つやがあり、なめらかな手触りの美しい髪を保つためのヘアケアには毎日気が抜けません。とくに夏は、強い日差しや頭皮の蒸れ、フケ、かゆみ、パサつき、抜け毛などが気になります。
美容師で美髪のためのケアを追求する三谷遥さんは、「夏は紫外線によるダメージを修復する、洗髪後の髪を自然乾燥にしない、海やプールの水で傷めないという3つのケアがポイントです」と話します。詳しく聞いてみました。
冒頭の3つのポイントについて、さっそく三谷さんに注意すべきことと具体的なケア法を伝授してもらいましょう。
(1)日傘も帽子もスプレーもなし…紫外線ケアをしない
肌が日焼けしないように心がける人は多いと思いますが、髪の紫外線対策も欠かせません。毛髪や頭皮も紫外線が原因で『光老化』という加齢現象が起きます。毛髪も頭皮も、表面だけでなくその内側にまで影響が及ぶのです。
毛髪の表面を覆ってつやとうるおいを与えるキューティクルは、紫外線を受けるとはがれやすくなります。すると、髪が乾燥してパサパサする、手触りが悪くごわごわする、髪の1本ずつが衰える、切れ毛や枝毛が生じるなどで傷みます。
頭皮は髪に隠れているので紫外線の影響がわかりにくいのですが、毛母細胞という髪を作り出す細胞がダメージを受けて、薄毛や白髪の原因になります。また、頭皮の細胞も紫外線の影響で酸化するなどで、シワ、タルミ、抜け毛などの原因になります。
<ケア法>
紫外線を頭部にあてないことがポイントです。外出時は、紫外線カット99%以上の日傘や帽子で頭部を守りましょう。帽子は、紫外線が頭部や顔に侵入するのを防ぐためにつばが広く、また、においや熱中症対策として汗を吸収しやすくて通気性が良いタイプを選びましょう。
そして、髪用の紫外線カットスプレーを使用したうえで、髪を結ぶ、アップにするなどでまとめておくと、紫外線を浴びる範囲を少なくすることができます。
さらに、紫外線のダメージを受けた髪には、「クエン酸リンスミスト」をお勧めしています。スプレーボトルに市販の精製水100ミリリットルとクエン酸10グラムを加えて混ぜ合わせ、アウトバスでタオルドライ後の髪にたっぷりと吹きかけます。手作りは面倒だと思うかもしれませんが、安価でさっと作れて使いやすく、髪に潤いを与えてパサ付きを防ぐことができます。私はこれを愛用しています。防腐剤、添加物なしなので、少量ずつ作って使い切りましょう。
(2)ドライヤーは暑いから…自然乾燥で放置
ドライヤーで乾かすのは暑いし汗をかくからと、自然乾燥や扇風機の風をあてるという人が多いです。しかしそれでは頭皮まで乾かず、湿った状態が長くなります。すると白癬菌(はくせんきん)という高温多湿な環境を好むカビや雑菌が頭皮で繁殖しやすくなり、においやかゆみ、フケ、毛髪のダメージに直結します。
<ケア法>
お風呂からあがるとすぐに、タオルで髪をはさんでパンパンとたたくタオルドライをして、髪の水分を吸収しましょう。これだけでドライヤーの時間を短くして暑苦しさを回避し、またドライヤーの過剰な熱によるダメージの軽減にもなります。
その後にアウトバス用のヘアオイルや洗い流さないトリートメントを用法用量どおりに使用してから、ドライヤーの温風で7割ほど乾かし、次に冷風に切り替えて8割ほど乾くまで仕上げます。
ポイントは、毛髪が乾燥し過ぎてキューティクルや内部が傷まないように、カラカラに乾ききるまでドライヤーをあてないことです。最後に冷風をあてると髪にツヤが出て、暑さもやわらぐでしょう。
(3)プールや海の後、すぐに洗わずに放置
髪に海水やプールの塩素が付着したままでは、弱酸性の毛髪が弱アルカリ性に傾き、きしみやパサ付きの原因になります。また、海水に含まれる雑菌やプランクトンが頭皮で繁殖すると、髪のキューティクルがはがれて切れ毛や抜け毛が増えます。
また、水に濡れたまま紫外線を浴びると、毛髪の光老化が進んで同様のダメージが強くなり、酸化作用で色素が落ちて赤色化しやすくなります。
<ケア法>
海やプールからあがったら、髪に付着している塩分や塩素はすぐさま、海水浴場やプールにあるシャワーで洗い流しましょう。
シャンプーをする際には、まず35~38度のぬるめのお湯で3~5分程度しっかりとすすいでください。その後、弱アルカリ性に傾いた毛髪を弱酸性に戻すため、シャンプーをして中和させます。このとき指の腹でやさしく頭皮を洗うことを意識しましょう。その後はまた3~5分すすぎ、さらに同様に二度洗いをします。その上で、アウトバスでは(1)で紹介したクエン酸リンスミストを使用するとよりよいでしょう。
海やプールに入る際には、髪が水にできるだけ触れないように、頭の高い位置で結ぶなどのアレンジをしてから、仕上げに紫外線カットのスプレーを使用しましょう。
聞き手によるまとめ
夏のヘアケアでは、「肌と同じく髪も日傘や帽子、専用スプレーで紫外線を避ける」、「暑いからとドライヤーをさぼらない」、「海やプール後はさっさと髪を洗う」ことが重要だということです。毎日実践して、夏の美髪キープを目指したいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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