キャリア、人間関係、自分、家族……現代を生きる誰もが、さまざまな不安や葛藤を抱えています。11月20日に全国公開される映画『滑走路』(大庭功睦監督)は、非正規雇用やいじめ、過労といった問題と向き合いながら、希望を求めてもがく人々の姿を描いた物語。水川あさみさんは、将来のキャリアと夫婦関係に悩む切り絵作家・翠を演じています。
全3回インタビューの最終回となる本記事では、コロナ禍を経て、水川さんが考えたこと、これからのお仕事について伺いました。
オンライン飲みからの作品づくり。熱量の大切さをあらためて知る
——新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、さまざまな業界の動きがストップしました。水川さんも、緊急事態宣言中などにはお仕事を休まれていましたか?
水川あさみさん(以下、水川):はい。5~6月は舞台に出演する予定だったので、ぽっかりお休みになりました。エンターテイメントの世界がすべてストップして、当たり前だったことが当たり前じゃなくなってしまったから……やっぱり、自分と向き合う時間がたくさんあったなと思います。それは期間中だけでなく、その後も続きました。
——仕事をしたくてもできない、作品を観てもらえないという状況で、ご自身の仕事に対するモチベーションはどうやって維持されていたんでしょうか。
水川:「ピンチはチャンス」じゃないですけど、どうにかこの状況を活かして、なにかしら面白いことができないかな、というふうには常に考えていました。たとえば、私はこの年になっても、まったくパソコンというものができないんですね。本当にわからなくて(笑)。でも、画面を見ながら飲み会をする「オンライン飲み」みたいなものが流行ったから、私もそれをなんとか設定して、知り合いのプロデューサーさんと自宅で飲みながら、お話したり。
——新しいチャレンジ、すばらしいです。
水川:そこでは「コロナが落ち着いたら、こんな作品がやれたらいいね」なんてアイデアを出し合ったりしました。あの時期だからこそ、普段は持たないような思考回路を持てた気がして、すごく勉強になりました。
実際に動けるようになってすぐ、作品づくりもしたんです。全10話の配信ドラマで、作品が完成するまでのスピードがすごく早かった。みんな同じ気持ちを抱えていた分、熱量が合わさった勢いがありました。撮り終えて、「これだけの熱量を持っていれば、こんな状況でもちゃんとやれるんだね」っていうのを再確認できました。
いまの私にフィットする働き方
——自粛期間中も、ある意味ではオンで、とても有意義に過ごされたんですね。
水川:作品に入っている期間ではないから、そういう意味ではオフでしたけど、だらしなく過ごさないという意味では、いつもオンだったのかもしれません。居心地がいい環境を保っておいたり、思い立ったことをとりあえずやってみたり。すぐに話せる人がそばにいてくれるから、ふと思いついただけのアイデアでも、まずは伝えてみるとかもそうですね。普段はあまりしないようなことをしたりもしました。
——2019年までの数年は、ドラマでの活躍が目立っていらっしゃいました。が、2020年は映画の公開が続いています。そこにはなにか心境の変化があったりするのでしょうか。
水川:いえ、特別な変化なんてものはありません(笑)。ただ、前から映画に少しだけ重心を置けるようになったらいいなとは思っていました。ひとつの作品にしっかりと携わって、監督や共演者の方々とチームを組み、じっくり作品を作っていく過程は、やっぱり映画ならでは。いまの私の気持ちによりフィットするのは、映画なのかなと。
そうしたら、すごくうれしいことにいろんな作品の公開がたまたま重なって……だけどドラマでも舞台でも映画でも、面白いと思った作品にはこれからも積極的に携わっていきたいです。
■作品情報
(取材・文:菅原さくら、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
水川あさみがコロナ禍のいま考えていること「この状況を活かして…」