婚活サイト婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマに、それぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第7回のゲストは、エッセイスト、タレントとして活躍する小島慶子(こじま・けいこ)さん(47)です。前後編。
※対談は2020年1月に行われました。
オーストラリアは男女平等に政府が介入
川崎貴子さん(以下、川崎):小島さんは、夫と息子さんたちが住むオーストラリアを生活の拠点としながら、「一家の大黒柱」として月の半分以上は日本で仕事をするという生活をされています。小島さんの肌感覚として、オーストラリアの夫婦の共働きの比率はどんな感じですか?
小島慶子さん(以下、小島):同世代で専業主婦にはほとんど会ったことがないですね。富裕層にはいるのかもしれませんが、少なくとも私の周りにいるような、子供をごく普通の公立学校に通わせている親はほとんど共働きです。ですから、オーストラリアでも待機児童問題はよく話題に上がります。
川崎:夫婦の家事育児の分担は、日本と比べてどうですか?
小島:スーパーに行くと、男の人が普通に買い物しているし、日本よりずっと家事はやっていると思います。「バーベキューでは、男は肉を焼く」みたいなマッチョな文化もありますが、さすがに日本のように「キッチンに入ったこともない」という男の人はいませんね。
川崎:日本でもバーベキュー文化をはやらせるべきですね(笑)。
小島:あはは。料理をするという点ではそうですが、片付けは女性だったりするし、もともとマッチョな文化なので、「肉は男の世界。女はカップケーキを焼いて持ってこい」というような役割分担があって、そこはよくない点ではあります。
でも、政府が積極的に介入して“Boys Will Be Boys(男は永遠にやんちゃなもの)”という考え方はやめようとか、DV(ドメスティック・バイオレンス)をなくすには小さい頃からの教育が必要だと伝えている点は先進的だと思います。職場におけるジェンダー平等庁という役所までありますし。長官は女性です。
夫の中に「昭和の世話焼き母さん」がいる
川崎:小島さんの家庭での家事分担はいかがですか?
小島:うちは「分担」という意識がなく、結婚当初から2人でやらないと回らなかったんです。3年間の同棲のあと結婚したのですが、同棲中はなんとなく私も“主婦プレイ”がしたくて料理もしていたんですよ。でも、子供を1人産んだ時点で、料理に関してはギブアップ。夫にすべて任せるようになりました。
川崎::もともと、そんなニュートラルな考えの夫だったの?
小島:一人暮らしを経験している人なので、家事は身に付いていたのだと思います。これまで、「僕は専業主夫になる」という言い方をしたことは一度もないんですよ。「専業も兼業もなく、人は家事をやるものだと思っていた」と言っています。
川崎:なるほどね。そんなお父さんの姿に、息子さんたちも影響を受けているのでは?
小島:もちろん、男性も家事をやるのは当たり前という意識にはなっていますね。ただ私は、せっかくだからちゃんと家事を伝授してほしいんですけど、夫には「昭和のお母さん」が刷り込まれてしまっていて、「僕がやったほうが早いから」と息子に家事をやらせない傾向がある。
私は「チャンスなんだし、自分の家事労働も減らせるんだから、息子にどんどんやらせてくれ」と言うんだけど、先回りして「世話焼き母さん」になってしまう。非常に興味深いサンプルです。
川崎:ある程度、家に長い時間いると、家事に手をかけたくなっちゃうのかしら。すごく不思議!
小島:彼の言い分は、ホントに「僕がやったほうが早い」に尽きるんです。私としては、そこは「教育」の一環だし、ゆくゆくは自分の負担軽減にもなるのだから、どんどんやらせてほしい。
子供には「自分が当事者」の意識を持たせる
川崎:私の妹の夫は魚をさばくのが上手で、それを見ていたおいっ子が憧れて、小学3年生なのに魚をさばいてるの。私たちもご相伴にあずかれるので応援してる(笑)。パパが憧れになるといいですよね。
小島:今まで、長男にはいろいろ任せてきたんですよね。でも次男は、「絶対、誰かがやってくれる」と思っているんです。男性も家事をやって当たり前だとは思っているけど、自分は「誰かに家事をやってもらえるポジションにいる」と勘違いしてる。
長男はもう仕上がったので、次は次男のお客さま体質を変えるために、最近、これまで長男にやらせていたことを全て次男に振るように変えました。男が家事をしている姿を見て育ったからといって、息子が家事をやる男になるわけではないんですよね。
川崎:確かに、女の子も同じで、料理上手な母親の娘でも包丁が使えない子はいっぱいいますよね。私は料理が下手な母のもとで育ったから、生きるために台所に立ったけど(笑)、私の娘たちは、私が趣味のように料理する姿を見て育っても、「面倒くさいからやらない」と言ってる。
「男らしさ」「女らしさ」は性別に起因するものではないし、やる、やらないはきっかけも必要ですよね。ジェンダー的刷り込みはあちこちにあるから。
小島:だから、「何を連鎖させて、何の連鎖を断ち切るのか」を考えないといけないですよね。男女が対等に相手を扱っている様子を子供に見せることは大事なんですけど、やはり子供自身が何かのロールを果たして、「自分が当事者なんだ」という意識を持つようにしないと。ただ見せるだけではダメなんだということが、わが家の例から見えてきました。
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情報元リンク: ウートピ
“父親が家事をしている姿”を見せるだけじゃダメ 子供に伝えていきたいこと