「リケジョ」という言葉も社会の中でだんだんと定着し、エンジニアや技術職として働く女性も増えつつありますが、「理系の女性」というとまだまだ少数派というのが現実です。
今晩23時に放送されるAbemaTV「Wの悲喜劇 〜日本一過激なオンナのニュース〜」では、「リケジョが世界を救う!」と題して、理系女性の世界にMCのSHELLYさんが迫ります。
今回は、番組に「極ガール」として出演した植物生理生態学者の田邊優貴子さん(40歳)に話を聞きました。南極・北極それぞれに7回ずつ渡航した経験を持ち、常に死と背中合わせの極限状況の中スノーモービルで人跡未踏の雪原を走り、氷の下の湖に潜水する田邊さん。
そんな超行動派の田邊さんですが、実は遺伝性の難病発症を発病する可能性を抱えて生きていると言います。
そんな彼女から見える「リケジョの生き方」とは?
「就職に有利かも」で工学部を選んだものの
──まずはリケジョ、そして“極ガール”になるに至ったいきさつから聞かせてください。子供の頃はどんな子だったんですか?
田邊優貴子さん(以下、田邊):私は青森県青森市の生まれです。実家は八甲田山の麓で、子供の頃から自然と触れる機会が多かったですね。祖父が獣医で、自然や生き物に対する知識が豊富だったことも私に影響を与えているかもしれません。
宇宙への憧れも強くて、小学校の卒業文集には、大きくなったら宇宙飛行士か天文学者になると書きました。その頃、テレビでアラスカやシベリアを特集した番組を観て、強い衝撃を受けたのを覚えています。その時の衝撃が今の極地研究に繋がっているかもしれませんね。
──大学は京都大学に進学されていますね。
田邊:はい。でも、それほど意識して「リケジョ」を選んだわけではなくて。学部も「就職に有利みたいだから」という理由で工学部を選びましたし。
大学院では工学研究科・工学部でRNAやDNAを材料にした研究をしていましたが、博士課程に進む頃に、自分のやっていることに違和感を抱くようになりました。同じ生命や生き物を扱うにしても、工学系は自分には向いていないことに気づいたのです。退学して、直接自然を相手にする道に進むことにしました。この時、心の底にあったのが、大学生時代にバイトしてお金を貯めてバックパックで旅したペルーの星空や、大学院生時代に行ったアラスカで出会った生命が凝縮しているような光景でした。
──それで、極地研(国立極地研究所)のある総合研究大学院大学に入られた。
田邊:そうです。そこで博士課程を修了しました。現在も所属しているのは東京・立川にある極地研です。極地研には南極観測隊を編成して送り出す本部があります。私の最初の南極行きは2007年でした。
──それから10年余りの間に、南極に7回、北極にも7回行かれた。
田邊:7回目の南極から戻ったのが今年の3月でした。この時の遠征は16カ月間の長丁場で、初めて南極で越冬するという貴重な体験をしました。
「時間は有限である」と教えてくれた病気
──研究されていることの中身は後編で改めて詳しく伺います。その前に、ご自身が抱えておられる遺伝的な病気の問題について話していただけますか?
田邊:脊髄小脳変性症という、発病すると次第に運動機能が衰えていく病気があって、私の母と2人の伯父が罹っています。母方の祖母もどうやら同じ病気に罹っていたようです。遺伝性なので、私も将来的に発病する可能性が高いのです。
──どのくらいで発病するというような目安はあるのですか?
田邊:私の家系だと早い人で40代、多くは50代で発病するようです。私は今40歳なので、あと10年くらいで発病するかもしれないと思っています。
──病気のことを知った時、絶望的な気持ちになりませんでしたか?
田邊:最初は「え?」という感じで驚きましたが、不思議なほどネガティブにはなりませんでしたね。むしろ、病気のことを知ったことで覚悟を決めて動けるようになったと思います。今から思えば、それまでは時間は無限にあると考えていたように思います。病気の有る無しには関係なく、誰にとってもそんなはずはないのに。病気のことを知って、時間は有限なんだと。だったらなおさら好きなことをして生きなくてはと考えました。それで、極地で自然の研究をするということに焦点が絞れたのです。
「理由なんてなくていいから、肯定したい」
──普段生活する中で病気のことを意識することはありますか?
田邊:それはほとんどないですね。この病気には予防策がないので、努力して防ぐこともできなし、もしかしたら発病しないで終わることもあるかもしれないですから。今から考える意味がないという感じです。
──ということは、先ほど旅行の体験の中で話された「生命が凝縮している」というような感覚は、あくまでも体験から得られるもので、病気のリスクを抱えていることで感覚が研ぎ澄まされるという感じでないと?
田邊:もしかしたら意識の奥の方には病気のことがあるかもしれませんが、私が生命の輝きや尊さを感じるのは、あくまでも実体験を通してだと思います。例えば、進路について悩んでいた大学院生の頃、アラスカで湖に映る北米最高峰のデナリを見たことがあります。風が吹いて、少し水面が揺れて。その光景を見たとき、心が震えて、理由なんてなくていいと、全てを肯定的に捉えようと思えるようになりました。
──そんな体験ばかりしていると、東京に戻った時、余りのギャップに凹んだりしませんか?
田邊:3月に南極から戻った時、真っ先に思ったのは「ここは風に命の危険を感じないな」ということでした。でも、厳しさという点では比べ物にならないけれど、東京にも自然はあって、それはそれで素晴らしいと思います。時々公園に出かけたりして自然に触れていますよ。
(浮田泰幸)
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#60「リケジョが地球を救う!」
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情報元リンク: ウートピ
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