ関連のニュースを伝え続けてきた立場として伝え方やコミュニケーションの取り方、働き方などについて得た「新しい気づき」もつづっています。
そこで、ウートピでは同書の中から、今日から実践できる小西さん流仕事術と50歳にして大学院に入学したエピソードを抜粋して掲載します。
傷つけないように、怒らせないように…
注意や助言をしたいと思ったとき、「プライドが高そうで言いづらいなぁ〜」「言うべきか、いや見過ごすべきか……」と迷いが生じたことはありませんか? 「職場で良好な人間関係を保つためには怒らせたくないけど、これだけは言っておかなければいけない」--そんな場面で大活躍する魔法の言葉があります。
「もったいない」。このフレーズを入れるだけで、こちらは言いやすく、相手は受け止めやすくなります。
たとえば、あなたが上司から「君は〇〇をしないほうがいい」「こういうところが悪いから直すべきだよ」なんてストレートに言われたらどうでしょう? たいていの方は「アドバイスありがとうございます」と頭を下げつつも、内心ではムッとするはずです。改善すべき欠点を他人にズバリ指摘されるのは、あまり気持ちの良いものではありませんからね。
特に年配の男性や役職に就いている方々はプライドが邪魔をして、目下の人からの指摘に対して素直に耳を貸せません。それどころか、「失礼だな、けしからん!」と怒りに火がついてしまうこともあります。
そこで魔法の言葉、「もったいない」の出番です。
褒めた後に「でも、もったいないです」
以前、ある研修を受けたときのことです。50代後半の管理職の男性が、参加者全員の前で発表をするというメニューがありました。男性はせっかちなタイプで、早口なうえ、ペンを小刻みに動かしながらモニターの図を説明します。そのため聞く側には、落ち着きに欠ける印象を与えてしまっていました。
研修の講師は、発表した男性よりもひと回り以上年下です。はたして彼は、この発表をどのように評価するのだろうか、私が気になったところを指摘するのだろうか。そんなふうに思って見ていたら、こう声をかけたのです。
「〇〇さんのお話、さすがです。ご経験が豊富なので、僕の知りたい点をズバリとおっしゃっていた。でも、もったいないです! ペンを動かしているのが気になって、話が耳に入ってこなくなったんです」
すると男性は緊張が解けたような面持ちになり、講師の指摘を熱心に聞き、メモまで取り始めました。この出来事があって以来、私は指摘や注意をする際は「もったいない」というフレーズを使うようにしています。
実際に比較してみましょう。
「鈴木さん、さっきのプレゼン、ちょっと早口になっていましたね。でも面白かったです!」「鈴木さん、さっきのプレゼン面白かったです! でも、もったいないなぁ。ちょっと早口になっていたでしょう」
いかがでしょうか。「もったいない」を入れて順番を変えただけで、内容はまったく同じです。でも、受ける印象はかなり違うように感じるのではないでしょうか。
「まずは褒める」「肯定から入る」というテクニックとの合わせ技でもありますが、「もったいない」という言葉には、「あなたは素晴らしいのに、ここだけが惜しい」という“敬意”が含まれます。改善を促すニュアンスを含みながらも、ベースにあるのは相手へのリスペクト。こんなに便利な言葉がある日本語って素晴らしい! と感動さえ覚えます。
ほかにも似たような場面で使える言葉はこんなにあります。
「あなただから言うのだけど」
「期待しているからこそ言わせてね」
「言いにくいことだけど、大事なことだから言っていい?」
すべてに含まれているのは「あなたのことを大切に思っています」というメッセージ。
だからこそ言われた相手も気分を害することなく、心の中で注意や指摘を受け入れる準備が整うのです。しっかり構えたうえで受け止めるので、思ったほどは痛みを感じないかもしれません。
みなさんも、心の壁をするりとすり抜けて気持ちを和らげる素敵な言葉「もったいない」を会話の引き出しに入れておいてはいかがですか。
※後編は12月12日(土)に公開です。
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情報元リンク: ウートピ
相手が受け止めやすくなる! 注意や指摘をするときに活躍する魔法の言葉とは?