『無駄づくり』発明家の藤原麻里菜(ふじわら・まりな)さんは、現在コンテンツクリエイター、文筆家、映像作家、ユーチューバーとして活動しています。しかし、彼女の働き方は実に軽やか。無理をするのではなく自分のペースを保ちながら働くことで今までにないアイデアを生み出し、国内外での個展やテレビ番組の司会、本の執筆と活躍の幅を広げています。
「寝ポテチマシーン」や「恋のおまじないをチートするマシーン」など、ユニークな作品を生み出す藤原さんに群れないコツについて話を聞きました。
全校集会から逃げ出していた子ども時代
——自分の個性を出したいと思う気持ちと、規則やルールに乗っかっているほうが安心という気持ちの間で揺れている人も多いと思います。藤原さんはもともと我が道を行くタイプでしたか?
藤原麻里菜(以下、藤原):そうですね……。私自身は、幼少期から規律を守るのが苦手なタイプでした。授業に遅刻したり、学校の全体集会に行くのが嫌で逃げ出したりしたこともあります。でも私が遅刻や欠席をすると、そこで全体の流れを変えてしまったりして、人に迷惑がかかるじゃないですか。人に迷惑をかけることも嫌だったから、おとなしく従えない自分に葛藤していました。
——でも今は、自由に創作活動をしていますよね。どうすれば藤原さんのように「自分の気持ちを大事にする強さ」が身につきますか?
藤原:モヤモヤをそのままにしておかないことでしょうか。何か行動を起こすと、言葉にできないモヤモヤを感じることがありますよね。私も定期的に「楽しくないなぁ」とか「ツラいなぁ」と感じることがあるんです。
——あるんですね。
藤原:あります。そんな時は、いま感じていることや今後やりたいことを紙にリストアップしているんです。モヤモヤを言語化すると、自分がどうしたいかが見えてくるので、理想と現実のギャップを埋めやすくなるんです。そういう指標があるから自分とも向き合えるのだと思います。
みんなただの人間だから大丈夫
——ユーチューバーとして動画をアップしていると否定的なコメントがつくこともありますよね。やっぱり落ち込みますか?
藤原:多少傷つくことはありますが、ネガティブな意見にもちゃんと目を通しています。コメントを通して自分の感性を確かめている感じですね。私が迷いながらアップした動画には「面白くない」っていうコメントが寄せられることが多いので。
でも一方で、人間は評価基準が曖昧だから、周囲の評価を気にする必要はないって思っている自分もいるんです。例えばピカソの絵も、「あのピカソが描いたなら絶対にいい作品だ」って思っている人が大勢いると思うんですよね。誰も明確な物差しは持っていないんです。それなら、自分が見ていいと思うかどうか、仕事なら、自分がやって楽しいと思うかどうかを大事にするといいんじゃないかなと思います。
——じゃあ逆に「面白い」っていうコメントがついたときは?
藤原:そう言われたくてやっているので、褒められると「これからも『無駄づくり』を続けなきゃ」って前向きになります。2018年に出版した本『無駄なことを続けるために – ほどほどに暮らせる稼ぎ方 – 』(ヨシモトブックス)も、元は現代ビジネスというウェブメディアで書いた記事だったんですよ。それをホリエモンこと堀江貴文さんが褒めてくださって話題になり、ついに本になりました。
私の周りには、好きなことを仕事にしたけど全然お金がなくてバイトばかりの毎日になってしまったり、夢を諦めたりした人が結構いるんです。そういう人に読んでもらって、「好きなことを1日でも長く続けたい」と思うきっかけになったらいいなと思っています。
「ステレオタイプ思考」にならないために
——できれば好きなことを続けたいけれど、どうしても周りに流されてしまう。そんなときはどうすればいいと思いますか?
藤原:会社だと難しいかもしれませんが、自分が好きなことと嫌なことを、それぞれ言語化すると気持ちが楽になる気がします。人に伝えるまでもないようなことでもいいんです。例えば、猫のしっぽが揺れているのを見るのがすごく好きだなぁとか。
会社員の場合は、誰にも言わなくていいから、「会社のこんなところが苦手だな」って自分の頭の中でわかっておくといいかもしれません。紙に書くともっといいと思います。うまく言葉にできないことは絵や図にすればいいし、視覚的に捉えることで新しい発見もあるはず。
「苦手だと思ったらいけない」「好きじゃないといけない」って変な方向に自分を当てはめようとすると、集団に飲み込まれやすくなってしまうんですよね。だからこそ、言葉にするって大事なのかなって。自分の気持ちに正直になれば、昨日より少し生きやすくなると思います。
(取材・文:華井由利奈、撮影:青木勇太、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
全校集会から逃げ出していた子ども時代【藤原麻里菜】