迷子になったペットを探す「ペットレスキュー」(神奈川県藤沢市)で奮闘する藤原博史(ふじわら・ひろし)さんによる『210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ ペット探偵の奮闘記』(新潮社)が2月に発売されました。同書では、迷子になったペットが家族と再会する7つの実話や、ペット探偵として活躍する著者による「捜索ノウハウ」などが明かされています。
これから猫を飼おうと思っている人や、猫を飼っている人に知っておいてほしいことは? 災害が起こったとき、ペットと一緒に避難するにはどうすればいいの? 藤原さんに話を聞きました。
あらゆる災害を想定してシミュレーションしておく
——この3月で2011年の東日本大震災から丸9年たちました。ここ数年は地震だけではなく、台風や洪水など自然災害も頻発しています。ペットを飼っている人は、災害時にどうするかも考えておかなければいけないと思います。本でも触れられていたように環境省が公開している「人とペットの災害対策ガイドライン」に目を通しておくことも大事ですね。その上で伺いたいのが、災害の備えとしてやっておいたほうがいいことを挙げるとすればどんなことですか?
藤原博史さん(以下、藤原):本にも災害時の情報をまとめておくことや避難所の所在地や避難ルートを調べておくことを書いたのですが、大事なのはシミュレーションですね。津波の場合、台風の場合、土砂崩れの場合と、考え得るあらゆる災害のシミュレーションして、何かあったときにすぐ同行避難できるように用意はしておいたほうがいいと思います。準備しておくものとしては、3日間分のご飯、すぐに入れるケージ、トイレシート、水は最低限必要です。
あとは前回、申し上げた首輪ですね。首輪は前回も申し上げた通り、一歩間違えると挟まったり、首をつったりする危険性もあるので、自己判断に任せる部分はあるのですが、「首輪を着けている猫」ほど見つかりやすいという面はあると思います。
また、災害時はインフラが機能しなくなりコピー機不使用や紙が手に入らない状況になるため、事前に日付を書かずに迷子捜索用のチラシを作っておくことは良いと思います。「ドコノコ」(ほぼ日が運営する犬と猫のSNSアプリ)でも簡単に作成できるので活用してみてください。
——最寄りの避難所に、同行避難ができるかどうかを聞いておくのは?
藤原:もちろんいいことなのですが、平時はオッケーだったけれど、いざ災害が起こったときにはダメと言われることもあるんです。すごく長い期間をかけて、災害に備えて自治会と話し合って、体制を万全にしておいたとしても、災害時にダメというケースもあるので、あらゆるシミュレーションはしておいたほうがいいと思いますね。
——そんなこともあるのですね。
藤原:同行避難ができなかった場合、個人の対応が重要になってくるので同行避難のマニュアルの必要性を感じています。
ペットの防災対策を広めていきたい
——藤原さんは東日本大震災の直後の4月にありったけのペットフードを積んで福島県双葉町を訪れたそうですね。
藤原:町は原則立ち入り禁止だったのですが、「止まらないでそのまま突き抜けてください」と警察官から指示されてペットフードを置いてきました。
——そのときの様子は本につづられていますが、現地を訪れた理由は?
藤原:ペットレスキューの名を掲げている以上、この目で災害の現場を見ておかなければいけないと思いました。自分にできることがあればやらなければと思いました。それで作ったのが、ペットのお守りなんです。このお守りの初穂料の一部を、同行避難をサポートするために作られたNPO法人「アナイス−動物と共に避難する」に寄付するというものです。
——ペットのお守り……!
藤原:一般的に神社では「四つ足動物」は立ち入り禁止なのですが、鎌倉の佐助稲荷神社のご協力もあって「SASUKEプロジェクト」と題して2019年5月からお守りや絵馬、人形を作って頒布したところ好評をいただきました。ここからの寄付がペットの防災対策にもつながっていけばと願っています。
(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)
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情報元リンク: ウートピ
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