それほど食べすぎているわけではないのに、どうも下腹が張って不快感が続くといったことはありませんか。その原因や、自分でケアする方法について、鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に尋ねてみました。
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女性は、腹圧、便秘、冷えで下腹が張りやすい
はじめに丸尾さんは、下腹が張る原因についてこう説明をします。
「便秘やストレス、偏食で、おなかにガスが溜まっていると考えられます。無理なダイエットや栄養のバランスが偏った食事、炭酸飲料を飲み続けているといったことはありませんか。
とくに女性は腹圧が弱い、便秘になりやすい、冷えやすいため、下腹が張る、おなかに鈍い痛みがあることは多いでしょう。それは消化の不調のサインだと察して、早めにケアをしてください。そのために、対応するツボを押して腸のぜん動運動や血流を促し、おなかの張りを改善しましょう」
ツボ「大巨」「大腸兪」「神門」の刺激と「コブラのポーズ」
では丸尾さんに、デスクワーク中でもできる下腹の張りを改善するツボを3つと、自宅でリラックスタイムに行いたいストレッチを伝授してもらいましょう。
(1)ツボ・大巨(だいこ)を刺激する
「大巨」の名には、立派、要という意味があり、おなかの高く隆起したところにある重要なツボを表わします。便秘、下痢、腹痛、のぼせ、冷え、不眠などの緩和に作用します。
<ツボ「大巨」の位置>
おへそ(赤丸部分)から左右に向かって、ひとさし指からくすり指まで3本をそろえた幅の幅だけ離れ、そこからさらに下に、同じ指の幅3本分を離れたところ。左右にあります。わかりにくい場合は、その周囲をゆっくり押して探ってください。
<刺激法>
なか指の腹を使って、体の中心に向かってひと押し5~10秒ほどのゆっくりした刺激を、3~5回くり返しましょう。
(2)ツボ・大腸兪(だいちょうゆ)を刺激する
その名の通り、大腸に関連した不調に用いるツボです。ストレスや冷えなど多様な原因が考えられる便秘、おなかの張り、ガスの溜まり、下痢、おなかがゴロゴロ鳴るときなどのケアに有用です。腸の動きを促進し、腰痛や背中の痛み、痔のケアにもよく用いられます。
<ツボ「大腸兪」の位置>
背骨と、ベルトライン(骨盤の左右を結ぶ上のライン)が交わる箇所の左右のきわにあります。また、両方の手を背中に回し、背骨の上から下へとおや指でたどって骨盤とぶつかった部分のすぐ左右のポイント。
<刺激法>
左右のウエストを両方の手でそれぞれつかみ、腰を抱えるようにして、左右同時におや指で大腸兪を押します。やや力を込めて5~10秒、ゆっくり親指で押しもむことを3~5回くり返しましょう。
(3)ツボ・神門(しんもん)
「神門」の「神」は心、心臓の機能、精神、「門」は出入口を意味し、気持ちや気分、心持ちの出入り口を意味する、手首の近くにあるツボです。便秘、おう吐、食欲不振、全身のけん怠感、発熱、頭痛、めまい、憂うつ感、不安感、ストレスを改善する万能ツボとして知られています。
<ツボ「神門」の位置>
手のひらを上に向けて、小指から真下におろした手首の横じわの端で、手首を軽く内側へ曲げるとわかるくぼみの部分。左右にあります。
<刺激法>
おや指の腹で、ひと押し3~5秒ほどをやや強めに、3~5回くり返し押しましょう。
(4)「コブラのポーズ」でおなかのストレッチ
ヨガで言う「コブラのポーズ」で、おなかと背中をストレッチします。腸の運動を促しながら、リラックス、腰痛の緩和、背中の引き締め、肩こりの改善に有用です。
<ポーズの方法>
うつぶせになって両方の足の甲を床につけます。両方の肩の横に手をつき、鼻から息を吸いながら、腕で支えるようにしてゆっくりと上半身を起こします。目線は正面か斜め上へ。肩甲骨を引き寄せるように意識すると、おなかや背中、肩がさらに伸びます。
肩をすくめない、あごを上げすぎないようにして、ゆったりとポージングをしましょう。1回で30秒~1分ほど、鼻呼吸をしながらキープします。その後、ゆっくりとうつぶせの姿勢に戻って休憩してから、2・3回をくり返しましょう。
もし、腰や背中に痛みがある場合は無理をせずに、おなかを床から離さない「スフィンクスのポーズ」を行いましょう。
最後に丸尾さんは、1日のうちで実践するタイミングについて、「3つのツボはどこででも刺激がしやすいので、とくに緊張する時間が続くデスクワーク時には、気づいたときにいつでも押してください。ヨガのポーズは起床時、テレビを観ながら、寝る前などにくり返してみてください。一連のケアを毎日2・3回、2週間ほど継続するとおなかの張りの改善が期待できるでしょう」とアドバイスを加えます。
たしかにどのツボもデスクで押しやすく、また覚えやすいので、いつでも実践できそうです。コブラのポーズは思いのほかおなかや背中、腰の伸びが実感できます。合わせて続けてみてください。
(取材・文 藤原 椋、品川 緑/ ユンブル)
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