シャンプーのパッケージに、「ノンシリコン処方」と強調するように記載されているタイプがあります。「シリコン」入りがいいのかノンシリコンがいいのか、シャンプーを選ぶ際の基準のひとつになるでしょう。
シャンプーを選ぶポイントについて、3回連載で美髪ケアを追求する美容師の三谷遥さんにお尋ねしています。今回は、三谷さんが「お客さんによく聞かれること」と話すシリコンとノンシリコンについて、どう選べばいいのかを尋ねました。
第1回、第2回は次の記事をご参照ください。
【第1回】「洗浄成分」で見極めて! 自分に合うシャンプーの選び方
【第2回】アミノ酸系、石けん系とは? シャンプーの選び方
Contents
シリコンはリンスやファンデーションに含まれるタイプも
はじめに三谷さんは、シャンプーのタイプについてこう話します。
「前回の記事では、シャンプーのタイプにはおおまかに分けて、『高級アルコール系シャンプー』、『アミノ酸系シャンプー』、『石けん系シャンプー』などがあることを伝えました。またこれらには、それぞれシリコン入りとノンシリコンのものがあります。とくに、高級アルコール系の多くは、シリコン入りでしょう」
シリコンとは正式には『シリコーン』と呼ぶ合成化合物で、シャンプーに使用されるのはシリコーンオイルという油の成分です。人体には無害で安全とされていて、コンディショナーやトリートメント剤、リンス、ヘア用ワックス、日焼け止めクリーム、ファンデーションやパウダー、また、ティッシュペーパーや柔軟仕上げ剤などの日用品、コンタクトレンズなどの医療用品などに幅広く活用されています。
パッケージの成分表示に、「ジメチコン」、「ジメチコノール」、また、名称に「シリカ」、「シリル」、「シロキ」、「シラン」などが含まれる成分の記載があれば、シリコンが配合されています
シリコンそのものは頭皮、髪に悪影響とは言えない
シャンプーの場合、シリコンが含まれていないタイプは、『ノンシリコンシャンプー』と表現されています。よく、シリコン入りよりノンシリコンシャンプーのほうがいいと言われますが、本当でしょうか。三谷さんは次のように説明を続けます。
「シリコンは頭皮や毛髪にとって悪影響というニュアンスの情報を多く見かけますが、そうとは言えません。シリコンの髪への作用や特性はこのあとで詳しくお話ししますが、まずは、シリコンそのものが頭皮や毛髪に何らかのダメージを与えるものではないということと、シリコンのメリットとデメリットを知っておきましょう。そのうえで、使い方を工夫する、また使い分けるのが得策でしょう」
指どおりやツヤがほしいときはシリコン入りを
ここで、シリコン入りシャンプーのメリット、デメリットについて、三谷さんはこう紹介します。
「熱や摩擦から毛髪を守り、髪を洗う際に、毛髪のきしみを抑えて指どおりをなめらかにします。そのため、洗髪中の髪へのダメージを軽減します。
また、毛髪をコーティングしてドライヤーの熱から守る、枝毛や切れ毛から守る、ボリュームを抑える、ツヤを与えるように働きます。つまり、髪がからまりやすいとき、ダメージが気になるとき、毛量が多い人、ドライヤーやヘアアイロンをよく使用する人に向きます。
ただし、シャンプー後の『洗い流し』が足りないことによってシリコンが頭皮の毛穴に詰まり、べたつきや毛髪のダメージ、抜け毛などのトラブルを引き起こすことはあるかもしれません。
また、価格の安い高級アルコール系(第1回参照)でシリコン入りシャンプーを使用すると、洗い流しても、シリコンが膜を覆うように髪の表面に積み重なることがあります。すると、パーマ剤やカラー剤が浸透しにくくなります。そのため、パーマやカラーをする1週間ほど前からは使用しない方がよいでしょう」
ボリュームがない場合はノンシリコンを
続いて、ノンシリコンシャンプーは、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。三谷さんはこう話します。
「シリコンによるコーティングがないため、軽くサラサラとした仕上がりになり、ふんわり感を出すことができます。ボリュームがない人、髪が細い人、肌にアレルギーやかゆみがある人、髪のべたつきがある人などに向きます。
ただし、シリコン入りとは違って、摩擦から毛髪を守る働きはありません。そのため、シリコン入りに比べて、洗髪中にきしみや手触りが気になる場合があります。また、熱から守る働きがないため、ドライヤーやヘアアイロンを使用する際には、事前に洗い流さないトリートメントを使って毛髪を守りましょう」
3回に渡って、自分の髪質、頭皮の状態、理想の髪から、合うタイプを選ぶ方法を紹介してもらいました。最後に三谷さんは、次のようにアドバイスを加えます。
「シャンプーは、どのタイプであっても洗浄剤です。どれを使う場合でもいきなりゴシゴシと洗わずに、『予(よ)洗い』をしてから、頭皮を洗うことを意識してそっと丁寧に、髪と髪がこすれ合わないようにして、仕上げにはよくシャンプー剤を洗い流しましょう。
頭皮にシャンプー剤が残ることと髪どうしの摩擦がもっともトラブルをまねきます。頭皮は毛穴に配合成分が詰まって、フケ、かゆみのもとに、髪の摩擦では切れ毛や枝毛、抜け毛、ぱさつき、きしみ、ツヤが落ちるようになります。
また、パッケージのデザインや色、キャッチコピーは、あくまでメーカーのイメージ戦略です。1本使い切っても、第1回でお話しした『理想の髪』に近づいていないと感じる場合は、別の製品を試しましょう。そうした意識を持っていると自分の髪の状態に敏感になって、日ごろのケアにも力が入るでしょう」
シリコン入り、ノンシリコンには、それぞれメリットとデメリットがあり、どちらかが良い、悪いというわけではないということです。自分の髪質や頭皮の状態を見つめて、理想に近づけるタイプを選びとる、また適切に使い分けていきたいものです。
(構成・文 品川 緑 藤原 椋/ユンブル)
- アミノ酸系、石けん系とは? シャンプーの選び方【美髪プロが教える】
- ヘアアイロンを使うときに「してはいけない」7つのこと【美髪プロが教える】
- 42度以上のお湯で洗うのはNG! 皮膚科医が教える「正しい髪の洗い方」
- 髪を染めるのをやめたら自由になった 草笛光子さんに聞く「一番の幸せ」
- ドライヤーは後ろから前に、冷風で仕上げる。美髪のための乾かし方【プロが教える】
- 分け目を変える、ドライヤーは下から…髪のボリュームを出す10の方法【美髪プロに聞く】
情報元リンク: ウートピ
シリコンとノンシリコン、どっちのシャンプーを選ぶ?【美髪プロが教える】