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コロナが分けた明暗を見つめ、希望につながるアクションを【小島慶子】

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恋のこと、仕事のこと、家族のこと、友達のこと……オンナの人生って結局、 割り切れないことばかり。3.14159265……と永遠に割り切れない円周率(π)みたいな人生を生き抜く術を、エッセイストの小島慶子さんに教えていただきます。

第36回は、年末を目前に控えた今だからこそ考えてほしいことについて、小島さんの願いをつづっていただきました。

コロナが分けた明暗

いつもなら今の時期は1年の振り返りをすることが多いけれど、今年はそんな気分にはなれません。12月現在、感染拡大第3波の正念場。困窮者の支援団体では、パンデミックによって職を失い、食費や家賃の支払いもままならなくなった人たちへの食料配布や住まいの確保の対応に追われています。

一方で、収入に影響がなく、定額給付金が臨時収入になった人も多かったでしょう。もしも今あなたが、生活の心配をすることなく新年を迎えることができるのなら、そうでない人に目を向けてほしいです。自分や家族にクリスマスやお正月のギフトを買うときに、もう一人分、辛い思いをしている誰かにも温かい気持ちを贈るのもいいですね。少額でも無理のない範囲で寄付をすれば、そのお金は困っている人への支援に使われます。

先日放送されたNHKスペシャル『コロナ危機 女性にいま何が』では、去年は子どもにクリスマスプレゼントを買ってあげられたのに、今年は食費を賄うのもままならないというひとり親女性を取材していました。この女性のようについこの前まで普通の暮らしを送っていた人たちが、暮らしに困り、不安な年末を迎えています。特に女性は、離婚や失業などで貧困に陥りやすいのです。社会の仕組みが、女性は男性の庇護(ひご)のもとで生きていくものという前提で作られているからです。先進国で最も男女格差が大きい日本の女性にとって、“普通の暮らし”は貧困と紙一重なのです。

雇用に大ダメージ

今年はパンデミックによって、こうしたジェンダー・ギャップの問題が世界中で露呈した年でした。日本では「女性活躍」の掛け声のもとで増加した働く女性の多くは非正規雇用で、パンデミックでいち早く解雇された人も少なくありません。内閣府によると、仕事を失った人の数は男性32万人に対し女性74万人。実に2倍以上です。NHKとJILPT(労働政策研究・研修機構)の共同調査では、解雇、雇い止め、労働時間半減など、雇用に大きな影響を受けた人は男性が18%、女性は26%と、こちらも女性により多くの影響が出ています。

もともと家事や介護の負担が大きい女性は、男性よりも低収入で不安定な働き方をしていることも多く、特にシングルマザーなどは、ギリギリの生活をしている人もいました。そこへパンデミックが襲ったのです。また、コロナの影響で経済的に不安定になった男性が家庭内で暴力を振るい、ステイホームで虐待が悪化するなど、DVの被害を受ける女性も増え、内閣府によると4月の時点でDVの相談件数は前年同月比で約1.3倍、5、6月も1.6倍、その後も増加傾向が続き、第3波による悪化も懸念されています。

また厚生労働省によると、10月の自殺者数は前年同月比で男性が21.7%増、女性は82.8%増。女性は前年の倍近い増え方をしています。自殺総合対策推進センターでは、ギリギリの状況で持ち堪えていた女性たちが、著名俳優の相次ぐ自殺報道の影響を受けたと見られると分析しています。

「暗い話をするのは…」と言われても声をあげる理由

こういう話をすると「暗い話をするのは」という人もいます。では話をするのをやめてしまうとどうなるでしょうか。貧困や暴力は見えなくなります。相対的貧困は、ぱっと見にはわかりにくいため「自分の周りには困っている人はいない」「街を見てもみんな普通の格好をしている。貧困なんてきっとごく一部の特別な例だろう」と思いがちです。実際には家賃や食費の支払いに困るような状況でも、友人は全く気づかないということもあるのです。

困っている人が見えなくなると、その人たちは孤立します。孤立は人を追い詰め、心身を蝕みます。国が様々な貧困対策を手厚くしなければならないのはもちろんですが、それだけでなく、まずはそうした現実が広く知られることが大事です。そして、小さな人助けを当たり前にすること。例えば、生活習慣として寄付が定着し広がれば、NPOなどで困った人を助けている支援者たちが、寄せられた資金を使って必要な支援をより多くの人に届けることができます。日本では「人を暗い気持ちにさせる話はするべきではない」という計らいがよしとされますが、それは、現実を見て見ぬ振りをすることになりかねません。

今年前半、私も仕事が次々と延期やキャンセルになり、大きな不安を覚えました。自転車操業の大黒柱ですから、収入が途絶えれば死活問題です。テレビに出ている人はみんな大金持ちだと思われていますが、それはごく一部の人だけ。会社員のように安定した収入があるわけではないですから、いつどうなるかわかりません。会社を辞めて10年、今年は「板子一枚下は地獄」を実感した年でした。だから、今最も不安な思いをしている人に何かできることはないかと思いました。他人事とは思えなかったのです。自分一人では多額の寄付をする余裕はありません。でも、寄付する人を増やすことならできるかもしれないと思いました。それが、仲間と寄付サイト(ひとりじゃないよプロジェクト)を作ったきっかけです。

もしも今あなたが「コロナで生活が激変したわけじゃないけど、不安や不自由が多い年だったな。来年に向けて、明るい気持ちになりたいな」と思っているなら、何か人の役に立てることはないか、考えてみるといいかもしれません。小さなことでも、案外できることはあります。そして誰かの助けになるアクションをすると「自分は価値のある存在だ」と思うことができます。寄付を偽善とか売名行為と批判する人もいるけど、私は全くそうは思わないです。お金には力がある。たとえ少額でも、集まれば大きな力になります。それに、自分のお金で人助けができるのは嬉しいし。人は誰かの役に立つことに喜びを感じる生き物なのです。それは尊いことですよね。

誰かに助けてもらったら、いつかは自分も誰かを助けたいと思うもの。小さなアクションが、温かな社会の循環をつくります。忘年会や帰省がなくなって浮いたお金やボーナスで、同じ空の下で「お願い、助けて」と祈っている誰かと、遠くでつながることができます。コロナが分けた明暗を見つめ、想像力を働かせることで、小さな希望の光を灯す冬にできたらいいですね。

情報元リンク: ウートピ
コロナが分けた明暗を見つめ、希望につながるアクションを【小島慶子】

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