本日21時から放送のAbemaTV「Wの悲喜劇 〜日本一過激なオンナのニュース〜」では、「不登校からの〜人生バラ色!」と題して、かつての不登校の経験を経て現在は様々な分野で活躍する女性たちの実態に迫ります。
「みんなは普通にできていることが、なぜ私は上手にできないんだろう……」
勉強、恋愛、仕事、人間関係、日々の生活——。「できて当然」と思われていることが、どんなに努力してもできない。そんな自分がイヤになったことはありませんか?
同時通訳者として、ダライ・ラマやデビッド・ベッカム、ビル・ゲイツなど世界的な著名人やロイヤルファミリーの通訳を行っている田中慶子(たなか・けいこ)さんは、高校時代に不登校を経験しました。留学を経て就職した会社にも馴染めず、周囲から孤立。再就職先ではトラブルに巻き込まれ……。これまでの人生を「ダメダメだった」と語る田中さん。
しかし田中さんは、それらの経験と約20年間の通訳人生を踏まえ、「普通じゃなくてもいいんだ」と“ダメダメだった頃の自分”を含めて自らを肯定できるようになったといいます。家族への罪悪感や、友人の嫉妬を乗り越えた先に見えた、自分なりの価値観。そこに至るまでの経緯と心境の変化を聞きました。
2回目の今回は、不登校から始まった両親への罪悪感と、専業主婦になった姉への羨望に関するお話です。
降り積もる親への罪悪感
——幼少期から団体行動に馴染めず、高校2年生で不登校に。「もう我慢の限界、学校には行かない!」と決めたとき、ご両親の反応はどうでしたか?
田中慶子さん(以下、田中):学校で起こっていること、言われたことを冷静に見てくれていて、学校に行きたくないと言ったら「そりゃそうだよね」と言ってくれましたね。前回も話しましたが、厳しい高校で、生徒に対して怒鳴る、殴る、廊下に正座させるのは日常茶飯事。それに加えて、私は幼い頃から「イヤだ」と言いだしたら何を言っても聞かないタイプだったので、親は「行きたくないならしょうがないね」って。
でもやっぱり、「高校は卒業しておいたほうがいいんじゃない?」と何度も説得されました。私の気持ちを理解しながらも、意固地な娘に手を焼いていたみたいです。
——「親に悪いことをした」という気持ちはありましたか?
田中:もちろんありました。実は大人になってもずっと、その罪悪感を引きずっています。「学校に通う」っていう、普通の人なら簡単にできるはずのことが、私はできなかったから。
それに、私は仕事に没頭してきたので、「いつまでたっても親を安心させてあげられない」「孫の顔も見せてあげられない」っていう後ろめたさを感じることも。もう、そういう星のもとに生まれたんじゃないかっていうくらい、“普通ならできるはずの親孝行”ができなくて(苦笑)。
孫、私が産まなくてもいいのか
——それは誰にとっての“普通”なのかと思うところもありますが、確かに世間的にそう考える人は多いかもしれません。その罪悪感は、現在も変わらずありますか?
田中:今はありません。私には姉と弟がいるんですが、2人がそれぞれ結婚して子供を持ってくれた時に罪悪感がふわっと軽くなるのを感じたんです。「孫の顔を見せるっていうミッションは、私がやらなくても良かったんだ!」って。結局、私自身が「結婚するべき」「子どもを持つべき」っていう「べき論」に囚われていたんですよね。
——自分で自分にプレッシャーをかけていた?
田中:はい。大切に育ててくれた両親に何も恩返しできなくてごめんなさいって長年自分を責め続けてきたけれど、実のところ親は何も気にしていなかったみたいです。
——ご両親は今、同時通訳者として世界を飛び回る田中さんのことをどう思っているか聞いたことはありますか?
田中:「よくやってる」と言って応援してくれています。その言葉を聞いて、だんだんと「私は私にできることをすればいいや」と思えるようになりましたね。いい意味で、開き直れたのかな。今はあまり何かを「するべき」とは思わないです。
「慶子ちゃんが羨ましい」姉のホンネ
——きょうだいに対する思いはどうですか?
田中:専業主婦の姉に対して、「どうして私はお姉ちゃんみたいになれなかったんだろう」って思ったことはありますよ。私から見た姉は良妻賢母そのもの。家族のために一生懸命で、優しい夫に、可愛い娘がいて、いつも家の中には笑い声が聞こえている。姉を見ると、なぜ私はこの幸せを手に入れられなかったんだろうと悩んでしまう時期もありました。
——ということは、今は思わない?
田中:そうですね。ある時、姉に「私は慶子ちゃんがうらやましいと思うことがあるよ」って言われたことがあるんです。その時に考え方が変わったというか。「お姉ちゃんが私をうらやましいってどういうこと!?」って。
——何と言われたんですか?
田中:「出かけたい場所があっても、私には子どもがいる。慶子ちゃんのように自由に出かけることはできない」と言っていましたね。私はそれまで、姉のように家庭を持てなかった自分はダメな人間に違いないと思っていましたが、結局、私も姉も隣の芝生が青く見えていただけだったんですよ。
私たちは同じ家で育った姉妹だけれど、全く違う人生を歩み、相手のことを尊敬しながらも「私は私の人生が好き」と思っている。「あなたのやっていることは私にはできない」ってお互いに言い合ってます(笑)
実際、想像してみると、姉の生活は私には「半日ももたない!」って思うんですよ。私は絶対に仕事がしたくなるだろうし、家から飛び出して自分がやりたいことに時間を使いたい。姉は姉で海外と日本を行き来して体力の限界まで仕事する私を見て「自分には絶対に無理!」と言う。対照的な生き方をする姉妹でもそれぞれ自分らしく幸せに暮らしている。それでいいと思えるようになりました。
(取材・編集:ウートピ編集部 安次富陽子、文:華井由利奈、撮影:大澤妹)
■田中慶子さんの著書
『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』(KADOKAWA)
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#74「不登校からの〜人生バラ色!」
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情報元リンク: ウートピ
不登校・未婚・子なし…“普通ならできるはずの親孝行”ができなくて