梅雨に入ってジメジメとした日が続き、体調不良や気分的な不快感、カビの発生やにおいも気になります。
そこで、アロマセラピーに詳しく、ご自身で実践されているという臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に聞くと、「肌も気分も部屋も湿り気に満ちているとき、不快感のケア法のひとつとして、薬理の効用もあると言われるアロマオイル(精油)を活用しています。皮ふや鼻から吸収することでリラクゼーションに働きかけます」と話します。その活用法について詳しく尋ねました。
湿度が高いとだるさや頭痛、食欲不振に
はじめに正木医師は、梅雨時の湿度が健康面に与える影響について、こう説明をします。
「ヒトにとって快適な湿度は40〜60%とされています。湿度が40%以下になるとウイルスの活動が活発になり、60%を超えるとカビやダニが増殖します。
梅雨は湿度が高くなるので、カビやダニの繁殖に適した環境になります。カビやダニはアレルギーを引き起こす原因物質で、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮ふ炎、ぜんそくなどを起こしやすくします。
また、湿度が高いと汗が蒸発しづらく、余分な水分や熱が体内にこもって、体のだるさや頭痛、食欲不振、めまい、肩こりなどの原因にもなります」
多湿対策のひとつとしてアロマオイルを活用されているとのことですが、どのような場面でどう役に立つのでしょうか。
「アロマセラピーとして、アロマオイルが持つ独自の働きや香りによるリフレッシュ作用で、先ほどお話しした多様な不調を軽減する、また気分的な落ち込みを改善することがあります。
梅雨に活用しやすい、カビや雑菌の増殖を抑制するとされるアロマオイルを使って、体調への悪影響や不快感、においなどを予防しましょう」と正木医師。
スプレーとして室内に吹きかける
次にアロマオイルの活用法について、正木医師はこう伝えます。
「ルームスプレーのようにして室内に吹きかけると、アロマオイルの働きや香りを楽しみながら多湿による不快対策ができます。このあと紹介しますが、アロマオイルには殺菌作用を持つとされるものが少なくありません。それらを使用します。
アルコールに耐性があるスプレー容器を選び、無水エタノール10ミリリットルにアロマオイル10滴ほどを加えてよく混ぜます。次に精製水40ミリリットルを加えてまた混ぜてできあがりです。
これをリビングや寝室、洗濯物だけでなく、お風呂場やキッチン、シューズボックス、クローゼットなどにさっと吹きかけましょう。
無水エタノールは、オイルを溶けやすくするために使います。普段はドラッグストアで購入できますが、ご時勢がらアルコール製品の不足で手に入らない場合もあります。そのときは、アロマオイルと精製水だけを混ぜて使っても大丈夫です。ただし水と油は混ざりにくいので、使用のたびによく振って混ぜ合わせてから吹きかけましょう。
作るのが面倒な場合は、アロマショップでスプレータイプが市販されているので活用してください」
カビや雑菌を防ぎ気分リフレッシュのアロマオイル5つ
ではここで、正木医師が選ぶ「多湿による不快感をケアするアロマオイル」を伝授します。
(1)ペパーミント
シソ科の植物で、日本ではセイヨウハッカとも呼ばれるハーブの一種です。「ハッカ油」として市販もされています。清涼感のある香りが特徴で、抗菌、防虫、消臭作用において筆頭に挙げられます。また、消化器官の働きを調整するとされ、胃もたれや消化不良のときにハーブティで飲用するのに適しています(ただし、逆流性食道炎の人には向かないので注意をしましょう)。さらに、脳を活性化する働きもあり、リフレッシュしたいときにも活用できます。
(2)ユーカリ
双子葉植物に属するフトモモ科で、ペパーミントよりも刺激の強い香りがします。殺菌、消臭の作用があり、カビやダニ、細菌やウイルスの繁殖を抑え、空気の浄化に働きかけます。また、気持ちを落ち着かせる、血流を促す、花粉症による鼻水、鼻づまりなどの緩和に作用します。
(3)レモン
ミカン科で、柑橘系のさわやかな香りがします。殺菌作用が高いと言われ、カビや雑菌、細菌を抑えます。古くから、肉や魚が傷まないように食材にも使用されてきました。また、不安感が強いときや行きづまった気持ちになったとき、リフレッシュしたいときにも向きます。
(4)ラベンダー
シソ科でフローラルな甘みややわらかさを感じる香りがします。抗菌、殺菌、防虫作用があるとされています。ヨーロッパでは、蚊やハエを寄りつかせないようにラベンダーを部屋の中につるす習慣もあると言います。不安感や怒り、ストレス、憂うつな気分を抑える働きもあることで知られます。
(5)ティートゥリー
(2)のユーカリと同様、フトモモ科の植物です。甘さと苦さが混ざり合ったような清涼感のある樹木の香りがします。細菌やウイルス、カビを抑え、除菌や消臭の作用があります。落ち込んだ気持ちをリフレッシュしたいときにも向きます。
アロマオイルのチョイスに迷った場合について正木医師は、
「紹介した中から好みの香りを優先するとよいでしょう。そうすると楽しみながらの多湿対策ができます。アロマセラピーは快適な気分になるよう、癒しの時間が持てることがポイントです」とアドバイスをします。
聞き手によるまとめ
さっそく好みの香りであるペパーミントとラベンダーで実践してみました。まず、簡単にアロマスプレーができることに驚きました。そして曇天や雨ばかりのどんよりした日々、湿気の多い室内でこれらのアロマスプレーを吹いてみると、一瞬で気分が晴れてジメッとしたいやなにおいも抑えられるように思います。お気に入りのアロマオイルを見つけて、梅雨を乗り越えたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)
- 緊急事態で感じる不安や緊張…うつ症状の予防とケア法【専門医に聞く】
- 仕事がはかどる香りはペパーミント 働き女子がアロマを生活に取り入れるなら…
- 「香り」は“ご法度”のはず…話題の「怖い絵」展でアロマが販売された理由は?
- 「香り」が苦手ならアロマで取り入れて “引き算”で考える香りの哲学
- 憂うつ感や脱力感、五月病をケアしたい…医師が実践するアロマセラピー
- 体も気分もだるくて「気象病かな?」と思ったら…臨床内科専門医が教えるセルフケア【後編】
情報元リンク: ウートピ
医師が実践する…梅雨のジメジメ不快対策にアロマを活用