前回の記事、「梅雨どきのめまいや頭痛、胃重は「湿邪」…『気象病』との違いを専門医に聞く【第1回】」で、漢方専門医・臨床内科専門医・消化器内視鏡専門医の吉田裕彦医師に、「梅雨のころの頭痛、めまい、耳ツーン、胃重感、むくみといった不調を東洋医学では『湿邪(しつじゃ)』」ということ、原因は体のあちこちに水分が溜まること、またその特徴は、気温が高くて暑く感じても実は体は冷えていること」だと教えてもらいました。
ひき続き吉田医師に、今回は、自分で湿邪を緩和する方法について詳しく尋ねました。
<第1回のポイント>
□「湿邪」は体に水分が溜まって不調をまねく
□「湿邪」の不調を具体的にチェック
□「湿邪」と「気象病」の相違点は
ウリ類、豆類、海藻類、香辛料を食べる
湿邪では体が冷えているということでしたが、つらい「湿邪」を乗り切るためのセルフケア法として吉田医師はまず、食事についてこうアドバイスをします。
「体に水分が過剰になってめぐりが悪化すると、とくに消化が悪いものを食べたり、食べすぎ飲みすぎたりをしているわけではないのに、胃腸がダメージを受けやすくて、胃が重くておなかを下す、また食欲が落ちることがあります。
そこで、水分のめぐりをよくする食材を食べましょう。旬の素材を選べばいいのですが、東洋医学ではとくに、ウリ類のゴーヤ・キュウリ・スイカ、豆類の黒豆・ハトムギ、海藻類のノリ・ワカメ・コンブなどが水分代謝を促すとされます。
また、梅雨から夏に好まれる香辛料の、ショウガ・ネギ・ ニンニク・ニラ・ミョウガ・ミント・大葉などを適量とると、消化機能を高めて体温のアップにつながるでしょう」
食欲が落ちると水分をとりたくなるのですが、湿邪の場合は体に水分が溜まるということで、水やお茶を多めに飲むのはよくないのでしょうか。
「いえ、そうではありません。水分補給については勘違いをしがちなのですが、水分過多だからと飲む量を極端に減らすと、余計に水のめぐりが停滞します。大量に飲むのは控えつつも、体内で循環を促すためには、白湯や水を適宜飲んで、排出することが重要です。1日に1リットルを目安に飲みましょう」と吉田医師。
夏用足首ウォーマーや半身浴で下半身を温める
また、梅雨には薄着になって、寝るときも足を放り出すことが多いのですが、湿邪による体の冷えを指摘する吉田医師は、こう注意を促します。
「真夏と違って、梅雨は深夜や早朝は思いのほか気温が下がります。薄着だと、就寝中に無意識に体が冷えやすく、すると水分がさらに停滞します。
とくに下半身を冷やしてはいけません。寝るときは足首とかかとを覆ってつま先を出すタイプの夏用のウオーマーを着用し、日中も靴下を履きましょう。足首を温めておくことがポイントです。
お風呂はシャワーだけにせずに、ぬるめのお湯につかる、また、可能であれば38~40度のぬるめのお湯で半身浴を10~15分ほどして上半身が汗ばむぐらいに温まりましょう。
秋冬の寒いときには頭寒足熱を意識すると思いますが、昼間の気温が高くなる梅雨のころには、ジメジメした感覚や汗が嫌で、頭も足も冷やしたくなりがちです。冷房もつけるでしょう。ですが、足は冷やさないようにと意識を高めて実践しましょう」
湿気を室内に入れない
さらに吉田医師は、湿邪対策として、室内の湿気の調整について次の説明をします。
「屋内の湿度に注目してください。50~60%になるように、これ以上のときはエアコンのドライ機能を使って調整しましょう。その際、体は冷えないように靴下を履き、夏用のひざ掛けやショール、カーディガンなどを利用してください。
湿度が高い日や雨の日は、窓を開けっ放しにしないで、換気程度にしてあとは閉めておき、できるだけ湿気を室内にまねき入れないように工夫をしてください。そして、梅雨の合間の晴れの日に、室内の風通しをよくして押し入れやクローゼットなどの湿気も取りましょう」
水分のめぐりが良くなる食材を選び、衣服で体を冷やさず、部屋の環境を調整しようというケア法、これらはいますぐできることばかりです。季節がもたらす体への影響を認識して、日ごろからちょっとしたセルフケアを続けることが湿邪対策のコツと言えそうです。
第3回では、自分で湿邪の様子を「舌」で診断する方法を、また第4回では湿邪対策のための漢方薬を紹介します。合わせて参考になさってください。
(構成・文 品川 緑/ユンブル)
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