海外のホールでクラシック音楽の録音や取材を行う音楽プロデューサーとして活躍中の渋谷ゆう子さん。仕事柄、海外出張も多く、時にはアーティストの都合で海外出張が前の日に決まることもあるそう。出張先は主にクラシック音楽の本場・ヨーロッパとエンターテインメントの中心・北米。多いときは1カ月に1回、オーケストラや演奏家、レーベルとの打ち合わせに赴きます。
そこで、音楽だけではなく旅や文化にも造詣が深い渋谷さんに冬のウィーンの楽しみ方について教えていただきました。
寒い冬だからこそ楽しめるショッピング
音楽の都ウィーン、舞踏会の街ウィーン。そんな心躍る街には別の楽しみもある。旧市街を散歩しながらのショッピングだ。
リングシュトラーセと呼ばれるおよそ5キロの環状道路に囲まれた旧市街の中心部ウィーン1区には、ショッピングのメインスポットがある。
石畳の道が美しいコールマルクト通りは、ハイブランドが立ち並ぶショッピング街。そこから聖ペーター教会前を通り、シュテファン大聖堂そばまで続くグラーベン通り、さらにウィーン最大のショッピングストリートであるケルントナー通りまで全長1キロ少し。そこにハイブランドからファストファッション、オーストリア発のクリスタル専門店スワロフスキー、王宮御用達の老舗からデパート。
遠くまで行かずとも全てそろうという、寒い冬のショッピングにはもってこいの立地条件である。この1キロ少しを1日かけて歩くだけで、ウィーンでのショッピングに満足できることだろう。
セールで値段が手頃に! 冬はコートを買うのがおすすめ
中でも最も楽しく魅力的なのが、コートとドレスを探すことである。
ウィーンの特色としてコートは防寒性だけを重視したものではなく華やかなものが多い。日本ではあまり見かけないような鮮やか色合いも豊富にあることが特徴だ。
街ゆく女性は年齢を問わず、素晴らしくチャーミングなコートを着ている。旅行者独特の何にでも合わせられます的なシンプルダウンコートや、登山用かという機能性のみ追求のような無骨さとは一線を画す、地元ウィーン女性のなんとすてきなことか。
冬のファッションで最も重要かつ印象を左右するコートに力点を置くところがさすがはシシィ(19世紀のオーストリア皇后・エリザベートの愛称)の国である。
クリスマスホリデーから1月6日の公現祭ごろまでウィーンもセール一色となる。お店によっては50%以上オフになっており、コートももちろんその対象になっているので、価格の高いものほどお得感がある。日本のお店よりも圧倒的にコートに割いている場所が広いので、選択肢が多く楽しい。またリアルファーを避けるブランドも多く、その分上質なフェイクファーコートが目に留まる。
日本ではまだまだフェイクファーの素材はチープで、大人の女性が着られそうなものを探すのは苦労するが、ウィーンでは上質なものがすぐに見つかる。リアルダウンを使わないことをモットーにするコートブランドもあり、アニマルフリー、ヴィーガンファッションを気に留めるなら、ウィーンでのお買い物はその手助けになるだろう。
コートは春先まで価格を下げて売るようなので、冬にウィーンの旅行に行くなら、日本から薄手のものを着て行って、現地で厚手のコートを2着買うくらいがおすすめである。
冬なら日本の1着分の値段で3着買えるドレス
それから、ウィーンショッピングの楽しみとして、ぜひドレスを買うことをおすすめしたい。
音楽の都、舞踏会の街ウィーンの象徴のように、至る所でフォーマルドレスを買うことができる。日本に進出しているブランドでもドレスがあることを知らなかったようなブランドでも相当数のラインナップをそろえている。いかに日本にドレス文化がないかがここに来るとよく分かる。
老舗シュテッフルやピーク & クロッペングルクなどのデパートでも、かなりの床面積でドレスが並んでいる。丈の短いパーティドレスは、日本では結婚式の二次会や少しフォーマルなパーティにも着ることができるし、カクテルドレスの品ぞろえと価格設定の幅広さで、日本ではまずお目にかかることができない数を一同に比べることができる。フォーマルなロングドレスの数も圧巻で、いったいウィーンの人はどれだけドレスを必要としているのだろうかと考え込んでしまうくらいだ。
日本でこれだけの数のドレスを1つのお店で見たことがない。結婚式に参列することが多い世代は、ぜひウィーンで手頃な価格のかつ誰ともかぶらないものを見つけ、買って帰ってほしい。日本で1着買う値段でこの時期なら3着買えそうである。
この老舗デパートシュテッフルの最上階には、シュテファン大聖堂も見えるレストランとバーがあり、観光客にも人気。買い物に疲れたらここに寄るのもいいだろう。ただしこのお店もドレスコードがあるので注意が必要だ。ウィーンの少し落ち着いたレストランやダイニングではドレスコードのあるお店も多く、こうした場所に何を着て行こうか迷うこともあるだろう。
そんな時こそ、ウィーンでのセールを狙って「今夜、このレストランの予約があるので着ていくものを買いたい」とショップの店員さんと話そう。特別なロングドレスが必要な場合でない限り、今日買った装いで今夜出掛けていくことは全く問題ない対応を教えてもらえる。「あそこに行くなら、こんな感じで大丈夫」というアドバイスが新しい自分を発見させてくれるだろう。日本では自分で選ばないようなドレスもここですすめられると自信を持って着ることができる。
今夜のためのドレスを必死で探すことが自分のドレス力を磨く第一歩。いつ着るか分からないものを漫然と探すのではなく、今夜の一着のためなら真剣にならざるを得ない。このミッションが自分のファッション眼力を鍛え、直感と交渉力がまた女性を魅力的にさせる。
旅は準備万端じゃなくていい
日本から何でも準備万端整えて旅に出るのではなく、こんなふうにウィーンでレストランをリザーブし、その場所にふさわしいドレスやワンピースを現地の人と相談しながら選ぶ余裕をこの旅では持ちたいものだ。
知らない街で知らないことを教えてもらう。街の中に溶け込む装いをあつらえ、タクシーに乗り込む。買ったばかりのコートを優雅に脱いでクロークに預ける。クラシック音楽の静かに流れるレストランでドレスを纏(まと)って背筋を伸ばす。指先まで神経を巡らせてワイングラスを傾ける。こんな瞬間がこれほど似合う街はない。ウィーンの楽しみは大人の女性にこそ真に訪れるのだ。
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情報元リンク: ウートピ
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