恋愛経験をある程度積み重ねてきて、酸いも甘いも知っているオトナだからこそ、パートナーにあえて「言わない」ことをあえて拾って、恋愛コラムニストの桐谷ヨウさんにアドバイスをいただく連載「◯◯って言わない女子」。
ヨウさーん! 今回はこんなつぶやきを発見しましたよーー!!
【今回のつぶやき】
「私ってサゲマン?」
どんな人と付き合っても、相手がやることには口出しをしません。どんな仕事をするか、どんな生き方をするのか、応援をすることはあっても「こうしたほうがいいよ」というのは言わないようにしています。相手は自分とはちがう他人だからです。
ただ、世の中を見渡してみるとパートナーの転職に口をだしたりプロデュースをしたりすることで男性が出世することもあるようです。そういう女性と比べると、私は少なくとも「アゲマン」ではないよなあと思います。パートナーからときどき「君は冷たいよね」と言われることもあります。私ってサゲマンなのでしょうか?
他人に期待をしないのはすばらしいけど…
遊び人だった晩年期のことです。
自分が遊んだ女の子が、次に付き合う人と続々と結婚していくのを見て
「んー、俺はアゲチンかもしれん」
と勘違いして悦に入っていたのですが、これはダメな“ヤリチンあるある”かもしれません。
いまは聖人なヨウさんです。
えっと、サゲマンってことはないんじゃないかな(笑)
相手を上げても下げてもないんで、気にすることないような……。
ご質問を読んで思ったのは、
「相手に過度な期待をしないのは素晴らしいな」
ということでした。
これができない人があまりにも多くて、相手に求めてしまうことで相手を苦しめて、自分自身も苦しめてしまう。そんな人が、恋愛でも仕事でも、あまりにも多すぎるからです。
自分の勝手な期待と他者とのギャップに「怒り」が生まれ、いざこざが生まれる。
じゃあ期待しないことが全面的によいのか?って話でいうと、まさしく「冷たい」という言葉にあらわれているよね。
やっぱりその相手に対して、無関心に見えやすいよね。
干渉されることを心地いいと思う人は少ないだろうけど、相手から求められることが、期待されることが動機づけになる人はたくさんいる。自分の内側でモチベーションをつくっている人は案外多いじゃないですか。
ただ、これってすごく難しい問題を孕(はら)んでいます。
教育や指導では語り尽くされていることですけど、理想の他者像と現状の他者像の指摘って一筋縄ではいかない。
現状を褒めて伸ばすことも、理想の姿を明示して誘導してあげるのも、現状をありのまま肯定して活き活きしてもらうのも、どれも正解なわけです。
いずれにせよ、自分に関与してくれる人って「あたたかみ」を帯びるもんです。多少はうざったくても。
とはいえ、恋愛関係は教育や指導とは別物です。
相手の「足りないもの」を指摘することが関係性をよりよくする妙手とはかぎらないし、もっと言えば、誰にとって「足りない」ものなのか――。相手の未来にとって、なのか、本人が望んでいること、なのか、自分の都合にとって、なのか。ふたりにとって必要不可欠なもの、なのか。
このあたりを熟考したうえで相手に対して関与する必要が、絶対にあると俺は思います。
ただね、価値観って変わらないものじゃない。一人で生きることを前提としたよりよい振る舞いと、ふたりで生きることを前提としたよりよい振る舞いが変わってくるように、相手によって変えられてしまう……ということは往々にしてありえます。
他人を変えることはできないけど…
俺ね、『きのう何食べた?』ってマンガを読むと本当にグッとくるんです。
ゲイであることをおおっぴらにしたくない主人公が、パートナーと住み続けることで少しずつ心境を変化させていく。街なかの他人に悟られることを嫌がっていたのに、一緒にカフェでお茶をするようになる。乙女趣味のパートナーが喜ぶなら付き合うようになる。初詣も行くようになる。
自分をムリに変えようとするのではなく、相手のことを思うと、そうしてみてもいいかな……というトーンで。
プロデュースなんて大げさなことをしなくても、それを通して相手に対してよい影響を与えられたら、素敵なことだと思うんですよね。
俺にとってよい影響とは、自分の価値観による強制ではなく、相手を縛る先入観や不自由さからの開放を意味しています。精神的な自由を獲得できた人は、幸福に生きられるからです。
自分は誰かを変えることはできない。だけど、自分の姿を見て相手がなにかを感じ取って、自発的に自分を変えていくことはできるでしょう。
もし、自分とはちがう他人に、何か影響を与えたいと思う部分があるとしたら、参考にしてみてもらえると嬉しい……ス。
応援しています。
(イラスト:つぼゆり)
- 「本当に私でいいの?」昔は“重い女”だった私が彼に言わないこと
- 「安心しておばさんになってください」阿佐ヶ谷姉妹の“これから”と不安だった“あの頃”
- 西原理恵子「恋愛はフェアトレードだから…」 北川景子じゃない私たちが覚えておくこと
- お嬢さん、“媚びる恋愛”では幸せになれないですよ【宮台真司×二村ヒトシ】
- 「私なんか」って自分を否定しないでください。寂聴さんから自信がない貴女へ
- “ちょうどいいブス”だから私と付き合ってるの? 【◯◯って言わない女子】
情報元リンク: ウートピ
もしかして私ってサゲマン? 相手に“影響を与える”ということ【○○って言わない女子】