「友達と会うのは楽しいけれど、どんなに仲が良くても2時間が限界」「声の大きい人や威圧的な人が苦手」「近くに不機嫌な人がいると自分のせいだと思ってしまう」——。
人の顔色が気になって一喜一憂し、敏感さゆえに気疲れしてしまう人は、もしかしたら繊細すぎる気質を持った「HSP」(ハイリー・センシティブ・パーソン)かも……。
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以前、HSPについて教えていただいた心理カウンセラーの坂本純子(さかもと・じゅんこ)さんに、HSPが陥りがちな悩みとその対処法を聞きました。全6回。※HSPチェックリストは記事末尾にあります。
自分から切り上げるのが怖い
「とにかく、人づきあいが疲れます。休日に人と会っても3時間くらいが限度。一緒にご飯に行ってもすぐに1人になりたくなるので、『このあと用事があるから』と切り上げるようにしています。私は冷たいでしょうか?」
——「疲れが明日に響くので早めに帰る」と言うのは、場がしらけるので気が引けるという声はよく聞きます。「私たちとのつきあいより、自分の生活ペースのほうが大事なの?」と冷たい目を向けられるのが怖い。
坂本純子さん(以下、坂本):前回までのアドバイスにもあるように、これも「私はどうしたい?」と自分に問いかけて、「3時間くらいで切り上げたい」が答えならそれでいいのですよ。
でも、この質問が出てくるということは、やっぱり周囲の反応が気になるということですよね。
「疲れるから」と本音を伝えることで、周りに不快な思いをさせることが怖いのなら、「明日、仕事が早いから」と言い換えては?
「どう伝えることが自分にとって楽か?」を基準に選ぶ
——毎回うそをつくのも後ろめたいと思ってしまいます。
坂本:本音を隠して別の理由を伝えることに罪悪感を感じるのならば、無理して言わなくてもいいですよ。正直に、どうしても疲れやすいことを伝えればいい。
やっぱり「自分にとって、何が一番楽か」を基準に選ぶことです。何が「正解」かではなく、何が「自分にとって楽」か。相手にとっての正解は相手にしか分からないのです。ここを読み取って相手の期待に応えようとするHSPの人が多いのですが、これを続けている限り自分を抑圧し続けることになる。この状態が不安や心配を生み出すのです。HSPの人づきあいでは「自分の本音を大切にする」を意識しましょう。
——これは私もよくあるのですが、人の白けた表情を読んでしまうので、みんなが盛り上がってるときにそもそも「帰る」と言い出しにくい。「子供がいるから」「家族がいるから」という理由のある人が、正直うらやましい……。
坂本:例えば「夜弱いので9時に帰る人」とか、「そういう人」だと思われるようにしてもいいのですよ。毎回違ってもいいし、一貫性がなくていいので、「今私は何を伝えたいんだろう?」「どんな気分で今ここにいられたら私は楽?」と、自分の感覚で判断しましょう。心がホッとしたり身体がゆるむような感覚を感じられる方法を見つけられたらいいですね。
このケースの悩みの根源は、「人に合わせられない自分を責めている状態」がしんどいのではないでしょうか。そういう人の場合、自分よりも周りに意識が向いていて、相手を優先させている。その意識をまず、自分に向けることが大切です。
HSPの人は敏感なので、「周りの人の顔色が穏やかでいられるような自分でいなければいけない」と思いがち。その意識をさらに掘り下げると、「イライラしている人を見るのが怖いから、周りの人には穏やかでいてほしい」という気持ちがあるので、自分を抑えて人がイライラしない空気をつくろうと無意識に頑張ってしまう。
でも、HSPの人が努力するべきポイントはそこではありません。「本当は、自分がどうしたいのか」を自分のために拾ってあげること。そして、それを行動に移せる自分になることです。
HSPの人は生まれ持った敏感さや繊細さを、自分以外ではなく、自分自身に向けましょう。
自分の心の動きや体の反応を敏感に感じ取り、自分の本音を満たすために行動することができれば、繊細さや敏感さが才能やセンスとして発動しはじめます。
それが人には個性として映り、自分自身人づきあいがもっと楽になりますよ。
■HSPチェックリスト
□ 自分をとりまく環境の少しの変化にもよく気がつく
□ 他人の感情や体調を敏感に感じとる
□ 自分の身体の痛みや不調に敏感
□ 人といると疲れやすく、ひとりになりたいと思う。
□ カフェイン、刺激物、化学物質、薬などに敏感に反応する
□ 肌ざわりや着心地がとても気になる
□ 想像力豊かで、空想していることがよくある
□ 明るい光や、強い匂いに反応する
□ 大きな音や騒音がとても苦手
□ 優しく親切な心を持っている
□ 一度にたくさんのことをやると混乱する
□ 人が言葉にしていない気持ちや感情によく気がつく
□ 物を忘れたり、ミスをしないように気をつけている
□ 人の本音と建前を察することがある
□ 映画やテレビの暴力的なシーンがとても苦手
□ 芸術や音楽などに心を動かされる
□ 自分の周りに刺激が多いとイライラする
□ 空腹になると集中力が低下したり、気分が悪くなる
□ 引越し、席替えなどの生活の変化は負荷がかかる
□ 人目が気になる
□ 競争させられたり、見られていると普段の実力を発揮できなくなる
□ グループの中にいると自分らしくいられない
□ 子供のころ周囲の人たちから内向的であったり、内気だと思われていた
*12個以上あてはまればおそらくHSPの気質です。
(坂本純子さんHPより)
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情報元リンク: ウートピ
人に会ってもすぐに帰りたくなる…HSPの人づきあいのヒント