子役時代から数多くの作品に出演し、その演技力が高く評価されている女優の伊藤沙莉(いとう・さいり)さん(25)。
伊藤さんと言えば、2018年に放送されたドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)での“ちょっと癖のあるOL”役や、今夏に放送された『これは経費で落ちません!』(NHK総合)での“天真らんまんでどこか憎めない後輩”役なども記憶に新しいのではないでしょうか?
11月8日公開の映画『生理ちゃん』に出演した伊藤沙莉さん(品田俊介監督)で伊藤さんが演じたのは、夢を諦めてフリーター生活を送りながら、SNSで毒を吐きまくるりほ。
「私もりほのように『どうせあたしなんて』とついポロっと言っちゃうことがあった」という伊藤さんに、役作りやこれまでのキャリアのこと、演じるときに意識をしていることなどを伺いました。
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女同士でもすべてを理解しているわけではない
映画は、月に1回やってくる生理を擬人化したキャラクター「生理ちゃん」が登場する小山健さんのマンガが原作。生理に振り回されながらも仕事や恋愛、人生に奮闘する女性たちの姿を描き、忙しいファッション誌の編集部で働く米田青子を二階堂ふみさん、青子が働く会社で清掃のバイトをする山本りほを伊藤さんが演じています。
——おなかが痛かったり、イライラしたりという生理の「あるある」が描かれていましたが、伊藤さんにとっての「あるある」はどんなエピソードでしたか?
伊藤沙莉さん(以下、伊藤):全体的にあるあるエピソードが満載だと思うのですが、生理についてきちんと描いているなあと思ったのが、大きい生理ちゃんと小さい生理ちゃんが出てくるんです。生理の重さやイライラや痛み、期間は人によって違うものだというのを生理ちゃんの大きさで表現したというのはすごく感動というか感心しました。
一言に「生理」と言っても、女性同士ですべてを理解しているわけではない。もちろん「男の人には分からないよ」と言いたいわけではなくて、みんながお互いに一歩一歩、歩み寄らないといけない部分だと思います。だから、人によって違うんだよということを描いてくれてうれしいなと思いました。
目と目を合わせて話すのがすごく幸せ
——伊藤さんが演じるりほは、かなえたい夢があるものの、なかなか素直になれずその思いにふたをして、SNSで毒を吐き続けるという役どころです。りほを演じるにあたり、どんなことを意識しましたか?
伊藤:「どうせあたしなんて」と何かをやる前からいろいろ決めつけちゃったり、思い込みに縛られたりしている部分や自信がないところには「分かるなあ」と共感しました。
だからこそ、編集者の山内くんが「山本さん」ってりほの名前を呼んでくれたシーンがすごく好きで……他の人にとっては当たり前の、普通のことかもしれませんが、こういうささいなことで救われることってあるんですよね。
——伊藤さんにも似た経験があるのでしょうか?
伊藤:それこそ、こうやって目と目を見てお話することがすごくうれしいんです。昔は視界に入れてもらえないということもよくあったので……。
まあ、人って見たことがある人や知っている人を見たいし、たくさんメディアに出ている有名な人を見たいし、パッと目を引くかわいい子を見たいものだから仕方がないとは思うんですが、過去には「私はみんなの視界には入ってないな、クソ」って思っていたこともあります。
だから、りほちゃんにとって名前を呼んでもらえたということは、私にとって人と目が合うことくらいすごいことなんだなあと。そんなことを思いながら演じましたし、目を見て人としゃべれるというのはすごく幸せです。
——どこかのタイミングで「相手が自分のことを見てくれている」と思えるようになったんですか?
伊藤:やっぱり「このお芝居を見ました」と感想をいただいたときでしょうか。出させてもらえる作品が増えれば増えるほど、みなさんの目に届くようになって、プラスの感想でもマイナスの感想でも「伝えたい」が生まれる。そうすると、人と関わることがどんどん増えて目も合うようになってくる。それはすごくうれしいなと思います。
「自分に呪いをかけるのをやめたら?」に救われた
——映画で、生理ちゃんがりほに「自分に呪いをかけるのをやめたら?」と言うシーンがあります。伊藤さんも自分で自分に呪いをかけてしまったことはありますか?
伊藤:私もこのセリフが本当に好きなんです。「私なんか」とか「どうせ」とか「私に興味ないですよね」なんて私もついポロッと言っちゃうことがあったんです。でも、それって自分で思っちゃっているだけなのかなって。
——小さい頃から子役として活躍されている伊藤さんでもそんなふうに思うんですね。
伊藤:だからこそ、なおさらだと思いますよ。小さい頃からこの仕事をやっているからこそ、何が正解かも分からないし、手応えの感じ方もよく分からない。もちろん、お芝居に関しては満足したら終わりだと思っているので、その部分は突き詰めていきたいなと思っているし、自分に甘くする必要はないと思っているんですけれど、自分自身に対してや、女性としての自分に対して確実に呪いをかけていた部分があります。
だから、「自分に呪いをかけるのをやめたら?」という言葉には、りほちゃんもそうですが、私自身もすごく救われましたね。
■映画情報
『生理ちゃん』
公開表記:11月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開
配給:吉本興業
(C)吉本興業 (C)小山健/KADOKAWA
※後編は11月9日(土)公開です。
(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘)
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情報元リンク: ウートピ
伊藤沙莉「自分に呪いをかけるのをやめたら?」の言葉に救われた 映画『生理ちゃん』に出演