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分かりやすく「悪」を断罪する危うさ…『よこがお』深田晃司監督に聞く

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身に覚えのないことで世間から責められ、気付けば加害者へと転落していた——7月26日公開の映画『よこがお』は、主人公・市子(筒井真理子さん)が不条理なことで“これまでの日常”を失いながらも、どん底から再び立ち上がろうとする物語です。

訪問看護師として働く市子は、訪問先の大石家の長女・基子(市川実日子さん)の介護福祉士の勉強を見てあげるほど一家から信頼されている存在。ある日、基子の妹・サキが行方不明になる事件が起こり、犯人が意外な人物だったことから市子は事件への関与が疑われ、ねじ曲げられた真実と世間によって追い詰められていきます。

分かりやすく「悪」を定義することの危うさを突き付ける『よこがお』。監督・脚本は、『淵に立つ』など人間の心の深淵を描く手腕に定評がある深田晃司監督です。映画を作る際の女性の描き方や表現への向き合い方などについて、3回にわたってお話を聞きました。

映画『よこがお』メインビジュアル

映画『よこがお』メインビジュアル

誰でも犯し得る気付かない罪

——『よこがお』で理不尽に追い詰められ、気付けば闇に落ちてしまう市子がリアルで信じられる気がしました。というのは、NHKの「連続テレビ小説」に出てくるような、夢を目指して明るくがんばるヒロインを見ると、正し過ぎてしんどいと感じちゃう時があります。この主人公の設定はどこから着想を?

深田晃司監督(以下、深田):もともとはプロデューサーの方から「女性3人の運命が絡むようなドラマにしたい」という提案を受け、それを原案として考えていくうちに別物になっていったんですけど、ああいうふうに主人公が落ちていく展開にしようと思ったきっかけはちょっと記憶が曖昧なんです。

「アイデアはどこからですか?」という質問は難しいんですよね。だいたい、連想ゲームみたいに考えているので。その源泉が分かれば、今後創作が楽なんでしょうけど(笑)。

でもたぶんイメージしていたのは、ジョン・カサヴェテス監督の『こわれゆく女』。途中からはっきり意識していたのは溝口健二監督の『西鶴一代女』ですね。ひたすら1人の女性の流転を描いていく作品にしたいなという気持ちはありました。

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——ネタバレになるので詳しい理由は伏せますが、市子が世の中から責められる理由は彼女が昔してしまった、悪気のないセクシャルな好奇心によるものです。「もしかしたら、私も市子のようになるかもしれない」という怖さを感じました。

深田:あのエピソードはなるべく、「起こり得そうで特に罪もないような、かわいらしい話」として描きながら、もしかしたら市子が気付いていない罪かもしれないという、ギリギリの線にあるものを考えました。相手が嫌ではないふりをしていただけで、実は嫌だったかもしれない。見方を変えれば告発につながるようなものにしました。

安心したくて、分かりやすい型にはめる

——サキの失踪事件との関連を問われて市子の人生は激変してしまいますが、失踪事件の犯人の動機は映画の中で語られませんね。

深田:私たちの周りで現実に起きてしまう犯罪と同じレベルに置きたかったんです。犯罪が起きる時って、だいたいそうだと思うんですよね。なぜ犯罪を起こしたのか、当事者でさえ本質的には分からないことかもしれないのに、周りが簡単に分かるわけがない。

それなのに、「もしかしたら性的虐待が原因なのではないか」とか「心に傷があった」などと周囲があれこれ理由をつけて、市子の存在がちょうどいいバッシングの対象になってしまった。

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——5月に川崎市で起きた殺傷事件でも、あたかも引きこもりが犯罪者予備軍であるかのような報道がされました。何でもステレオタイプ的に憶測や先入観で人を断罪しがちです。

深田:たぶん、理由がないものは怖いという気持ちがあると思うんですよ。犯人が抱えているのは誰もが抱えている闇かもしれないし、いつ私たちが犯人の側に転げ落ちてしまうかも分からないという不安がある。

人間の心なんてものすごく不可解で、誰にも分からないけれど、やっぱり人は犯罪が起きた時に自分と犯人の間に境界線を引きたくて、「テレビゲームおたくで、ゲームの影響を受けたんじゃないか」とか考えたくなる。

自分とその人を分けたい、分けて安心したいという気持ちがあるんだろうなというふうに感じます。そういう単純化はすごく危ない。

「僕はこんなふうに世界が見えている」を描く

——私たちも普段から、分かりやすいストーリーを求めてしまっているところがあると思います。そうした風潮に対して、映画を通した問題提起を意識していますか?

深田:問題提起というよりも、「自分には世の中がこういうふうに見えている」ということを映画の中できちんと描くことが大事だと考えていて、それをどう思うかは観客に委ねられるべきだと思っています。

いろいろなタイプの映画があって、監督の“拡声器”というか、主義主張を伝えるための映画を作るというのも、それはそれでアリだと思うんです。だけど、自分にとって映画はそうではないほうがいいと思っている。あくまで自分の見方を“世界観”として描いて、あとはそれをどう咀嚼(そしゃく)して捉えるかは、お客さんに委ねるようにしたいです。

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※次回は7月18日(木)公開です。

(聞き手:新田理恵、撮影:宇高尚弘)

■映画『よこがお』
7月26日(金)より角川シネマ有楽町、テアトル新宿ほか全国公開
公式サイト:yokogao-movie.jp
配給:KADOKAWA
(C)2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS

情報元リンク: ウートピ
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