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生理不順の人は「卵子の在庫」を調べるAMH検査を受けてみて

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不妊治療の現場では、「卵巣年齢の検査」を調べるものとしてここ数年知られるようになってきた「AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査」。しかし、出産ジャーナリストの河合蘭(かわい・らん)さんによると、AMHは正確には卵巣にある「卵子の在庫数」を推測する検査であり、「卵巣の老化度」を調べるものではないという。

不妊治療中の女性だけでなく、生理不順などの問題を抱える女性も知っておきたいAMH検査について河合さんに解説してもらった。

「卵巣年齢の検査」と誤解される検査

「AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査」という卵子の検査を聞いたことがあるだろうか。血液検査だけで卵巣の卵子の残り個数を推測するもので、不妊専門の医師の中には「これから産みたい女性は、30歳になったらみんなこの検査を受けてほしい」と提唱している医師もいるくらいだ。

この検査は「卵巣年齢の検査」と呼ばれ、まるで卵子の衰え具合を調べる検査のようだが、そうではない。老化の度合いはわからないが、単に、成育中の卵子が出すホルモン「アンチミューラリアンホルモン」の血中濃度を測り、卵巣の中に在る卵子の「数」を推測している。

ただ、卵子があまりにも少ない場合は、ホルモン分泌が閉経前のような状態になって卵子が育ちにくくなり、生理周期が乱れて、妊娠しづらくなる。「早発卵巣不全」と言って、若くして本当に閉経してしまう人もいる。30代で閉経してしまう人の割合は意外に多く、100人に1人程度だ。

卵子の在庫状況を知ることで、ライフプランにおける子どもの優先順位を変更する人もいる。不妊治療や、将来産みたい人が子宮・卵巣の病気を治療する場面でも、治療方針を決めるためにAMH検査を利用する産婦人科医は増えている。

まだ日本で始まって10年程度の新しい検査なので誤解も多いが、将来、子どもが欲しいと思っている女性は、きちんと知っておきたい検査だ。

28歳で「ゼロ」の結果が出ても…

野川明子さん(38歳、仮名)は、今、男の子をひとり育てているが、かつては、不妊治療専門クリニックでこのAMH検査を受けて、その結果に「まさか」と思ったひとりだった。当時28歳だったのに、示された数字は「ゼロ」だったのだ。

「卵子が全然ないんですか? 私は絶対に妊娠できないということ?」

うろたえながら質問した野川さんに、医師は言った。

「いいえ。検査の精度にまだ限界があるのでゼロという数字になってしまいましたが、女性の卵巣は閉経後にも千個程度の卵子があると言われています。野川さんの場合は、数がかなり減ってはいるものの、卵巣には、まだ、28歳の若さを持った卵子があるでしょう。私は『卵子の老化』と『卵子の数の余裕』を混同した『卵巣年齢』という言い方はやめてもらいたいと思っています」

医師によれば、卵子の老化度は、年齢で大体決まる。野川さんはもう生理周期が乱れてきていたか、まだ、薬や体外受精の力を借りれば妊娠できるかもしれないと言われた。

野川さんは、それまで別の一般的な産婦人科で2年間近くも不妊治療をしていた。生理不順のため受診したのだが、医師からAMH検査の話はまったくなし。だから、卵子がなくなりかけているとは知らず、治療法は、排卵誘発剤を使って妊娠しやすい日に性交渉を持つ「タイミング法」のみだった。

厳しい状況を知った野川さんは、悩んだ結果、家の購入を延期して体外受精に賭けることを決心。さまざまな薬を使ってもなかなか卵子が育ってこなかったが、時々は貴重な卵子が採れ、ついに一児を授かることができた。

野川さんは、検査を振り返って「受けてよかった」と言う。

「選択肢がパッと見えたからです。自分には、すっぱりあきらめるか、最も高度な治療をするか、2つにひとつしかないんだと」

どれだけ厳しい状況での妊娠だったか、自分でよくわかっている野川さん。最近、生理が止まり「早発閉経」と診断されたが落ち着いて受け止めることができた。『2人目はまだ?』といった、1人目の出産が大変だった女性がよく落ち込む言葉を投げかけられても心が揺れることはない。1人でも授かったことの幸運がよくわかっていて、今の家族、今の自分に大満足しているからだ。知ることは、こわい。でも、最終的には、その人の力になるのではないだろうか。

生理不順の女性には受けてほしい検査

野川さんがAMH検査を受けた医師・浅田義正医師(浅田レディース品川クリニック院長)は、日本でいち早くAMH検査を始めた草分けだ。診療のかたわら、知られざる卵子の世界についての講演活動もおこなっている。

つい先日訪ねた会もそのひとつで、都内のセミナールームには専門医から卵子の詳しい知識を聞こうと、不妊治療中のカップルや女性たちが集まっていた。日々、卵巣に卵子がいよいよなくなってきた女性、高齢の女性たちが押し寄せる治療現場にいる浅田医師の話は、かなり現実的だ。

「妊活といえば『妊娠しやすい食べ物を食べよう』『男性の精子を守るためには下着はブリーフが良い』といったいろいろな話があふれています。しかし、これらの影響は『まだ若い卵子が卵巣にどれだけあるか』という問題に較べれば、実に微々たるものです。そんなことで妊娠できるなら、私たちはこんなに苦労しません」

卵子は胎児期に一生分の卵子が作られ、その時から減り始めて、増やす方法はない。生まれたばかりの赤ちゃんの卵巣には100万~200万個の卵子があるが、思春期にはその10分の1くらいになり、35歳では2~3万個と100分の1になると一般的に言われている。さらに、人によっては、もっと早く卵子が減っている可能性があるというのだ。

「卵子の個人差が特に大きいのが、30代」という話もあった。

「20代はAMHの値が高い人が多いし、40代では低い人が多いという傾向があります。ところが30代では、卵子の『数』と年齢のあいだに相関関係がありません」

「特に受けてほしい」と浅田医師が言うのは、生理不順の女性だ。生理不順は、医師が薬を出せば規則正しく来るようになることが多い。でも、もしかしたら、その人は早発卵巣不全になりかけて生理不順になっているのかもしれないので、一度AMH検査を受けて卵子が減り過ぎていないか確かめておいた方がいい。「薬が効いてよかった」と思っているうちに、妊娠できる貴重な残り時間が過ぎてしまってはいけないからだ。

卵子が減りすぎないうちに妊娠しようとすれば、もし、何らかの理由で体外受精を受けることになった時も有利だ。卵子の在庫が多い人は、排卵誘発剤を使うと1回の採卵でたくさんの卵子が採れるので出産につながる卵子に出会いやすい。1回の採卵で20個くらい採れる人もいて、そうなると1回の採卵で妊娠できることも多いし、中には1回の採卵できょうだいまで出産できる人もいる。

AMH検査は、不妊治療をおこなっている施設を中心に、受けられる施設が少しずつ増えている。自費診療なので検査料は施設によってまちまちだが、大体4000~8000円だ。値が低いと「妊娠できない」と思ってしまう人がいるが、とても低い人も妊娠していることを忘れないで、今、自分が、残り時間に何をどうしたいのかを考えてほしい。詳しい説明や相談が望める医療施設で受けたいけれど、もし検査施設で十分に相談できなかったら、不妊に詳しい医療機関を探して相談することもできる。

もし妊娠しにくくて体外受精が必要になった時も、AMH検査は、使用する薬の決定に役立つ。

もし妊娠しにくくて体外受精が必要になった時も、AMH検査は、使用する薬の決定に役立つ。

子宮内膜症や子宮筋腫の治療でも

AMH検査は、早発卵巣不全の早期発見だけではなく、さまざまな場で使われ始めている。

たとえば、値がとても高い人は、排卵しにくいために成育途中の卵胞が卵巣に貯まってしまう「多嚢胞性卵巣症候群」の可能性がある。このような女性は排卵誘発剤の副作用が起きやすいので、体外受精の前は、AMH検査をおこなって安全な薬を選ぶ必要がある。

パートナーが決まっていないが将来は産みたいと思っている女性は、検査値が低くても行動の選択肢が限られるので、検査を受けるかどうかは悩みどころだ。でも、子宮内膜症、子宮筋腫、がんなど子宮や卵巣の病気を治療する時には、将来の妊娠のことも考えた治療を選択するために、AMH検査を生かすことができることを覚えておいてほしい。治療法の中には卵巣の切除など卵子を減らしてしまうものがあるので、事前にAMH検査を受け、卵子のゆとりと治療の緊急性などを天秤にかけたうえで卵子凍結を検討してもいい。

「年齢が高くなると妊娠しにくくなる」という事実はよく知られてきたけれど、年齢以外にも卵子のピンチはいろいろある。パートナーや仕事の関係で出産が先送りになってしまう人は多いが、その前に、そう言っていられる余裕が本当にあるのかどうか、調べてから決めるのもひとつの方法だ。

(出産ジャーナリスト・河合蘭)
浅田レディース品川クリニック院長・浅田義正

情報元リンク: ウートピ
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