夏にマスクを常用するのは初めてのうえに、猛暑で息苦しい、ひどい肌荒れ、赤みやブツブツができる、頭痛やめまいがする、歯が痛むなど、編集部には多くのマスクの悩みが届いています。そこで、読者の証言をもとに、「肌荒れ編」と「暑苦しい編」の2回に分けて、マスクケアについて紹介します。
今回は肌荒れケアについて、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に尋ねました。
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マスクの形に沿って赤みやブツブツが…
会社員・女性・東京都在住・33歳の悩み
夏用の冷んやりマスクを着用していますが、8月初旬から、マスクの形どおりに肌に赤みが出てきました。一晩寝た翌朝はおさまるのを数日くり返したあと、日中からどうもマスクの下の肌がかゆく、マスクが触れるところや口の下、あごに、湿疹なのかニキビなのか、あせもなのかはわかりませんがブツブツができました。肌は弱いほうではありません。
通勤電車は満員に近く、オフィスでは人が多いため、朝に家を出てから帰宅するまでずっとマスクをせざるを得ない状況です。
マスクと皮膚の接触部分に、汗と皮脂と雑菌が
正木医師の回答
暑くても通勤時やオフィスでマスクをはずすわけにはいかず、口周りに異常があってもがまんして着用している人は多いでしょう。マスクの形に赤みや、ニキビ、あせもが出るのはつらいと思います。
ブツブツの正体は、皮膚炎、ニキビ、あせもが重なった状態であることが多いです。一般的な特徴は、次の通りです。
皮膚炎:皮膚の表面に生じる炎症をまとめて「皮膚炎」や「湿疹」と呼んでいます。皮膚にマスクが接触することによって刺激され、その部分に炎症が起きる。湿疹よりも赤みが強く、ほてり感を伴うことがある。
ニキビ:皮脂や肌の老廃物が毛穴につまり、皮膚の常在菌が作用して白いブツブツができる。
あせも:発汗や常在菌によって汗腺がつまり、皮膚の内側に汗が溜まって生じる。かゆみをともなう赤いブツブツになる。
いずれも、帽子をかぶっていると、額(ひたい)との接触部分に同じ症状が出る人は多いでしょう。顔以外でも、たとえば靴下や下着のゴム部分、衣服と肌が接触するウエスト部分など、気づいたら赤くなる、かゆくなることは日常的にあると思います。
赤みの段階なら数時間でもとに戻ることが多いのですが、長時間、同じ部分に高温多湿な状態が続くと、この方のケースのように、赤みやニキビ、あせもが生じる場合もあるでしょう。
ブツブツが広がったり、赤みが強くなってきたり、1週間ほど経っても改善しない場合は皮膚科や内科を受診しましょう。
濡れタオルやクレンジングシートでこまめにそっと汗を拭く
ケアのコツは何といっても、マスク内の通気性を良くして肌を清潔に保つことです。そのために外出先では、「密」ではない場所でマスクをはずし、濡れたハンカチやタオル、ウエットティッシュなどでそっと汗をぬぐいましょう。このとき肌が乾燥するため、化粧水や乳液を携帯しておき、保湿をしてください。
保湿をしないと、皮膚のバリア機能がダメージを受けてさらなる肌荒れにつながりかねません。それが面倒な場合は、市販のクレンジングシートを活用する方法があります。クレンジングシートはたいてい、1枚に洗浄と保湿成分が配合されているので便利でしょう。
強く拭く、ごしごし洗い、掻くのはNG
重要なことは、赤みやできものがないときでもこうしたケアを行って肌荒れ、汗荒れの予防をすること、また、くり返しますが、濡れタオルやクレンジングシートでの拭き取りをそっと行うことです。汗やかゆみが気になって、こすったり強く拭いたり、また無意識にツメで掻(か)いたりすると皮膚はダメージを受けます。洗顔時でも同じで、ごしごし洗いは厳禁です。
また、乾いたハンカチやタオル、ティッシュしかない場合は、汗を拭かないよりは拭いたほうがいいのですが、繊維の刺激が強くならないようにそっと汗をおさえるだけにしましょう。また乾いたものでは水分だけを吸収して、肌に塩分や皮脂が残るため、できるだけ濡れタオルを使いましょう。
アルコールを含む除菌シートや手指用のアルコールジェルは、アルコールに過敏な人、アトピー性皮膚炎の人、皮膚の弱い人や手指以外の部分は、アルコールなどによってかぶれたり、肌が乾燥したりして、肌荒れをまねきやすいので注意してください。
1時間に1度は「密」ではない場所でマスクをはずして肌ケアを
そして、「密」ではない場所では、マスクをはずすか、はずせないときはマスクを浮かして扇子やうちわで風通しをよくしてマスク内の温度や湿度を下げてください。人が多い職場などにいる場合は、1時間に1度は席を立ち、「密」ではない場所に移動してマスクをはずし、肌ケアを実践しましょう。企業や事業所はそういった方法を具体的に提示し、周知してください。
マスクで肌荒れを防ぐこれらの方法は、後編でもお話ししますが、息苦しさや熱中症の予防にもつながります。9月や10月も高温多湿が続くと予想されます。ブツブツが解消された後も、マスクの下の肌ケアを続けて予防をしましょう。
聞き手によるまとめ
マスク内の肌荒れのつらさを予防、改善するには、濡れタオルや保湿用の化粧水、クレンジングシートを携帯して、汗をこまめにそっと拭きとり、必ず保湿をしようということです。暑いとつい保湿を忘れがちですが、これがさらにダメージのもとにもなるようです。
筆者の場合、朝に出かけてから夜に帰宅するまでに外出先で2回、クレンジングシートで口周りと顔全体も拭き取りをする、人がいない場所ではマスクをはずして顔を扇子であおぐことをくり返して3日、肌のチクチク感が改善しました。こういったことを実践するかどうかが肌荒れ対策のポイントとなるのでしょう。まずは試してみてはいかがでしょうか。
次回・後編では、「マスクで息苦しい、熱中症回避ケア」をご紹介します。
(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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