コスメブランドのBA(ビューティーアドバイザー)を経て、現在は少女マンガ家として活動する、六多いくみさん。
百貨店の化粧品売り場を舞台にした『リメイク』(マッグガーデン)、『カワイイ私の作り方』(日本文芸社)、『メイクはただの魔法じゃないの』(講談社)など、BAの経験を活かしたテーマの作品を数多く生み出しています。
第2回では、六多さんに、自分らしいメイクを見つける方法について聞きました。
好きなメイクと褒められるメイク
——前回、読者のメイクのハードルを下げることを意識して作品を描いていると伺いました。でもなかなか、メイクで達成感を得るのは難しいです。いつまでも経っても「正解」がわからないというか。
六多いくみさん(以下、六多):何をもって「正解」としているかだと思いますが、「自分の好きなメイク」と「人から褒められるメイク」を気分によって使い分けていいのでは?
私は「ブランドのショーの華やかさに惹かれて」という、おそらく一般的な女の子とちょっと違うところからメイクに興味を持つようになったので、もともとは「自分に似合う / 似合わない」を意識していなかったんですよね。
でも、コスメカウンターでフルメイクをしてもらったときに家族が絶賛してくれて、「人から褒められるメイクもいいな」と思うようになりました。自分の気分を上げるメイクと見られるメイク、どちらも楽しんでしまえばいいと。
今も、人の目を気にしないでメイクをするときは、自分のテンションを上げるためのコスプレのような感覚がどこかにありますね。どんなメイクがいいか全然わからないという状態なら、自分に似合うメイクを先に身につけておくとアレンジもしやすいかなと思います。
コスメカウンターで情報収集
——似合うメイク、どうやって探したらいいでしょうか?
六多:今はパーソナルカラー診断とかもあるし、自分に似合う色や質感を見つけやすいですよ。ただ、「これが自分の定番だから他はダメ」と思わないでほしいなと思います。1年前に似合っていたはずのファンデーションが馴染まなくなったとか、マットなメイクが合わなくなったとか、年齢によって「似合うメイク」も変わってくるんですよね。毎年色の流行りも変わっていくし、新色を顔に乗せるだけでも、メイクは洗練されていくので、定期的なアップデートはおすすめです。
——わかります。つい、気に入ったメイクばかりしてしまって、いつの間にか印象が古くなるのが怖いです。適度に流行を取り入れるには、どうやって情報を拾えばいいでしょう。
六多:やっぱり、コスメカウンターにいくのが一番の近道です。個人的には、コスメは春に買うのがおすすめ。華やかな色が出ているし、仕事でも使いやすい色展開が多いんですよね。余裕があれば、春と秋に新作や限定色を取り入れてみるといいですね。30代って、似合うものがどんどん変わっていくので。
——なるほど。わかりやすいですね。でも、なかなか使いきれない問題もありますよね……。
六多:コスメはもったいないと思わないことが大事。全部使い切れるわけがないし、大切にとっておいても、酸化したら使えないんです。「少し気分を変えたいな」というときは、思い切ってラインアップを入れ替えるといいですよ。カウンターにいくだけで気分も上がるので。今は質感と立体感重視のメイクが旬。眉やリップだけで印象が変わりますよ。
フィルターをかけて自撮りを楽しむのもアリ
——最近の10代や20代の女性たちは、フィルターで“盛った”自撮りをアップしていますよね。それはどう見ていますか?
六多:楽しそうでいいなと思います。加工も込みで楽しんで、「カワイイ」に肯定的な空気がいいなと。アラサー世代やそれより上の世代にあった「自撮りを上げるなんて自分大好きな人」と冷笑するような空気はなくなっちゃえばいいなと思います。
私、以前はカラコンがあまり好きじゃなかったんですよ。でも今は大好き。使ってみてその良さに気づきました。中には使ってみて自分には必要ないなって思う人もいるかもしれない。つまり、思い込みを捨てるのも大事なんじゃないかと。これはダメ、あれはダメって自分を縛るものがなければないほど、人生は楽しくなると思います。
*インタビュー最終回は6月8日(月)公開予定です。
(取材:小沢あや、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
メイクの「正解」は気分次第でいい。元BAのマンガ家が思うメイクとの付き合い方