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映画『パッドマン』がインドから日本にやってきた経緯を聞いてみた

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私たちの周りにあふれている「あたりまえ」なこと。けれど、昔はあたりまえじゃなかったかもしれないし、世界ではいまでも悪い習慣が根付いているかもしれません。

長いことこびりついてカチコチになった思い込みは、なかなか取り除くのが難しいもの。そのタブーをかえることに挑んだ男性の実話を元にしたインド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』です。いまだ生理を「穢れ」としてみなす風潮があるインド社会のタブーに挑んだ本作。インドで公開されると同時に「オープニングNo. 1」を獲得し、大きな話題となりました。

ウートピでは、この映画の日本上映を待っていた!という歴史社会学者の田中ひかるさんと、日本上映を決める選定試写の段階から関わっているという、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの後藤優さんの対談を企画。『パッドマン』が私たちの胸を打つ理由について語り合っていただきました。

今回は『パッドマン』が日本にやってきた経緯について聞きました。

田中さん(左)と後藤さん(右)

田中さん(左)と後藤さん(右)

誰よりも公開を楽しみにしてました

——田中さんはずっと生理のことを研究されています。この映画の封切りが待ち遠しかったのでは?

田中ひかるさん(以下、田中):はい。日本でいちばんこの映画の公開を楽しみに待っていたのは私だと思います(笑)

後藤優さん(以下、後藤):ありがとうございます!

田中:というのも、原作のモデルになったアルナーチャラム・ムルガナンダムさんのドキュメンタリー作品『Menstrual Man(月経男)』(13)が紹介された番組を見たことがあって、彼のことを知っていたんです。その時は、彼の勇気ある行動に感動したと同時に、21世紀の現代においてもインドでは不衛生な環境で経血の処置をしなければいけないのかと驚きましたね。

後藤:そう、ムルガナンダム氏が生理用品の開発を始めたのは、2001年なので、『パッドマン』は現代の話なんですよ。

田中:インドでは生理に対する不浄視だけではなく、生理用品に対するタブーがあることも衝撃的でした。例えば、「使用済みのナプキンの上を蛇が通ると姑と喧嘩する」とか、「使用済みのナプキンを犬が持っていくと災いが起きる」とか。

後藤:「インドの人だったらみんな知っている」と、ムルガナンダムさんもおっしゃっていましたね。聞き間違えたかなと思って、インド支社の人たちにも聞いたのですが「そういうふうに言われているよ」と返されました。とんだ迷信ですよね。

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インドのローカルプロダクションとして誕生

——どのように日本での上映が決まったのですか?

後藤:日本オフィスの営業部長にインドオフィスから「ちょっと観てほしい作品がある」と声がかかったのがきっかけです。私たちは通常、アメリカ・ハリウッドで作られたいわゆる「ハリウッド映画」を日本に配給して宣伝しています。その一方で、今は各国の支社がローカルプロダクションといって、その国独自の作品を製作して上映するプロジェクトも盛んに行われているんです。『パッドマン』もそのひとつです。

——どうして日本だったのでしょう。

後藤:他の支社にも声がかかったはずですが、中には生理がタブーで上映できない国もあるので、日本ならその問題はないだろうというところはあると思います。それで、「じゃあ観てみようか」と、限られた数人のスタッフで日本での上映を決める選定試写が行われました。

田中:後藤さんもそのスタッフの中に?

後藤:はい。これまでの傾向から、インド映画は日本で話題になることが少ないので、観る前は正直、そんなに期待していなかったのですが、作品を観たら一気に引き込まれましたね。上映後は満場一致で「これは公開しようよ!」って。

——どんなところが後藤さんの気持ちを掴んだのですか?

後藤:選定試写では字幕がついていないので、ストーリーを追うことに集中しがちなのですが、それでもラクシュミ(主人公)がつたない英語でリズムよく話す国連での演説シーンは胸にくるものがありました。そして、愛する妻を助けたいという思いが、インドの全ての女性を救っていくという話の素晴らしさ、実話がベースになっているという衝撃。これはぜひ日本で多くの人に観ていただきたいと思いました。

歌あり踊りありのインド映画

田中:わかりやすいサクセスストーリーと、私利私欲ではなく徹底して誰かのためにというエモーショナルな部分は日本でも受け入れやすいですよね。実は私、インド映画は初めてだったんですよ。でも、違和感なく観られました。

後藤:インド映画にはどのような印象を持っていましたか?

田中:歌と踊りがふんだんに盛り込まれているような……。『パッドマン』にもそのようなシーンはあるのですが、控え目な印象でした。割と深刻なテーマの中で、歌と踊りのシーンがあるためか、カラッとしているというか全体的に明るく感じました。

後藤:それも特徴ですよね。

田中:例えば、ラクシュミが自分も生理を体験してみようと、動物の血を使って実験するシーン。血液が漏れて服を汚してしまうとか、画面越しでもなんだか気まずい……と思うのですが、その後の演出の雰囲気で笑ってしまって。周りの方の反応を見てみると、同じシーンでも深刻な様子の方もいれば、大笑いしている方もいました。この作品は、いろんな見方ができるんだなと感じました。見る人の月経観や女性観によって、反応が分かれるのでしょうね。

——このような社会的なメッセージを持った作品がインドでは多いのですか?

後藤:そうですね。もともと社会的なメッセージがある作品は多いです。最近はフェミニズムやジェンダーを意識した作品も増えています。ただ、『パッドマン』くらい挑戦的な作品は少ないですね。

もともとインドは、映画の製作本数が世界でも多いことで有名で、映画にかなりの制作費を投じています。ほとんどの作品でインドの現状や、他国との違い、これからのインドがどうあるべきかなど、何かしらの社会的なメッセージが含まれていて、それをエンタテインメントに昇華させているのが特徴です。

田中:ひとつの作品が社会に与える影響は大きいですね。

後藤:観る人口も多いですからね。日本ではインド映画はあまりメジャーではありませんが、少し前だと『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)がヒットしました。最近では『バーフバリ 王の凱旋』(17)が注目を集めています。そこからインド映画に興味を持つ人たちも多くて。見たらみんなびっくり。「こんなに楽しいとは思わなかった」という声を聞くことが多くありますね。

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パッドマン 5億人の女性を救った男』上映中

(構成:ウートピ編集部 安次富陽子、撮影:大澤妹)

情報元リンク: ウートピ
映画『パッドマン』がインドから日本にやってきた経緯を聞いてみた

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