仕事やプライベートで行き詰まったり、失敗したりすることは誰にでもあること。壁にぶつかるのは仕方ないと思っていても、ふとしたときに弱気になって「転ぶ」ことさえ怖くなってしまうことも……。
日本テレビの解説委員・キャスターで、現在は夕方の報道番組『news every.』(月~金曜午後3時50分~)に出演中の小西美穂さんが『小西美穂の七転び八起き デコボコ人生が教えてくれた笑って前を向く歩き方』(日経BP)をこのほど上梓しました。
同書は「日経ウーマンオンライン」の人気コラム連載を書籍化。仕事や恋愛、友情、家族……思い通りにならなくても、失敗して転んでも、そのたびに起き上がってきたという小西さんのエピソードがてんこ盛りにつづられており、働く女性にエールを送っています。
こんなキラッキラのキャスターがどうやって転んできたの? 私、30代になっても相変わらず転んでるけど大丈夫? そもそも、どうやって起き上がるんだっけ?
自らを「逆境のベテラン」と称する小西さんに4回にわたってお話を聞きました。
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“王道“とはちょっと違うけれど…女子の背中を押したい
——『小西美穂の七転び八起き』は日経ウーマンでのコラム連載がもとになっているのですね。反響はいかがでしたか?
小西:夜の街をさまよう話とか、テレビ局に私への批判が殺到したエピソードが反響があったと聞いています(笑)。
——小西さんが丸の内をさまよって八重洲ブックセンターで自己啓発書を買いまくっていたというのが意外でした。それも40歳を過ぎてのことだったと読んで「小西さんもそうなんだ!」とうれしくなっちゃいました。
小西:さまよってましたよ(笑)。
私も何度もへこんだし、悔しい思いもしたし、泣いたし、苦労したけれども、そのたびに、何かいろいろなヒントを見つけて起き上がってこられたんです。
人に助けてもらったり、すごく宝物のような言葉に出会ったりしながらなんとか乗り越えてきたんだよ、と伝えることで、今まさに頑張っている人たちに「大丈夫だよ」と声をかけたい気持ちで書きました。
——自分より上の世代の女性の言葉ってすごく励みになるんです。
小西:報道キャスターといえば、ニュースを伝えて、ジャーナリスティックな本を出すとか、そういう道もあると思うんです。
私はそんな王道キャスターとはちょっと違うけれど、今回は自分がこういう本を書くことで働く女子の背中を押せるのかな、と思ったんです。私の経験を話すことで笑ってくれればいいな、それが社会貢献につながればいいな、と思いました。
だからこそ、具体的なほうが役に立つなと思ったので、リアルに「ええかっこしないで」書きました。
——“規格外キャスター”というわけですね。
「やってみなはれ」精神でやってみる
——タイトルは『小西美穂の七転び八起き』ですが、そもそも転ぶこと自体が怖くて安全な道を選ぶ人もいると思うんです。
小西:それは、管理職になれって言われたら「いや、私は絶対失敗するからできません」という感じかな?
——そうです。私もそういうところがあるんです。これはやったことないからやめておこう、この年で派手な失敗をしたら何を言われるかわからないから断ろう、とか。転ぶことさえ怖くて転べないし、どう転んでいいかわからない。
小西:なるほど。それは、きっと何か変化するとか、身の丈以上のオファーがきたり、ちょっと上くらいの仕事がきたりしたときに尻込みしちゃうという話よね。
それで言うと、「本当に自分はその仕事をしたいのか?」と、自分と向き合って考えなきゃいけないのよね。その先の仕事を考える。自分が断ると、違う人にいくからね。何年か経つと、もう自分はその仕事も振られなくなるかもしれない。そういうときに「やらなかった」悔いが残るよね。
挑戦して落ちちゃったのであれば起き上がればいいし、また何か違う展開があるけど、やらずじまいで悔しい思いをするというのが一番悔しいと思うんだよね。
小西:でも、そこまで前向きになれないのであれば、ひょっとして自分は本当にそこの仕事が好きというエネルギーや熱量が足りないのかもしれない。
「やってみなはれ」精神じゃないけどね、前に進んで自分でやってみる。決してひとりじゃないから。そういうときってその仕事や役割をやらせる人がいてね、一緒にやってくれる人もいるんですよね。
職場にいなかったら、家族がいたり、友だちがいたり、彼氏がいたり、大事な人がいるよね。だから、そういうときはいろいろな人を巻き込みながらやる。自分にある力に他の人の力も含めると、前に進む原動力にもなるから……。
多分ね、やったらやったですごくへこむと思うんですよ。そんなうまいこといかないですよ。また転ぶと思うし、それはまた転んだら転んだで、何かがないと起き上がれないと思いますけど、そうやっていくうちに、成長というか、自分の本当の最終的なゴールに近づいていったりするのかもしれない。
人の気持ちがわかる優しさが芽生えたりとかさ。できない人の気持ちがわかりますよね。“逆境のベテラン”の私から言うと、逆境をどんだけ乗り越えられるかで、成功に近づけられると私は思います。
太い幹を育てていく
——“逆境のベテラン”っていいですね。
小西:笑。逆境というか、嵐の中をどんどん転んでは起きている人というのは、木に例えるとどんどんどんどん根を張っていくと思うんですよ。それで太い幹になっていく。その木に枝も葉も生えてきたりしてね。
だから、それをバーッと倒そうとする風や嵐がきたとしても、うまく受け流して、そんなことくらいじゃ倒せなくなるのね。そう思って、しっかり根を生やしたり、自分の成長の木を太く、太い幹を自分で育てていこうとする意識でやったらいいと思うけどな。
——根を張るイメージ……。
小西:私、へこんでいたときは本当にそう思っていたの。失敗して能力が足りないってずっと悩んでいるときは勉強したり、ラジオを聴いたりいろいろやりました。「これは根を生やすことなんだ」って言い聞かせながら。「自分は今、太い幹を作っているんだ」と思って。
自分が今カリンカリンだから、倒されようとしたらポキッてなっちゃうんだけれど、ひょっとしたら自分が大きくなれば、ここに誰かが休みにくるかもしれない。
そういうイメージで、しっかり根を張った木になろうと思って。職場はパラダイスじゃないから、嫌な人もいるし理不尽なこともいっぱいある。でも「大丈夫だよ」とこの本を通じて言えればいいかなと思いました。
※次回は11月12日(月)公開です。
(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
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情報元リンク: ウートピ
太い幹を作るように自分を育てていく… “逆境のベテラン”の私が伝えたいこと【小西美穂】