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冷えるとなぜトイレに行きたくなるの? 頻繁な尿意の対策法【臨床内科専門医に聞く】

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寒い場所に出ときや、夕方から冷え込んだときに、急にトイレに行きたくなることはありませんか。その頻度が高まると、車やバスでの長時間の移動や、そうそうトイレに立てない仕事中には憂うつになることがあります。

臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、「尿の正常な回数は、1日に平均6回前後で7回まで、就寝中は0から1回程度、多くても2回とされています。体が冷えると、急な尿意を感じて回数が増えることはあるでしょう」と話します。

対策法はあるのかなど、詳しく聞いてみました。

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冬は発汗しないので体温調節のために尿量が増える

はじめに正木医師は、冷えと尿意や尿量との関係についてこう説明をします。

「冷えるとトイレが近くなる原因は、主に2つあります。1つめは、尿量が増えることです。ヒトは自律神経の働きで、体温を調節するために発汗しますが、冬は気温が低いのであまり汗をかかないでしょう。それで体内の水分が尿となって排出されることが増えるのです。

2つめは、膀胱に尿がそれほど溜まっていないのに、冷えによって自律神経の働きで尿意を感じることです。強い尿意を感じてトイレに行ったものの、それほど量が出なかったという経験はありませんか。これについては順を追って説明しましょう」

どちらも思いあたります。次に、この2つめの「尿が溜まってないのに尿意を感じる理由」について教えてもらいましょう。

膀胱の筋肉は伸び縮みする

尿意は、膀胱に尿が溜まったときに生じると思っていましたが、そうとも限らないということです。その理解を深めるために正木医師は、尿と膀胱の仕組みや特徴と、自律神経の働きについて次のように説明を続けます。

「尿は腎臓に流れてきた血液をろ過したもので、体内の不要な水分やミネラル、老廃物を含んでいます。その尿は腎盂(じんう)という部位に集まってから、尿管を通って膀胱に溜まります。

膀胱の筋肉は伸縮するという特徴があります。尿を溜めているときは自律神経の1つの交感神経が働いてゆるみ、尿道の周囲にある尿道括約筋という筋肉はぎゅっと収縮します。この働きによって、尿はもれることなく膀胱に溜めておくことができるのです。

一方で、尿を排出するときには副交感神経が働いて膀胱はぎゅっと収縮をし、尿道括約筋はゆるみます。膀胱の半分程度に尿が溜まって膀胱が収縮すると脳にその情報が伝わり、尿意を感じ始めます。

とくに就寝時はリラックス状態であるため、副交感神経が優位に働いています。何らかの原因で目が覚めたときに尿意を感じやすいのはそのためと考えられています」

冷えると膀胱も過敏に反応する

女性の悩みに多い、冷えると急に尿意を感じるのはなぜでしょうか。正木医師は次のように答えます。

冷えを感じると、自律神経が体温を平常に保つように働きます。その場合、膀胱も過敏に反応して収縮し、尿道括約筋がゆるむため、尿意を感じやすくなるのです」

また、女性に多い頻尿のもうひとつの原因について、
「膀胱や子宮を支える骨盤底筋群がゆるむと、おなかの圧力で尿道をしめきれなくなって頻尿や尿もれになることがあります。女性の骨盤底筋群は男性より多くの臓器を支えていること、また女性は男性より尿道が短いために、尿意のコントロールが働きにくくなる、いわゆる『過活動膀胱』と呼ぶ症状が起こりやすいわけです。

加齢とともにその悩みを訴える人は増えますが、若い世代でも座りっぱなしや立ちっぱなしが長く続く場合など、運動不足の人に多く見られます」と正木医師。

5分がまんする訓練、体を温める、考えすぎない

では次に、トイレが近いと感じる場合の対策法を正木医師に伝授してもらいましょう。

(1)5分間がまんをしてみる
最初に尿意を感じてからは、30分~1時間ほどがまんできるのが正常と考えられています。膀胱に尿があまり溜まっていないのに、尿意を感じてからすぐにトイレに行くことが習慣になると、膀胱の筋肉が縮んで小さくなる場合があります。

まずは試しに、いつでもトイレに行くことができる自宅で、尿意を感じてから5分ほどがまんをしてみましょう。とくに問題なく過ごせてその状態に慣れてきたら、がまんする時間を5~10分単位で1時間ぐらいまで、徐々に伸ばしていきましょう。これは膀胱の活動の訓練となり、次第にトイレに行く回数が減ってくることが期待できます。

ただし、我慢のし過ぎはよくないので、自分で膀胱に尿が溜まったなと思う場合はトイレに行きましょう。

(2)体を温める
おなかを温めると、膀胱の血流が促進されます。すると膀胱の収縮を抑えることができ、トイレに行く回数の減少につながるでしょう。冬はとくに腹巻きや保温性の高い下着の着用、カイロ、湯たんぽなどを使用し、夏は冷房に注意して体を冷やさないようにしましょう。

(3)就寝前の水分摂取を避ける
コーヒーや緑茶、紅茶には利尿作用のあるカフェインが含まれるので、夜間のトイレが気になるときは、夕食以降に飲むのは避けましょう。水分の摂取は就寝時間の3時間前まででとして、夏は常温の水、冬は白湯を飲むとよいでしょう。

(4)夕食で塩分が多い料理を避ける
夕食で塩分が多いものを食べると、のどが渇いて寝る前までに水分を多くとりがちです。なるべく塩分が少ない食事を心がけましょう。

(5)不安を和らげる
少しでも尿意を感じると不安になり、トイレのことばかりを考えてさらに尿意が増してくることがあります。「すぐにトイレに行かなくても大丈夫」、「いつでも行ける」などと考えて、気持ちに余裕を持ちましょう。

(6)軽い運動で骨盤底筋群を鍛える
ウオーキングやスクワットなど軽い運動を習慣づけましょう。とくに、「座ったままでも立っていても、おしりをぎゅっとしめて10~30秒数える」、また、「あお向きに寝転んで足を腰幅に広げ、腰を上げておしりをぎゅっとしめて10~30秒数える」というエクササイズを、1日に何度でも実践してください。

最後に正木医師は、
「トイレに行く回数が1日に8回以上、また就寝中に2回以上だと、頻尿であると自覚してください。もし、この回数よりも多い、また頻尿がつらくて日常生活に差し支える場合は、何らかの病気が隠れていることもあります。早めに内科や泌尿器科を受診してください」とアドバイスをします。

寒い時期の急な尿意は、体の冷えに対応する自律神経の働きだということです。膀胱の活動をイメージして数分単位でがまんの訓練をし、できるだけ体を冷やさないように、また食事や水分のとり方に気をつけて、エクササイズもしながら改善を試みたいものです。

(取材・文 藤原 椋 /ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
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