「友達と会うのは楽しいけれど、どんなに仲が良くても2時間が限界」「声の大きい人や威圧的な人が苦手」「近くに不機嫌な人がいると自分のせいだと思ってしまう」——。
人の顔色が気になって一喜一憂し、敏感さゆえに気疲れしてしまうという人は、もしかしたら繊細すぎる気質を持った「HSP」(ハイリー・センシティブ・パーソン)かも……。
以前、HSPについて教えていただいた心理カウンセラーの坂本純子(さかもと・じゅんこ)さんに、HSPが陥りがちな悩みとその対処法を聞きました。全6回。
※HSPチェックリストは記事末尾にあります。
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Contents
他人のイライラをキャッチしてしまう
「仕事の取引先の担当者が威圧的な人で怖いと思ってしまいます。仕事なんだし、いちいち気にしなくていいと頭では分かっていますが、その人とやりとりすると叱られたような気持ちになり、落ち込んでしまいます」
坂本純子さん(以下、坂本):「怖い」と感じてしまうことがよくあると思います。厳密には「怖い」というより、敏感なせいで相手が発している強いエネルギーに反応してしまう。人がちょっとイライラしたり、怒ったりしているエネルギーを敏感にキャッチするんです。
HSP は敏感で繊細な気質を持っている人のことですが、世の中には、自分の主張を強く打ち出せるなど、HSPとは全く異なる気質の人も当然いますよね。そういう人がやり過ごせたり、「この人は、こういう物言いをする人だから」と軽く受け流せたりすることも、HSPは「自分に非があるのではないか」と思ってしまいがちなのです。
他人との“心の境界線”を引ければ楽になる
——どう気持ちを切り替えればいいのでしょうか?
坂本:「私は敏感で繊細な気質の持ち主なんだ」と思っていてください。自分がおかしいわけでも、弱くてダメな人間というわけでもありません。
脳が敏感なので、五感を通じて感じるちょっとした刺激もキャッチします。そのために相手の強いエネルギーや刺すような言葉が刺激となり反応しやすいのです。
「相手はそういう人」「相手と自分は別の人間」と、他人との間に“心の境界線”をきっちり引くことができれば楽になれます。
——HSPは、自分と他人との境界線があいまいになる傾向があるのでしょうか?
坂本:心の境界線が薄いんですよね。そういう人は、相手がイライラした気配を出そうものなら、「私、何かしたかな?」と思いがち。
相手はもしかしたら、冷房の風が強くて寒いだけかもしれないのに、「私のせいかも」と思ってしまう。でも、それはHSPとはまた別の、心の根っこにある「思い込み」や「思い癖」が影響しているケースが多いです。
育った環境や親との関係が影響している場合も…
——「思い癖」とは?
坂本:幼い頃に育った環境や親との関係で、例えば母親が子供に「今お母さんは忙しいから、あっちへ行きなさい」と言う場面が頻繁にあったとします。すると子供は「話しかけたいけど、お母さんがイライラして怖いから黙っておこう」と感じてしまう。大人になっても、その思いが根っこにあると、「自分が伝えたいことを言うと、相手がどう思うのか」を考える癖がつきやすいのです。
HSPは特に敏感で繊細なので、相手を見ているだけで気持ちを察します。だから、幼い頃から頑張って、自分の中で折り合いをつけようとしてきたんです。
そのような環境で育った場合、1つの例として、大人になっても相手がイライラすると「自分のせいかも」と思ってしまうのです。
「私はどうしたい?」と自分に問いかける
——「怖い」と感じる相手に対しても「こういう人なんだ」と割り切って付き合うほうがいいのですね。
坂本:「私はどうしたい?」と自分に問いかけて、「相手に合わせたい」が本音なら、合わせていいんです。
その強いエネルギーを持った相手とどのように関わりたいのか、自分の心に問いかけてみると、「仕事だから関わるけど、本当は深く付き合いたくない」など、いろいろ本音が見えてくると思います。
怒りを発しやすい人のご機嫌を取ったり、気に入られようとしたりすると、余計にぎこちなくなる。だから、本音にフタをして行動することに気持ち悪さを感じながらも頑張ったり、慣れるために努力したりするのは、無理とは言い切れないまでも、かなりしんどいと思います。
■HSPチェックリスト
□ 自分をとりまく環境の少しの変化にもよく気がつく
□ 他人の感情や体調を敏感に感じとる
□ 自分の身体の痛みや不調に敏感
□ 人といると疲れやすく、ひとりになりたいと思う。
□ カフェイン、刺激物、化学物質、薬などに敏感に反応する
□ 肌ざわりや着心地がとても気になる
□ 想像力豊かで、空想していることがよくある
□ 明るい光や、強い匂いに反応する
□ 大きな音や騒音がとても苦手
□ 優しく親切な心を持っている
□ 一度にたくさんのことをやると混乱する
□ 人が言葉にしていない気持ちや感情によく気がつく
□ 物を忘れたり、ミスをしないように気をつけている
□ 人の本音と建前を察することがある
□ 映画やテレビの暴力的なシーンがとても苦手
□ 芸術や音楽などに心を動かされる
□ 自分の周りに刺激が多いとイライラする
□ 空腹になると集中力が低下したり、気分が悪くなる
□ 引越し、席替えなどの生活の変化は負荷がかかる
□ 人目が気になる
□ 競争させられたり、見られていると普段の実力を発揮できなくなる
□ グループの中にいると自分らしくいられない
□ 子供のころ周囲の人たちから内向的であったり、内気だと思われていた
*12個以上あてはまればおそらくHSPの気質です。
(坂本純子さんHPより)
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情報元リンク: ウートピ
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