話題沸騰の家電「ホットクック」。火加減や時間を自動でコントロールし、うまみや栄養分たっぷりのお料理がつくれる無水調理鍋です。第2回では、具体的にどんな料理がつくれるのか? ホットクックの可能性を探ります。
『ラクにおいしく無水調理! はじめての「ホットクック」レシピ』(世界文化社)を上梓した料理家・夏目陽子(なつめ・ようこ)さんと、担当編集者の石川奈都子(いしかわ・なつこ)さんに、お話を伺いました。
日常の食事も、おもてなしのごちそうもお任せ
——『ラクにおいしく無水調理! はじめての「ホットクック」レシピ』(世界文化社)では「ほっとくだけでおいしい煮物・煮込み」「うまみと栄養たっぷりのおかずスープ」「カンタン低温調理で肉・魚のごちそう」「パパッと作れる野菜のシンプルおかず」の4ジャンルを紹介していますね。複数の料理家さんが参加していらっしゃるのも面白いです。
石川奈都子さん(以下、石川):今回のレシピブックには、3人の料理家さんにご参加いただきました。夏目先生は「パパッと作れる野菜のシンプルおかず」を中心に担当してくださっています。しゃれているのに簡単で、センスのよいお料理が多いんですよ。
——具体的には、どんな特長があるレシピなんですか?
夏目陽子さん(以下、夏目):私のレシピは基本的に、化学調味料を使わないんです。イタリアでお料理を勉強しているとき、野菜のうまみとお塩だけで充分に旨みが引き出せることを知りました。なのでホットクックのレシピも、お塩をポイントにしています。
「こんなにおいしくなるなんて!」と驚いた、シンプルな副菜レシピ
——レシピブック制作の過程で「これがこんなにおいしくできるとは!」と驚いたメニューはありますか?
夏目:「キャベツとツナのチーズ蒸し」ですね。名前を先に決めて、あとからレシピを練っていったんだけど、どうしてもツナの味が勝っちゃうんです。こんなにツナが強いなら、わざわざ細かいレシピをつくらなくてもいいんじゃない? と思ったくらい。でも、料理家仲間にも手伝ってもらっていろいろ試したら、お酢を小さじ1入れると劇的においしくなったんですよね。直火でここまでの旨みは出せない……と、悔しくなっちゃいました(笑)。
石川:普通の人なら「これで充分おいしいだろう」って終わらせちゃうところを、細部までこだわるのがやっぱりプロですよね。そういう意味では「じゃがベーコンのバター蒸し」もすごくおいしかったです。ただのコーン缶を入れただけなのに、生のとうもろこしを使ったように贅沢な味でした。
——いくつかの食材を炒めたり蒸したりするだけ、みたいなレシピだと、フライパンでやったほうが早いなと思っちゃうんですが……。
夏目:フライパンだと水分が飛んじゃって、あそこまでおいしくはならないんですよ。火加減や水加減ってけっこう難しいから、そこを一定に調整してもらえるだけで、ホットクックには価値があります。
石川:蒸し煮ばかりで単調な味だと感じたら、それこそちょっと下ごしらえをしてもらえるといい。軽く焦がすことで香ばしくなったり、油抜きで味がすっきりしたりと、風味にバリエーションが出ます。ホットクック調理にハマって、何台も買う方がいらっしゃるほどです(笑)。
——複数台あれば、主菜・副菜・スープのすべてがホットクックでできちゃうわけですね(笑)。
可能性は無限大。レシピのバリエーションも多い
——レシピブックをぱらぱらとめくるだけでも、バラエティ豊かなお料理が並んでいます。
石川:そうなんです。低温調理のパートを担当してくださった川上文代先生は、調理学校の先生。ホットクックでも「かき混ぜ方はどうなっているのか」「鍋のなかの加熱状態はどうか」など、実験的なことをたくさん試されました。
その結果、ホットクックなら温度を一定に保てるから、真空調理や湯煎をしなくてもおいしく低温調理ができるとおっしゃって。味つけをして上下をひっくり返すだけで、ローストビーフや鶏ハムなんかがばっちり仕上がります。煮込み料理やスープを担当されたエダジュン先生も、新しい食材や香辛料を取り入れた、少し変わったレシピが面白いんです。
夏目:お二方のお料理は、私には思いつかないレシピばかり。それだけホットクックは、可能性がある家電なんだなぁと感じます。
——ホットクックを使いこなすために、押さえておきたいポイントなどはありますか?
夏目:手動設定を使えるようになると、レパートリーがまた広がりますよ。材料が少ないときには、手動でさくっと火を入れるのが手軽。たとえば、鍋や電子レンジで数分温めるかわりに、ホットクックの「無水でゆでる」5分、「炒める」2分などを使うイメージです。手動設定に慣れれば、普通の料理本のレシピもホットクックに応用できます。
——メニュー名を選んでスイッチオンするだけの「自動調理機能」にばかり頼っていたけれど、手動設定が使えると確かによさそうですね。
石川:書籍では「自動調理メニュー」のボタンを押すとどんなことができるのか、という一覧表をつけています。「適度に混ぜながら煮る」ときには「肉じゃが」設定、「強い火力で混ぜながら手早く炒める」ときには「白菜のクリーム煮」設定というように、オートメニューボタンの動作の目安が分かると、メニューにない料理を作りたいときに活かせるんです。
(取材・文:菅原さくら、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
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