屋外だけでなく、デスクでも足の冷えがつらく、作業に集中できないことがあります。
鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長によると、「足が冷えると、頭痛や肩こりなどさまざまな不調をもたらし、『こむらがえり』と呼ぶ足のつりを引き起こすこともあります。デスクワーク中でもケアができる、足の冷えを改善する三大ツボとその押し方のコツを紹介しますので試してください」ということです。
詳しく聞いてみました。
血流を促すためにツボを刺激する
はじめに丸尾さんは、ツボ刺激やストレッチが足の冷えとつりを改善する理由、またその実践法について、こう説明をします。
「冷えは、心臓から遠い膝(ひざ)から下の部分に感じやすいでしょう。そのため、膝から下の筋肉の上にあるツボを刺激して、筋肉の血流を促しながら冷えをケアしましょう。冷えが原因で起こる足のつりの予防にもつながります。
ポイントは、冷えを感じる前にツボを刺激し、ストレッチを行うことです。『冷えた』と自覚したときにはかなり血流が滞っていて、筋肉が硬くなっていると考えられ、ケアにも時間を要するからです」
ではさっそく、そのツボとストレッチ法を教えてもらいましょう。「ツボの位置は、個人差があります。次に解説する場所やその周囲を押して、自分が『いた気持ちいい』と感じるところを見つけましょう」と丸尾さん。
足冷え対策の三大ツボは、三陰交・足三里・承筋
(1)三陰交(さんいんこう)―女性の不調の特効ツボ
「三陰交」という名称には、エネルギーが循環する3つの道筋が交わるツボという意味があります。足の内くるぶしの少し上の方にあり、「冷え対策、月経トラブル、更年期障害などに作用する女性の特効ツボ」として知られるほか、足のつり、むくみ、めまい、立ちくらみ、イライラ、痔などの緩和にも作用します。
<ツボ「三陰交」の位置>
内くるぶしのもっとも高い位置から、手のおや指以外の4本の指を揃えた幅の分を上がったあたりの骨のきわ。わかりにくければ、内くるぶしからつながる骨のふくらはぎ側のきわに沿って押してみましょう。左右にあります。
<刺激法>
刺激する足とは反対の手で足首付近をつかみ、「三陰交」をおや指でひと押し5~10 秒ほど、くるくると刺激し、3~5回をくり返しましょう。デスクワーク中は、手のひらや、反対の足の指先やかかとで、「三陰交」とその周囲をさするのもいいでしょう。
冬や寒い場所ではとくに、靴下やレッグウオーマーを着用して、「三陰交」の周囲を冷やさないようにしましょう。
(2)足三里(あしさんり)―足、おなか、自律神経の万能ツボ
「足三里」の「三」は三寸、「里」は道のりや居どころを表し、「膝のおさらの外側の下のへこみから、三寸下がったところ」を示しています。「三里」は手にもあるので、足の方は「足三里」と呼びます。
松尾芭蕉が記した『おくのほそ道』で、「長い旅の足の疲れをケアするために、三里のツボに灸をすえる」という一節があることは有名です。「足三里」は足の冷えや痛みのほか、胃腸の不調や自律神経のバランス、歯痛の緩和にも作用する万能ツボとしても知られています。
<ツボ「足三里」の位置>
膝(ひざ)のおさらの外側の下にへこみがあります。そこから、手のおや指以外の4本の指を揃えた幅の分を下がったところ。左右にあります。
<刺激法>
押しやすい手の指を使って、強めにひと押し5~10秒ほど刺激し、3~5回をくり返しましょう。デスクでは、足を組んで反対の手のひとさし指となか指、くすり指をそろえて押すと刺激しやすくなります。また、指先や手のひらでさするだけでもいいでしょう。
(3)承筋(しょうきん)―足のつりの緩和ツボ
「承筋」はふくらはぎの真ん中にあり、その名称の「承」は受ける、「筋」は筋肉を示し、筋肉の盛り上がりを受け止めるツボという意味合いがあります。足の冷えとつりの緩和や予防に用い、また、膝やアキレス腱の痛み、足腰のだるさ、腰や背中のこり、さらに下痢、おう吐、便秘、痔などの緩和にも作用します。
寝ているときや運動中に急に足がつったときは、できるだけあせらずに、このツボを手のひらで優しくさするとよいでしょう。
<ツボ「承筋」の位置>
ふくらはぎの盛り上がりの真ん中あたり。左右にあります。
<刺激法>
押しやすい手の指を使って、ひと押し5~10秒の刺激を3~5回くり返しましょう。デスクでは、刺激する足とは反対の膝がしらの上に「承筋」を乗せてから、膝や、乗せた足を動かしてぐりぐりと刺激しましょう。
(4)すね&ふくらはぎのストレッチ
デスクワーク中には頻繁に足首を曲げて伸ばすと、すねとふくらはぎの筋肉の伸び縮みがくり返され、血流が促されて冷えの対策ができます。また、足首が柔らかくなって、足のだるさやつりの予防が期待できるでしょう。
① 椅子に浅く座り、背筋を伸ばして足を骨盤の幅に開きます。右の足の膝を伸ばし、足首を床につけて直角に曲げ、つま先を天井に向けます。その状態で2・3秒キープします。
② 右のつま先を床に向け、膝からつま先までが一直線になるように伸ばします。その状態で2・3秒をキープしましょう。床から足首を離すとふとももまで力が入り、軽い筋トレにもなります。
③ ①と②を3~5回くり返します。左の足も同様に行いましょう。
最後に丸尾さんは、これらのツボを刺激するタイミングや回数について、こうアドバイスを加えます。
「これらのツボは冬の寒いときだけではなく、夏の冷房による冷えや夏バテ対策としても有用です。一年中、日常の多くの場面で複数の不調に対応するため、覚えておくと便利でしょう。いつ何回押すということよりも、デスクワーク中以外でも、通勤電車や自宅でテレビを観ながら、バスタイムなどで、思い立ったときにいつでも、自分の感覚でくり返し刺激してください」
さっそく実践してみたところ、一度で足が軽くなって、とくに膝から下がスッキリとした感覚になりました。血流が促されたのでしょう。「三陰交」「足三里」「承筋」の3つのツボを知っておき、「膝から下のストレッチ」と合わせてこまめに刺激するとよいということです。
(取材・文 藤原 椋/ ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
冷えによる足の疲れ、つりを予防! デスクで押したい三大ツボ【鍼灸師が教える】