どんなに“都合のいい女”扱いされても、大好きな相手のためなら、いつでもどこでも駆けつける。なぜならそんな瞬間が一番「生きてる」感じがするから――。
角田光代さん原作の恋愛小説を映画化した映画『愛がなんだ』(今泉力哉監督)が4月19日に公開されました。
好きな人のことしか考えられないヒロイン・テルコを熱演したのは、NHK連続テレビ小説『まんぷく』で安藤サクラさん演じる福子の姪・タカ役で人気急上昇中の女優、岸井ゆきの(きしい・ゆきの)さん。
小柄で親しみやすい笑顔が魅力の岸井さんが体現する全力の恋には、自分の友だち(あるいは自分)が暴走している様を見せられているような生々しい痛みと、潔さがあります。
自身も物事に熱中しやすいタイプだという岸井さんに、映画や仕事観について、前後編にわたってお話を聞きました。
朝ドラ出演で変化したこと
——テルコの親友・葉子を演じる深川麻衣さんは、「まんぷく」ではタカの妹・吉乃を演じてらっしゃいますね。『愛がなんだ』のときからいろいろお話はされてたのですか?
岸井ゆきのさん(以下、岸井):『愛がなんだ』を撮ったのは 2018年の6月で、深川さんが「まんぷく」の現場に入ってこられたのも、撮影後半に入ってからだったので、結構、期間が開いていて。それに『愛がなんだ』では、私はほとんどのシーンに出演していたので、待ち時間に話すということが全然できなくて……。
だから、「まんぷく」の現場で「あの時は、ほとんど話せなかったね」という話をやっとできました(笑)。
——「まんぷく」でのタカ役も話題になりました。朝ドラに出演したことで、仕事への向き合い方や仕事観に変化はありますか?
岸井:仕事への向き合い方に変化はないです。それが変わることはないですけど、責任感という部分での変化はありますね。
2017年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』という映画で初めて主演をやらせていただいたのですが、あの作品は家族の群像劇だったので、いろいろな方に支えられて、やっと真ん中に立てたという感じだったんです。だから、『愛がなんだ』のお話をいただいたときは、出演シーンも本当に多かったですし、いろんなプレッシャーがありましたね。
漠然としたものに対するプレッシャーがすごくあるんです。撮影に入ってしまえば、台本のことだけを考えるので大丈夫なのですが。朝ドラ出演が決まったときとか、映画の主演が決まったときは、言葉の重みに押しつぶされそうになる瞬間がある。「私という“1ピース”が作品を台無しにもできるんだぞ……!」って、自分で自分を攻撃しちゃう部分があります。
女優をやめたいと思ったことは「一度もない」
——もともと責任感が強いタイプですか?
岸井:何か決断が必要なときは、全部自分で決めてしまうタイプです。
二十歳過ぎで東京に出てきたのですが、その時も、ほぼ勝手に(笑)。神奈川県出身なのですが、東京でバイトを探していたので、それが決まって東京に住んだ方がいいよねって。
——しばらく、アルバイトをしながら女優をやってらっしゃったんですよね?
岸井:そうです。ほとんどの日はバイトをしていました。バイトを三つ掛け持ちして、「何やってるんだろ、私……」って思いながら東京で暮らしていた。でも、楽しかったです。いまだに、バイトで出会った仲間たちとはご飯を食べに行ったりします。
——女優をやめたいと思ったことは?
岸井:一度もないです。なんとなく「やめないだろうな」という気持ちは常にありました。でも、働くことが好きで、バイトするのもすごく好きだったんですよ。皿洗いが大好きで、バイトは全部、皿洗いだったんです。
——掛け持ちしていたバイト三つ、全部皿洗いですか?!
岸井:今は書いてないんですけど、公式のプロフィールに「特技は泡立てること」って書いていた時期があるんです。よくホイップクリームだと勘違いされたんですけど……。
——てっきりお菓子づくりが趣味なのだと思っていました。
岸井:そう思われるんですけど(笑)、実は、手を洗うことが好きなんです。洗い物とか、掃除とか、洗濯が好きなんですよ。皿洗いのバイトって、「これは魚の汚れね」「これは肉の汚れね」って思いながらずーっと洗っているうちに、無心になれるんですよね。リフレッシュになるんです。
——確かに無心になれる作業って心のリフレッシュにもなりますね。仕事で壁にぶつかったときなどは、どう気持ちを切り替えますか?
岸井:まだ模索中なんですけど、音楽を聴いたりはしますね。いつもテンションを上げるために聴いている曲があって。エドウィン・スターの「WAR」という曲なんですけれど、よく聴いているので、その曲が流れてくると自然と切り替えられる。これはもう、蓄積なんだと思います。
■映画情報
映画『愛がなんだ』 4月19日(金)、テアトル新宿ほか全国公開。
配給:エレファントハウス
(C)2019『愛がなんだ』製作委員会
(聞き手:新田理恵、写真:宇高尚弘、ヘアメイク:藤垣結圭、スタイリスト:須貝朗子)
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情報元リンク: ウートピ
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