汗があふれ出て止まらない! ベタベタする不快感、外出時はいつでもどこでも、また人と会うときにはとても困ります。そこで、鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に、汗対策のツボを聞いてみました。
体内の水分のめぐりや血流が悪いと汗をかく
はじめに丸尾さんは、汗と体調の関係や多汗症について、こう説明をします。
「汗っかきだと自覚している人はとても多いと思われますが、汗は体温調整のために起こる体の反応です。ただし、体調が悪くて汗をかきやすくなっている場合もあります。大量に汗をかく、ダラダラと汗が止まらないように感じる、少し動くと汗が出るなどで不快感が強い、生活に差し支えるといった場合、『多汗症』と診断されることもあります。
東洋医学では、その原因は、水分や血液のめぐりが停滞している、悪化しているとことによると考えます。多汗症とまでではなくても、汗を不快に思うシーンは多いでしょう。そこで汗に関わる体調改善を目指す次の3つのツボを紹介します」
次に、そのツボを丸尾さんに伝授してもらいましょう。
わき・胸・背中のツボケアで発汗を軽減する
(1)ツボ・極泉(きょくせん)を刺激する
わきの真ん中にあるツボ「極泉」の「極」は高い・尽きる、「泉」は湧き出るという意味があり、エネルギーが湧き出るツボとして知られています。腕の血流、水分の流れを促し、発汗、わきのにおい、ストレスや不安感、焦燥感、腕や肩の痛みやこわばり、動悸(どうき)などの緩和に作用します。
<ツボ「極泉」の位置>
わきの下のくぼみの真ん中で、脈を感じる部分。左右にあります。
<刺激法>
反対の手のおや指で、やや強めに、いた気持ちいいと思う方向にゆっくりと、ひと押し5~10秒を3~5回、くり返しましょう。腕を上げて、反対のおや指以外の4本の指で指圧するのもよいでしょう。
(2)ツボ・大包(だいほう)を刺激する
「大包」はわきの下のほうにあり、大きくまとめるという意味を示すツボとして知られています。舞妓さんが夏に着物を着ていても汗をかきにくいのは、帯でこのツボを締めているからとも言われます。顔やわきの汗を抑える、全身のだるさや胸のつかえ、肋間(ろっかん)神経痛を緩和するように作用します。
<ツボ「大包」の位置>
わきの下の6番目のろっ骨のすぐ下にあるくぼみ。胸の下から真横に外側にたどり、わきから真下に向かったあたりで交差する位置でもあります。また、腕を組んだときに、両方の手のなか指の先が当たる部分。左右にあります。
<刺激法>
反対の手のおや指以外の4本の指で、ひと押し5~10秒を3~5回、くり返しましょう。さするのもよいでしょう。
(3)ツボ・身柱(しんちゅう)を刺激する
「身柱」は背中にあり、その名の通り、体を支えるという意味合いです。上半身の発汗、頭部や首、背中のコリ、体の熱などを緩和するように作用します。また、代謝をコントロールし、別名「散り気(ちりげ)」とも呼ばれて、病気のもとを散らすツボとしても知られています。
<ツボ「身柱」の位置>
まず、うつむいたときに首の後ろでもっとも出っ張る骨を見つけます。そこからたどって3つ目の骨のすぐ下のくぼみ。
<刺激法>
両方の手のおや指以外の押しやすい指で、軽めにひと押し5~10秒を3~5回、くり返しましょう。
最後に丸尾さんは、多汗の体質改善に対して、こうアドバイスをします。
「これらは、多汗の体質を改善するためのひとつの方法です。制汗剤を使っても汗が止まるわけではないように、ツボを押せばすぐに汗が抑えられるというものではありません。体調と汗の関係を理解して、日ごろからこれらのツボケアを行いましょう。
外出先などで汗が出てつらいときは、冷たいドリンクが入ったペットボトルや缶、保冷剤などを、首の側面や後ろ、わきの下にあててみてください。体温が下がって汗が抑えられるでしょう」
これらのツボを刺激すると、体内の水分や血流のめぐりが促されて過剰な汗っかきの改善を目指すことができるということです。夏の間だけではなく、一年を通して気が付いたときに継続してケアをしていきたいものです。
(構成・文 藤原 椋/ ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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