前回の記事、「夜遅ごはんには夕方の補食でダイエット! 糖尿病専門医が教える食べ方の極意【前編】」では、夕方に「補食」をしておいて、夜遅い時間帯の食事と2回に分けて食べる「分食」という対策法について紹介しました。
今回の後編では引き続き、糖尿病専門医で『糖尿病は自分で治す』(集英社)など多くの著書があり、肥満やメタボの治療実績で知られるふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)の福田正博院長に夜遅ごはんの太りにくい食べ方について、具体策を教えてもらいました。
旬の野菜料理を先に食べて、おかずやごはんは「かさ増し」を
福田医師は夜遅ごはんについて、前編で紹介した、1食分の総カロリーから補食のカロリーを差し引いて食べる「分食法」に加えて、次のように食べ方のポイントを挙げます。
「どれも普段から習慣にしたい方法ですが、夜遅い時間帯の食事ではとくに、消化やエネルギーの代謝を促す食べ方を実践してください。誰もがすぐに取り組める方法です」と福田医師。
(1)夜遅には、旬の野菜の料理を選ぶ
旬の野菜は、ビタミンやミネラルなどの栄養価が高い時期に収穫されます。春はキャベツやアスパラガス、夏はトマトやキュウリ、秋はキノコ類やゴボウ、冬はハクサイや小松菜などを選ぶと、栄養価が高く低カロリーであり、たくさん食べても太りにくいと言えます。
(2)おかずの2倍の量の野菜、海藻類、キノコ類を先に食べる
ゴボウやキャベツなどの野菜、海藻類やキノコ類には、食物繊維が豊富に含まれています。これらを先に食べると、あとから食べるタンパク質や炭水化物、脂質などの吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぎます。食事の際には、まずは野菜や海藻類、キノコ類から、おかずの2倍の量を目安として食べましょう。
(3)キノコ類、海藻類、もやし、コンニャクで「かさ増し」を
食物繊維が豊富なキノコ類や海藻類、また、もやしやコンニャクは、低カロリーで糖質も少ない食品です。肉の代わりに、サラダやスープ、野菜炒めなどに入れて「かさ増し」をすると、ボリュームが出て満腹感を得ることができます。
(4)ごはんは、ぞうすいやリゾットにしてふやかす
ごはんをふやかすと「かさ増し」になり、満腹感を得ることができます。ぞうすいやリゾットにして食べましょう。
(5)総菜を選ぶ場合は、おでんを
スーパーやコンビニで総菜を買う場合は、揚げ物ではなく、おでんにしましょう。とくに、おでんの昆布巻きやダイコン、コンニャクはカロリーが低いので覚えておきましょう。ただし、ジャガイモはカロリーが高いので、2個以上食べるのは避けてください。
(6)冷しゃぶサラダの肉は3~4枚にする
冷しゃぶサラダは、一皿で約350キロカロリーです。野菜とタンパク質の両方がとれて栄養バランスが良いため、肉が食べたい日は冷しゃぶサラダを選び、肉は3~4枚までにしましょう。野菜を先に食べてください。
(7)どの料理でも、薄味にする
味が濃い、塩分が高いと、翌日にむくみがでて体重が増える可能性があります。食欲をそそるため、たくさん食べることにもつながります。また、味を濃くするために、しょうゆやソース、塩などの調味料をたくさんかけると、食後の血糖値の上昇が急になります。おかずや食材そのものの味を味わうように意識をして、調味料はなるべく使用せず、薄味にしましょう。
(8)揚げ物は避ける
揚げ物は脂質が多く脂肪が蓄積されやすいため、おなかいっぱいに食べると体重増加に直結します。また、消化に時間がかかるので胃での滞留時間が長く、胃腸に負担をかけて便秘をまねくこともあります。
(9)主食には、雑穀米や雑穀パンを選ぶ
雑穀米は白米より少し硬いため、よく噛んで食べることになります。すると、早食いをせずに満腹感を得やすく、食べすぎを防ぐことができます。消化も腹持ちも良く、白米や菓子パンに比べて、食後の血糖値の上昇も抑えられます。
夜遅い時間帯では、雑穀米はお茶碗に半分(約130キロカロリー)、雑穀パンの場合はスライス一枚(約80キロカロリー)を目安に食べましょう。
(10)おかわりは野菜のおかずを
ホウレンソウやレタスなどの葉ものの野菜は太りにくいため、好きな分だけ食べてもカロリー過剰にはなりません。食べ足りないと感じるときは、葉ものの野菜のおひたしなどをおかわりしましょう。
20時過ぎてからのスイーツはNG!
さらに福田医師は、スイーツの食べ方と、よく噛むことについて次のように強調します。
(11)20時以降の夜遅スイーツは禁止
夕食後や20時以降にカロリーが高いスイーツやフルーツを食べると、血糖値が急上昇して、脂肪が蓄積します。夕食後にデザートが食べたい場合は、20時までに、寒天ゼリーやおかきを片方の手のひら1杯分、フルーツの場合は低カロリーであるイチゴを5個程度、バナナ1本など、100キロカロリー以下を目安に選びましょう。
(12)ひと口30回、「よく噛むダイエット」を
よく噛んでゆっくり食べると、脳の満腹を感じる中枢が反応して食べる量を抑えることができます。また、唾液がたくさん出るため、唾液に含まれる消化酵素の分泌が促されて消化に良いこと、それが便秘を予防すること、あごやのどの筋力や咀嚼(そしゃく)力がアップになるなど、体にとってメリットばかりです。夜遅ごはんではとくに有用なので、ひと口に30回ほどは噛んで食べましょう。
最後に福田医師は、摂取カロリーについて、こうアドバイスをします。
「夕方に補食したことを忘れて、夜遅ごはんでガツガツと食べることがないように、スマホや手帳のスケジュール覧などに、何を食べたか、カロリーと共に記録してみてください。1週間で食べたカロリーを集計すると、食べすぎに気づくことがあるでしょう。すると夕食の量やカロリーを抑えようという意識の向上に役に立ちます」
夜遅ごはんではとくに食材を選んで、食べる順番を意識し、かさ増し調理などで腹持ちアップや消化によい食べ方の工夫をしようということです。減量や胃腸の働きにも目を向けながら継続したいものです。
(取材・文 藤原 椋・品川 緑 / ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
夜遅ごはんの太りにくい食べ方は? 糖尿病専門医が教える12のポイント【後編】